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企業の不祥事が多発した2016年
毎年世間を騒がせるスキャンダルはあるものですが、2016年は特に企業の不祥事が多発し、大きな波紋を呼んだ年だったように思えます。
そんな年を経て迎えた2017年は、これまでよりも一層「企業は何のために存在するのか」が問われ、多くのステークホルダーに対して「正直さ」と「誠実さ」を持って接することができる人材が求められる年となるでしょう。
今回は、政治や社会環境の変化が目まぐるしい現代において、私たちが主とすべき人間力について考察していきます。
「儲け第一主義」の崩壊が始まる2017年
利益の追求は企業が生存するうえでの必要条件であり、そこに勤める人材が果たすべき大切な役割です。しかし昨今では、残業時間の超過が原因となった過労死や、モラルを欠くような行き過ぎた事業の実態がメディアによって多く取りざたされるなど、「儲け第一主義」に陥った企業文化が生んだ弊害や歪みが、社会的にも問題視されるようになりました。
場合によっては、このような企業の不祥事に対して、事業停止の行政処分が下るというケースもあります。また2017年には、労働基準法を改正し、時間外労働の上限を明記するという動きがあるなど、企業が抱える残業超過の問題に対して、政府側からも働きかけが始まります。
“良い”会社よりも“善い”会社が生き残る時代へ
このような社会的背景から、今や多くのステークホルダーは、企業のとる“態度”に注目していると言っても過言ではないでしょう。
これまで“良い”会社と言われてきた有名な大企業であっても、ステークホルダーを無視した利益追求を行えば、どこかに歪みが生じていき、それが無自覚のうちに大きくなり、将来的に自らの首を絞める結果となってしまいかねないのです。そんなリスクを避けるためにも、2017年は大企業を中心に“善い”会社づくりが加速するかもしれません。
具体的には、ビジネスモデルによって生じた利益を還元する仕組みが生まれたり、従業員が働きやすいワークライフバランスの充実した企業になったりと、企業文化の変化が活発化するのではないかと考えられます。
そんな中で、企業が人材に求める人間力とはいったい何なのか?今回は「正直さ」と「誠実さ」にスポットを当てて考えていきましょう。
「正直」な人材を採用するメリット

信頼を得るために不可欠な人間力
企業が「正直」な人材を採用するメリットとして第1に、正直な人ほど他者の信頼を得やすい傾向にあることが挙げられます。現代のビジネス環境において、人から信頼を得るということは、仕事を成功に導くために最も重要なファクターであると言えるでしょう。
利害関係のあるクライアントはもちろん、同じチームとして働く仲間に対しても正直でなければ、信頼関係はすぐに崩壊し、会社全体の不利益へとつながってしまいます。
例えば、ビジネスモデルを考える人間が従業員を含めたステークホルダーに対して嘘をつき、そのまま事業を進めてしまったら、企業は結果として重大な不祥事に直結するリスクを抱えることになってしまいます。そんな危険性を未然に防ぐためにも、企業は安心して仕事を任せることができる正直な人材を雇用する必要があるのです。
ミスを隠さないから、フォロー体制が強化できる
仕事のミスを包み隠さず報告できる人材が増えることで、チームのフォロー体制を強化したり、会社全体の風通しをよくしたりする効果が見込めます。
誰しもミスをすれば「知られたくない」と思うものですが、自分でカバーしきれないミスは、結果としてチーム全体のパフォーマンスを下げてしまいかねません。そんな事態に陥らないためにも、ミスをした際にもすぐ報告できる正直さは、人間力として持ち合わせておきたいものです。
間違っていることや疑問に思ったことを発言してくれる
事業の方向性や上司の判断が間違っていた場合、その間違いを指摘したり、疑問を投げかけたりできる人材は貴重な存在です。いざというときにセーフティーとなれる人材がいなければ、集団全体が問題に対して無自覚な状態となり、リスクを積み重ねる結果を招いてしまいます。
目上の人間に対して指摘を入れるのは難しいことだと考える人も少なくないかもしれませんが、企業の一員として、自分には発言する責任があることを自覚し、おかしいと思ったことは積極的に発言するよう心がけましょう。
「誠実」な人材を採用するメリット

丁寧な仕事で、手抜きをしない
次に、企業が「誠実」な人材を採用するメリットを解説していきます。誠実な人材の特徴として、仕事が丁寧で、手抜きをしない性格であることが挙げられます。仕事に対する丁寧さは、社会人として当然持つべきものではありますが、それが当たり前であるからこそ、仕事に慣れると手を抜きやすくもなりがちです。
周囲の雰囲気に流されることなく、自分の仕事に対して誠実に、最大限のクオリティーを目指すことで、必ず良い評価にもつながるでしょう。
期日に対する意識が高く、進行管理能力が高い
決められた期日に対して意識を高く持つことも、ひとつの人間力と言えます。こうした意識の薄い集団ほど、残業時間が長く、メリハリのない働き方となってしまいがちです。
終業後に遊んだり、身体を休めたりするプライベートな時間を確保するためにも、仕事の進行管理を怠らず、常に「どうしたらもっと効率化できるか」を考えることは大切です。また効率化の施策を試す際には、改善前と改善後のデータを残すことで、評価につなげることもできるでしょう。
周囲のモチベーションをアップさせてくれる
誠実な人間ほど、言葉だけではなく行動も伴っているもの。これは周囲からの好感度が高いリーダーの特徴でもあります。「誠実な男性はモテる」とよく言いますが、自らのリーダーシップを発揮して、周囲のモチベーションを上げてくれる人材は、企業内でも重宝されます。
現在マネジメントする立場ではないという人でも、チーム全体を見渡すクセをつけて、困っているメンバーを積極的にサポートすることで、自然と信頼されやすい人間力を身につけることができるはずです。
見つめ直したい日本の道徳心
今回は2017年に求められる人間力について、昨今の社会的背景から考察してきましたが、以上のような「正直さ」や「誠実さ」を持つことは、仕事のみならず、人生において必要な要素とも言えます。道徳の原点だからこそ見失いがちですが、いま一度立ち止まって考えてみるのもよいかもしれません。
