本を読みたいけど時間がない!
本を読むスピードを意識したことがありますか?すぐに読み終わった本、なかなか読み終わらない本、と漠然としか意識していない人の方が多いかもしれません。
日本人の文字を読むスピードは1分間に400~600文字程度と言われています。太宰治の「人間失格」は文庫本で1.2cmほどの厚みで、75036文字なので、一般的な人はこの本を読むのに約2時間半かかることになります。
実際に面白い本を読むと、時間はあっという間に過ぎてしまいますが、1.2cmの本で2時間半も掛かってしまうのは忙しいビジネスパーソンにとってはかなり大きなロスです。
たまに本屋さんのチラシや電車内の広告で見かける「速読術」。読むスピードなんて本当に早くなるの?と半信半疑の人も多いかもしれませんが、速読術には本を読むスピードが早くなる他にも様々なメリットがあります。
速読術とは?

速読術とは、読んで字のごとく「文章を速く読む」ための技術です。ただ単に飛ばし読み、斜め読みをするのではなく、文章を素早く読みながらも理解が出来ていないと速読術とはいえません。
人が文字を読む際には、1文字ずつ追うのではなく、数文字ずつの塊で捉えています。この塊を捉える時に人の目の動きは止まり、次の塊を捉えようとする動きにも時間がかかります。
速読術では主に、この数文字の塊を大きく捉え、次の塊を捉える動きを素早くすることで読書スピードを上げます。
脳を鍛える

一般的な読書方法で使われる脳の部位は主に左脳に偏ると言われています。左脳は情報をひとつひとつ処理する働き、右脳では一度に大量に入った情報を処理する働きをします。
速読術の読書では文字の塊をいかに大きく捉えるかが重要になるため、読むスピードが速くなればなるほど、右脳の働きが活性化します。
現代人の生活では左脳を使うことが圧倒的に多いです。そのため、右脳を使う読書をすることで左右の脳のバランスを良くすることができます。右脳を鍛えることで直感が鍛えられ、物事に対する理解のスピードが速くなるとされています。
また、速読術によって鍛えられる力のひとつが「ワーキングメモリ」という機能の力です。このワーキングメモリは何か作業をするときに優先順位を決めたりタスクを作ったりする、「脳内のメモ帳」と言い換えることもできる機能です。
このワーキングメモリが強くなると、物事の並行作業がうまくなったり、創造性のある思考ができるようになります。
目を鍛える

速読術をトレーニングに取り入れるスポーツ選手は多く、プロ野球では速い球を確実に打つために実践する選手が多いようです。
速読を訓練することにより、一度に見れる範囲、「周辺視野」を広くすることができます。周辺視野が広くなると、スポーツにおいての状況判断に役立ち、どんな状況でも的確な動きをできるようになるのです。
周辺視野に加えて、速読には目のスピードを鍛えることが必要になります。眼球を動かす筋肉を強くすることで、ピントを合わせるための筋肉も一緒に強くなり、速読術で視力まで回復するといわれています。
目と脳の連携も、速読とスポーツに共通して重要です。「素早く文字を捉え、脳で処理する」一連の動作を練習することは、野球選手ならば「飛んできたボールを捉える、脳がどのタイミングでバットを振るか判断する、体を動かしてボールを打つ」という一連の作業をスムーズにする助けになります。
速読によって目の働きを良くし、脳との連携を良くすることは、スポーツにおいてだけではなく、日常生活の状況判断能力の向上にも役立ちます。
自宅で訓練

速読にはいくつもの流派がありますが、多くの流派に共通しているコツは
・文字を塊でとらえる
・頭の中で音読をしない
の2つです。
感覚をつかむのが初めは難しいかもしれませんが、意識して繰り返し練習することでどういうことなのか体感でわかるはずです。
速読のためのセミナーはたくさんありますが、まずは自宅でチャレンジしてみるのも良いでしょう。何からしていいか分からない人は、無料速読トレーニングサイト 速トレなど、速読のトレーニングができるウェブサイトを利用することがおすすめです。
速読のトレーニングも兼ねて本を読もう
文字を読むスピードが速くなれば、それだけインプットできる量が増えるということになります。脳や目のトレーニングという観点を除いても、それだけで速読にはやってみる価値があります。
仕事が忙しくて活字離れしてしまっている人は多いかもしれません。しかし、文章を読むスピードを上げれば、時間を掛けずに本によって自分の世界を広げることができるのです。速読のトレーニングも兼ねて、久しぶりに本を手にとってみてはいかがでしょうか?
[文・編集] サムライト編集部