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自分のやりたい仕事をするには?
希望を持って社会人生活をスタートさせたものの、「自分のやりたい仕事ができない」とお悩みの方も多いのでは?
趣味や習い事に通いそれなりに満足しているもののどこか物足りなさを感じている方のために、アパレルブランド「MAITE」を立ち上げ、アルパカ素材のニット製品を事業展開している吉田彩子さんに、夢を仕事にする方法をお伺いしました。

MAITE代表 吉田彩子さん
アパレルブランド「MAITE/マイテ」(以下MAITEと記す)の代表を務める吉田彩子さんは、日本橋などにも近い東京の下町、人形町で「働く女性が身に着けやすいアイテム」をコンセプトに、南米ペルーのアルパカ素材を使ったニット製品の販売を行っています。
かわいいだけじゃない!日本人が知らないアルパカの魅力
日本では愛らしい動物として人気があるアルパカですが、欧米では昔から、保温性が優れている繊維としても人気があります。
「MAITE」では「働く女性が身に着けやすいようなアイテム」をコンセプトに、そのアルパカの毛を贅沢に使ったニットや靴下などを展開しており、最近では女性だけでなく、男性からも人気を集めています。
商品名:ライン入りのシンプルなニット帽(ライトグレー)
価格: ¥7,020 (税込)
素材:ベビーアルパカ
参考: http://maite-jp.com/2015/10/23/alpacasocks/
商品名:ゴムなししめつけない靴下(ライトベージュ)
価格:¥3,240(税込)
素材:ベビーアルパカ
特にお客様のリクエストから生まれたというベビーアルパカの毛を使った靴下は、保温性の高さから冷え性に悩む方から人気を集めており、比較的高めの価格設定でありながら品薄状態が続いています。
きっかけはペルーでの出会いと、ものづくりへの関心

「この事業を始めたきっかけは、大学時代にペルーを訪れ、編み物をする人たちとの出会ったことです」と話す吉田さん。
ペルーを訪問した際、女性たちがアルパカの毛糸を使った手編みのマフラーを作っている工房に出向き、貧困の中でも子どもを育てながら手仕事で収入を得ようとする女性たちの姿のたくましさに触れ「もっと応援したい」と感じたそうです。
国際協力への高い関心があった吉田さんは、発展途上国で作られた商品を日本のバザーなどで販売し、現地に売り上げを送り届けるというプロジェクトに携わっていましたが、実際にペルーという国が持つ地理的、文化的な多様性や都市と地方の大きな経済格差の大きさに触れ、この想いはさらに強くなりました。
大学卒業後は、「ものがつくられる背景への関心と、海外とつながった仕事がしたい」という想いから外資系のアパレルに就職し、転職先も含めて約5年間、日本のアパレルメーカーと中国の縫製工場間の生産管理業務を経験しました。
お客様である大手ブランドの企画にも携わることができ仕事にやりがいを感じていましたが、遅い時間に帰宅する生活が続く毎日に「子どもができたらこのような働き方は出来ないのではないか?」という想いや、「温かみや個性のある手仕事のものづくりに携わりたい」という考えが徐々に強くなっていきました。
新規事業の提案に、事業計画なしでチャレンジを決意
大学卒業後もペルーで編み物をする人達との交流を続けていたという吉田さん。ペルーで編まれたマフラーを友人に紹介したり、近所のカフェで商品の販売をお願いしたこともあったそうです。
ペルーとの交流を続けながら、社会人生活を送っている吉田さんにチャンスが訪れたのは、2013年1月のことでした。
「『会社の新規事業として試してみないか?』と声をかけてくださりました。事業計画もありませんでしたが、こんなチャンスは二度とないかもしれないと思い、チャレンジしようと決めました」と吉田さんは、当時のことを振り返り語っています。
最初はマフラーの販売から始めたアパレル事業ですが、これまで苦難の連続でした。特に悩まされたのが、ニットの生産工場があるペルーと日本との働き方の違いでした。大らかなペルーの人に、日本式の働き方をどこまで求めるかで悩んだこともあったそうです。
また当初はアルパカ素材の手編み製品に特化して事業を始めましたが、寒い時期にしか商品が売れないという課題にぶつかり、アクセサリーなどの商品を増やして乗り切ったこともありました。
魅力溢れるニット作りに意外なアイデアも
水天宮前に期間限定でオープンしたショップの様子(2015年末で閉店)
「お客さまが商品に触れた瞬間に笑顔になってくださった時が嬉しい」と語る吉田さん。
冷え性で困っていた方から喜びのメッセージをいただいた時や、「もっといい商品を作りたい」という想いが共有できた時が、特に仕事のやりがいを感じる瞬間だそうです。
現在はオンラインストアでの販売が中心ですが、不定期で百貨店での販売も行っています。
2015年は有楽町マルイの1階や、期間限定で店舗を出店(水天宮前)し、「将来的にお店を持ちたい」という思いも強くなったそうです。
「将来的には、アルパカ素材の魅力を知ってもらえるイベントを開きながら、お客様と一緒に魅力溢れるニット作りを展開していきたい。実物のアルパカを使ったイベントができないか考えている」と話す吉田さん。百貨店などで、前代未聞の店舗販売が見られる日も近いかもしれません。
「明日が来るとは限らない」危機感が決断を後押し自分のやりたい仕事を実現した吉田さんですが、一方で「日本の20代は世界で最もチャレンジしない」というデータも発表されています。
吉田さんが自分のやりたい仕事にチャレンジできたのは、同世代の学生時代に同じ志をもって活動していた仲間の死により、「今日と同じ明日が来るとは限らない」と身をもって感じたことが背景にあるそうです。
「どんなにやりたいことがあっても、世の中にはチャレンジできない人がいます。先のことを考えすぎて行動しないのは、結局やらない理由を探しているだけではないでしょうか?
日本ではどんなに失敗しても、餓死したりする心配はほとんどありません。もし何かやりたいことがあるのなら、積極的にチャレンジしてみるのも良いと思います」と吉田さんは語りました。
あなたは今の人生や仕事にどのくらい満足していますか?もし「このままではいけない」という想いがあるのなら、あなたが本当にやりたいことへのチャレンジを検討されてみてはいかがでしょう?
