誰もがナットク、2015年の「流行語大賞」を先取り予想!

ノリや引きが人気の「流行語」はネット民の発信力で様変わり

「人々のライフスタイルや価値観などの多様化で、時代の共通項としての言葉や流行語を探ることが難しくなっています」とはメディア評論家。

加えてSNSの進化で若者を中心にツイッターやLINEでの発信力が増し、「仲間内などのコミュニティで、バカ受け言葉が次々と生まれています」。

ノリや引きや話題性で、国民みんながナットクする言葉として選ばれてきた「流行語」が、価値観の多様化や分散化で喪失の危機にある、と断言するのは極論でしょうか。なんだかダメよ~ダメダメ!の状況みたいです・・・

一時的に拡散した流行語が、廃語や賞味期限切れになった例は山ほどあります。

 「大賞」は32年前に発足。世相は当時の「ありのまま」どころか・・・

正しい呼称は「新語・流行語大賞」。その年の世相を言葉で振り返る賞として、1984年に創立。80年代は日本経済がバブルに湧いた時代でした。

流行語の定義は「時代にタイムリーか」を前提に
1、 言葉としてのノリの良さがあるか
2、 最大のポイントは覚えやすいか
3、 リピートしても飽きないか
4、 何となくバカバカしいトーンが漂っているか・・等々

大賞が始まった当初は、大量消費時代を背景に「マルサ」や「イッキ!イッキ」「懲りない〇〇」などが選ばれました。時代の共通項を探るがテーマでしたが、ライフスタイルは人それぞれ、すでにその頃から「こんな言葉、流行した?」との違和感も聞かれました。流行語は送り手と受け手となる人々との合作が基本ですが、最近では送り手に人気芸人が加わったり、受け手も言葉の発信ツールを持つようになり、最早、定義ではくくれないようになった(文化部記者)。

それでも年末の風物詩として定着し、今年で32回。確かに流行語の出自は時代の気分や、日本人の心情が凝縮されており、笑いを誘う言葉もありました。

■バブルや世相絡みでは「新人類」や「危険ドラッグ」
■男と女絡みは「男女同権」から「粗大ゴミ」「壁ドン」「アラフォー」
■スポーツやアニメ発では「リベンジ」や「イナバウアー」「妖怪ウオッチ」
■政治家絡みでは「バカヤロー解散」から「ブッチホン」
■日本人のファジーさを強調した「赤信号、みんなで渡ればこわくない」
(木下幸男著「流行語大賞を読み解く」から一部抜粋)

新しい大賞の誕生や流行語の変質は「想定内」か?

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何気なく飛び出した言葉が流行語となって社会を動かし、その年を象徴する言葉として認知されるーというのが流行語大賞の本来あるべき姿でした。ところが大賞の影響力が増すとともに、メディアを中心に情報発信や仕掛けが活発になり、その効果は様々なマーケットに拡大していきました(メディア評論家)。

例えば、「リベンジ」「負け犬」「バブル」などの流行語は、人々の暮らしの中から生まれ、人生に重なり「時代の寸法に合った言葉」と言われたものでした。

大賞が脚光を浴びてメディアで大きく扱われるようになり、賞も年間大賞以外にトップテンや特別賞が設けられ、年末の一大イベントになりました。

1994年にトップテンが制定される前には「年間多発語句賞」「大衆賞」「表現賞」「人語一体傑作賞」など、風変りな賞もありました。流行語発信はテレビドラマやCMのキャッチコピー、芸人のワンフレーズ芸が主流ですが、もちろんその年に活躍した各界の人の言葉も、注目されています。

ドラマでは「倍返し」や「じぇじぇじえ」、芸人ではスギちゃんの「ワイルドだろぉ」。オリンピック招致の「おもてなし」が波及効果を生みました。

発信力のあるメディアや拡散力のある広告代理店主導や、自前の言葉をアピールする芸人のパフォーマンスには、迫力さえ感じられます。しかし一方では、ネット民や若い人の参加で新たな流行語大賞が生れ、さらに増殖する勢いです。

「新たな動きは従来の大賞ではくくれないほどに、言葉の色合いや意味合いがプリズムみたいに不思議な輝きを見せている」と文化部記者は分析しています。

これまでの流行語の誕生や伝達ツールは大きく変わろうとしているのです。

「新・流行語大賞」の活発化は「なんでだろ~」

Crowd of people in Shibuya crossing Tokyo Japan

■「ネット流行語大賞」は2007年、「アニメ流行語大賞」が13年に開催。最近では女子中高生が「JK流行語大賞」や「ギャル大賞」「ケイタイ大賞」で若い感性を主張。会社によっては「職場流行語大賞」を実施。最近はメディア主導から各世代やジャンル発信の流行語が、「時代の気分」を表しています。

