Google本社研修でも実験採用!藤本式「緊張した体」のほぐし方

身体バランス調整のプロが明かす「リラックス術」

「何だか疲れがとれない」「最近疲れやすくなった」そんな悩みを抱えていては、毎日楽しく働くことなんてできませんよね。そこでおススメしたいのがGoogle本社研修でも実験採用された、藤本靖さんの「ボディワーク」です。

藤本さんはアメリカ発祥の身体バランスの調整をするための手技療法「ロルフィング(R)」の技術と、独自の身体論を駆使して、プロスポーツ選手やダンサーなどに対して多くの指導を行って来た人物です。

ここではそんな藤本さんがベストセラーとなった著書『「疲れない身体」をいっきに手に入れる本』で明かしている、「緊張した体」のほぐし方を紹介します。

「緊張」が体の疲れを作る!

体の疲れの原因には様々なものがあります。近年では『すべての疲労は脳が原因』(著:梶本修身)といった書籍も出版されるなど、これまで言われてきた「筋肉が弱っている」「気合が足りない」といったものとは全く別の原因も発見されています。

藤本さんが体の疲れのの原因として挙げるのは「緊張」です。仕事やプライベートで神経をすり減らす日々を送っている現代人は、自分でも気づかないうちに全身が緊張状態にあります。

不自然な緊張状態が続くと、私たちの体は内部機能を低下させ、血行が悪化したり、消火器の働きも低下したりします。そんな中でも私たちは体を休めることなく、毎日のように働かなければなりません。これでは疲れて当たり前なのです。

「体のセンサー」が緊張を作る!

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体の疲れの原因を「緊張」だとすると、この緊張の大きな原因となっているのは「体のセンサー」の機能不全です。ここでいうセンサーとは目や耳、口や鼻のこと。これらは私たちが外部から情報を収集するための重要な器官ですが、必要以上に緊張状態になると体全体のバランスを崩してしまう原因になります。

というのもこの4つの器官が、頭蓋骨の中心にあって体全体のバランスを調整する骨である「蝶形骨」と密接な関係にあるからです。感覚器官の緊張は蝶形骨に伝わり、蝶形骨の緊張はこの骨を介して体全体に伝わり、その結果体全体が緊張するという仕組みになっているのです。

これは逆に言えば感覚器官をリラックスさせて蝶形骨をほぐしてやれば、体全体もほぐせるということです。そこで以下では目・耳・口・鼻のほぐし方について解説していきます。

首も体の芯も楽になる!「目」のほぐし方

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まずは最も多くの情報を集める器官「目」のほぐし方です。「目が疲れた」という時、実際には眼球そのものではなく、これを動かしている筋肉が疲れています。この筋肉が長時間同じ画面を見るなどして硬直し、疲れを感じるのです。

この筋肉をほぐしてやることで、目の疲れは一気に楽になります。また目の緊張は首の後ろの筋肉の緊張にもつながっているので、目がほぐれれば首もほぐれます。藤本さんが提唱する目のほぐし方は全部で4種類。ここではこのうち基本となる3種類を紹介します。

1.眼球を感じる。

まぶたを閉じた上から、人差し指・中指・薬指の三本で優しく眼球に触れます。この時右目を触るときは左手で、左目を触るときは右手で行います。その状態で眼球の大きさ・形・重さ・質感を指の腹で感じるように意識します。ポイントは眼球を自分の意思でほぐそうとしないこと。

ただ今の自分の眼球の状態を感じることに徹します。すると不思議なことにしばらく触れたまま待っていると、徐々に眼球に変化が生まれます。これに気づいたら、首の後ろの筋肉の変化にも気づけるはずです。

2.眼球で呼吸するよう意識する。

1で眼球の状態や変化を感じづらいという人は、触れた状態で自然に呼吸し、その呼吸を眼球でするようにイメージしてみましょう。このボディワークで眼球を感じられるようになるだけでも効果はありますが、そのうえで1に戻っても構いません。

3.眼球を動かす。

このボディワークでは、眼球を上下左右斜め方向に動かします。このときその方向にあるものを本当に見るような感覚で動かすと、より眼球を動かす筋肉を感じやすくなるでしょう。実際にやってみるとわかりますが、眼球の筋肉を意識できるだけで、徐々に目がリラックスしていきます。

これらのボディワークは最初はリラックスしやすい仰向けで、かつ片目につき5分〜10分ほどかけて行うようにします。始めのうちは眼球を意識できるようになるまでに時間がかかるからです。

慣れてくれば片目につき3分程度で行えるようになるため、まずは慣れることが重要です。姿勢に関しても最終的には座って行うこともできるようになります。なお、ハードコンタクトレンズをつけている場合は安全のためにも、外した状態で行いましょう。

