リスクの語源は「勇気を持って試みる」だ!

数百年に一度の災害が頻発

ギリシャや中国で起った金融危機や、数百年に一度と言われていた自然災害が頻繁に起こるような不安定な時代になると、のんびりした人でも日常の様々な「リスク」について、マジメに考えざるおえない状況になってくると思います。

事故や災害のリスクだけでなく、給料が下ったり、職を失うリスク。家族や自分が振りこめ詐欺など他人に起因する犯罪に巻き込まれるリスク、食品偽装の商品を購入してしまうリスクなど、リスクの発生源には事欠きません。このような時代にどのようにリスクを捉えてサバイバルしていくべきかを考えていきましょう。

リスクとはなにか

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リスクについて書かれた名著『リスク:神々への反逆』によれば、リスクの語源は「勇気を持って試みる」ことだそうです。もともと受動的な意味はなく、能動的に未来を選択する意味をもつそうです。

語源的にRiskとは、イタリア語のriscareに由来するという言葉で「断崖絶壁を航行する」(navigate among the cliffs)、「危険を冒す」(run into danger)という意味をもっていたらしく、どうなるか分からないという、結果の不確実性という意味合いも含まれていたようです。

現在の一般的な認識としては、Wikipediaで説明されているように

「ある行動に伴って(あるいは行動しないことによって)、危険に遭う可能性や損をする可能性を意味する概念」

として理解されています。もちろんあらゆることに付随するリスクを冷静に判断する必要はありますが、もう一つリスクについて考えなければいけないのはリスクの存在そのものや、その深刻さよりも、私たちのリスクの認識の仕方自体です。つまり何を「リスク」と捉えるかという点です。

予測は当てにならない

Apple Macintosh 128k from 1984, the vintage iMac

例えば、私たちが何らかの「リスク」を取ることを検討する場合、その判断材料となるある「予測」をもとに考えることが多いと思います。特に自分の専門以外に関しては、その道のプロを参考にする場合も多いでしょう。

しかし、その「予測」というのがいかに困難で、あてにならないかということは覚えておいた方がいいかもしれません。これは専門家の予測も例外ではありません。ある統計学のマニュアルに引用されていたという過去の「予測」に関する言葉をご紹介します。

「コンピューターの需要は、世界全体で五台ぐらいだろう」
トーマス・J・ワトソン IBM初代社長 1943年

「現在の株価の下落は、・・・おそらく近々、最大でも数日以内に止まるだろう」
アーヴィング・フィッシャー、経済学者 1929年 11月14日 ブラックマンデー直後

「もしなんらかの制限を設けなければ、人口は幾何級数的に倍増し、
25年ごとに倍に増えていくと断言できる。」
トーマス・マルサス 経済学者 1830年

「驚くべき発明だ。しかしこれをいったい誰が使おうというのだ?」
ラザフォード・ヘイズ 米国大統領 1876年 (電話を見た感想)

「1920-1921年のような厳しい不況は、本来起こりえないものだ」
ハーバード・エコノミック・ソサエティ 1929年11月16日

「コンピューターに商業的可能性はない」
IBM代表取締役 1948年

「個人が家庭にコンピューターを置く理由などない」
ケン・オルソン、 DEC社長 1977年

これは当時の予測のほんの一部です。愚かな人の発言ではありません。主要なポストについていた専門家たちの予測で、当時はかなり説得力のあった言葉でした。

何かを予測する必要がある時、新しいものに出会った時、自分の理解の範疇を超えているわけのわからないものを見た時、これらの言葉を思い出しましょう。程度の差こそあれ、人間の予測などこんなものだということを、頭の片隅に置いておきましょう。

リスクの捉え方を変える

未来の予測が難しいのであれば、どのようにリスクを回避すれば良いのでしょうか。

1つの方法としては、

「リスク」と自分が認識する範囲を変えてしまう、「へっちゃらだい」戦略というやり方があります。ようは一般常識的な「リスク」を「リスク」と考えないという戦略です。

例えばプライバシーに関する「リスク」では、プライバシー侵害をどう防ぐか、もし起きたらどうリカバーするか、というのが一般的なリスクマネジメントの考え方です。そして、その前提は「プライバシーを侵害されることは自分にとって悪いことである」です。

しかし必要以上にプライバシーや個人情報と騒ぎすぎではないでしょうか。実際のところ、公開されて困る私生活ってそんなにあるのでしょうか。誰もそんなにあなたに注目していないことがほとんどではないでしょうか。

例えば、普段の帰り道で寄るコンビニの購入内容が公開されたとして、それはもちろん「プライバシー侵害」であることは間違いありませんが、私生活が多少公開されても気にしないという考え方をしている限り、このプライバシーの「侵害」が「損害」につながりにくいと考えるのが「へっちゃらだい」戦略です。

もちろん今はストーカー行為がエスカレートして、凶悪な犯罪に発展するケースもあるので、個々人でプライバシーをどこまで守るかは真剣に考えたほうが良いとは思います。ただ、自分の中でここまでの個人情報やプライバシーが漏れても最悪オッケー!という覚悟を決める「へっちゃらだい」戦略はストレスを少なくして生きていくための、有効な戦略の1つでしょう。

マイナンバー制度が始まると、かなり高い確率で個人情報の流出事故が起きると思います。そして今のところ、それを完璧に防ぐ有効な方法はありません。そのため、個人情報の流出事故のようなトラブルは発生するのを前提として生きていくことを考えておいた方が現実的でしょう。

失敗するリスクよりもやらないリスクが怖い

「リスク」を考える上で考えるべきポイントの1つとして「攻める方が、既得権益に安住するより低リスク」という点です。EXILEがまだ5人で絶好調だった2009年に、7人を一気に加入させた時、EXILEは終わったと相当な勢いで叩かれましたが、その後の大躍進は皆さんもよく知るところだと思います。

動物は不確実な状況におかれたとき、集中力や学習力を増大させるためにドーパミンの分泌量を増やすことがわかっています。自分を効率よく成長させるために、うまく「リスク」を利用するという考え方は有効です。新しいチャレンジをするか、現状維持が迷った時は、EXILE の Choo Choo TRAINでも聞いてテンションをあげて、前に一歩踏み出しましょう。

[文・編集] サムライト編集部