ただ「JK流行語」を聞くと、簡略語が基本でピンとこない言葉ばかり。ツイッターやLINEが発信元ですが、同世代の女高生でも「エッ、それなぁに?」と知らない言葉もあるようで、これが「JK流行語」の特徴かも知れません。

例えば「イチキタしてから集合ね」の「イチキタ」は一時帰宅。「メンディ」は「面倒くさい」の意味だそうです。JKの思考回路ってスンゴイですね・・・

今後、流行語大賞は様々な形で増殖すると思われます。そもそも流行語が万人に支持されること自体、不思議なで現象です。人の価値観も様々、人生いろいろです。流行語は極論すれば、ある日突然、風に乗って現れ、あっという間に消えて行く。メディアが反復宣伝をしても賞味期限があります。一発屋芸人のようです。逆にSNSを利用して皆で笑って楽しむ。その中で記憶に残る流行語は、時代と抱き合わせで記録されることでしょう(シンクタンク研究員)。

同じネット上から生まれた「アニメ大賞」は空前のアニメブームを背景に、他の大賞とは趣が違います。日本が誇るサブカルチャーとして海外でも評価されているだけに、「アニメという独立したカテゴリーの中で独自路線を追求しながら、どんな言葉・台詞が受け手の心を掴むか楽しみです」(映画担当記者)。

■昨年(2014年)のアニメ流行語大賞の結果
金賞:レロレロレロレロ(ジョジョの奇妙な冒険)
銀賞:もんげー(妖怪ウォッチ)
銅賞:妖怪のせいなのね(妖怪ウォッチ)

台詞が受賞の対象で、アニメファン以外に裾野をどう広げるか課題です。

今年の流行語大賞は「アレとあの人で決まり!」との声

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画像出典:Wikipedia

「今年は突出した流行語やホットな言葉がなく、不作の年と言われています。」

それだけに最近の芸能人の結婚ラッシュやラグビー日本代表がクローズアップ。とくにキック時の独特なポーズの五郎丸選手に熱視線です。名言を吐くことで有名ですが、、元気の象徴の「五郎丸」の名前が候補になることがあるかも!

今年、話題になった流行語をピックアップ

・芸能関係:「福山ロス」「かぶり婚」「かぶせ婚」
・東京五輪関係:「佐野る」「白紙撤回」「エンブレム」「国立競技場」
・芸人関係:「あったかいんだからぁ♪」「ラッスン・ゴレライ」「火花」「安心してください、はいてますよ」
・世相関係:「爆買い」「ドローン」「熟成肉」「それあなたの感想ですよね?」
・その他:「ビッグデーター」「上級国民」「北陸新幹線」「異物混入」

福山雅治の結婚や東京五輪絡みの流行語が目立ちますが、衝撃度はイマイチ。年末にかけて「びっくりポン」の流行語が登場するか、期待したいものです。

国民的流行語に代って人それぞれの「造語」時代になるか・・・

流行語大賞は「現代用語の基礎知識」(自由国民社刊)の読者アンケートを経て、文化人などの選考委員会で、大賞やトップテンなどが選ばれます。

過去、大賞に選ばれて唯一受賞者が辞退したことがあります。昨年の「集団的自衛権」です。選考委員が政治的意図に働いたのでは、と当時は物議を醸しました。選考委員の人選によっても大賞の色合いがビミョーに変わるようです。

■海外でも米国と英国で「一番流行した英語」を発表しています。英語辞典や学会が選考し、「オックスフォ―ド英語辞典」が選んだ13年の言葉は「selfie」(自撮り)でした。「スラングやジョークの本場だけに、言葉に関してはにぎやか。ただイベントとして盛り上がっているかは不明」(メディア評論家)。

すでにひとつの言葉が国民的支持や共感を得なくなっています。「流行語」に代って、人々の生活や環境、愉快か不満かなどをベースに「造語」の時代が来るかも知れません。大半の人がスマホやPCなどの発信機能を手にしているのですから。現に巷には俗語や簡略語が溢れています。プロの作り手による流行歌が低迷し、逆にシンガー自らが生き方をテ―マにする歌がヒットしています。いずれ「流行語」という言葉が「流行」になったりして(シンクタンク研究員)。

ビジネスパーソンは、自分達の身辺でどんな言葉を使っているのでしょうか。各大賞に注目しながら、「たかが流行語か、されどか・・」そっと聞いてみたい。

Career Supli
流行語は時代を反映していて興味深いですね。今年は流行語は、火花、爆買い、白紙撤回、そしてラグビー関連が来そうな気がします。皆さんも予想してみてください。
[文]メディアコンテンツ神戸企画室 神戸陽三 [編集]サムライト編集部