手軽なのに効果は絶大!「耳」のほぐし方

Woman's ear
ストレスになる話や、騒音などを耳にすると、耳の周りの筋肉は一気に硬直します。すると側頭部が硬くなり、蝶形骨を圧迫し、変位させてしまいます。その結果体全体の緊張が高まり、疲れを増長してしまうのです。この耳をほぐすボディワークは、目のボディワークよりも手軽ですが、体の緊張をほぐすという意味では効果は絶大です。ぜひ生活の中に取り入れてみましょう。

a.慣れないうちはマットなどに横向けに寝ます。
b.上にある側の耳の付け根を、親指と中指(もしくは人差し指)でつまみます。
c.頭の骨から耳の付け根を2mm〜3mm程度浮かせるように引っ張ります。
d.頭の骨と耳の付け根の間にできた空間に空気が通り抜けるようなイメージで呼吸します。
e.前・後・上・下の方向へ引っ張ります。「目の疲れ」「頭が重い感覚」「アゴの緊張」を取り除くことができます。
f.片耳につき5分〜10分ほどかけてほぐします。

この耳のボディワークも目のボディワーク同様、慣れてくると座ったままでできるようになります。

睡眠の質も上げる!「口」のほぐし方

人は何かを我慢すると下アゴに力が入ります。また言いたいことを我慢すると、舌に力が入ります。こうした緊張が蝶形骨に伝わり、体全体の疲れに繋がるのです。この緊張した口をほぐすには、「アゴ」と「舌」に分けてボディワークを行う必要があります。

●「アゴ」のボディワーク

アゴのボディワークは簡単です。仰向けになった状態で、割り箸の太い方を縦にして、奥歯に挟むだけです。これによって首筋、肩、股関節に至る筋肉がほぐされます。夜なかなか寝付けない人などにも効果を発揮するので、ぜひ寝る前にベッドの中でやってみてはいかがでしょうか。

●「舌」のボディワーク

固まってしまった舌をほぐすためには舌を色々な方向に動かす必要があります。しかしやみくもに動かしてしまうとむしろ喉やアゴの筋肉を無駄に緊張させてしまいます。そこで準備段階として、舌がどこから動き出しているのかを確認しておきましょう。

a.のどぼとけの左右に両手の指先を軽く添えます。
b.この状態で舌を2cmほど出し入れします。
c.このときに喉の中で動いている出っ張りが、舌の根本であり、舌を支えている「舌骨」です。

舌のボディワークをするときは、この舌骨を動かすイメージで動かすようにします。あとはこのイメージを持ったままで、舌を上下左右前後に動かしたり、歯茎の内側、頬の裏側など押し付けたりするだけです。このとき注意したいのは息を止めないこと。自然な呼吸をしながら5分程度を目安に舌をほぐしていきましょう。舌の緊張は喉の緊張に、喉の緊張は首全体の緊張につながります。首に疲れが溜まりやすい人は、ぜひ舌のボディワークを試してみてください。

頭や目、背筋にも効く!「鼻」のほぐし方

私たちは嫌な匂いを嗅いだり、ストレスを感じたりすると、鼻の上にしわを寄せて顔をしかめます。これは鼻筋にある「鼻根筋」という筋肉を緊張させて、嫌な匂いが鼻に入ってくるのをブロックしているのです。

この鼻根筋をほぐしてやると、鼻だけでなく頭や目、背筋まですっきりとします。これは鼻の中にある篩骨(しこつ)という骨の動きが、お尻の上の方にある尾骨にまでつながっているから。鼻根筋の緊張が解けたことで篩骨の動きが滑らかになり、背筋に至るまでの筋肉を活性化するのです。

鼻根筋は以下のステップでほぐすことができます。

a.リラックスした姿勢をとります(立っていても、座っていても、寝転んでいてもOK)。
b.片手の親指と中指で鼻の一番上あたりを軽く、ソフトに挟みます。
c.もう片方の手を小指の付け根が眉間のあたりにくるように額に当てます。
d.眉間から鼻の中央部分にかけて走っている鼻根筋を意識して、軽く呼吸を繰り返します。
e.呼吸のたびにシートのような鼻根筋がリラックスしていくのをイメージします。

このとき、決して自分の指などで鼻根筋を伸ばすような動作をしてはいけません。あくまで自然にリラックスしていくのを感じることが重要です。

仕事の合間に、寝る前に、体の緊張をほぐそう

ここで紹介したボディワークは、藤本さんが書籍の中で紹介しているうちのほんの一部です。しかしどのボディワークも手軽に行えるので、仕事の合間や通勤・帰宅の時間、寝る前などにパッと体の緊張をほぐしてやることができます。ぜひどれか1つでもいいのでまずは取り入れてみて、藤本さんのボディワークの効果を実感してください。

参考文献『「疲れない身体」をいっきに手に入れる本』
[文]鈴木 直人 [編集]サムライト編集部