『真似の出来ない仕事術』と『逆転の仕事論』
BRUTUSの6月1日号の特集は『真似の出来ない仕事術3』。堀江貴文さんの新刊『逆転の仕事論』は5月24日発売。
BRUTUSの特集はシリーズで今回は「インプット」に特化しているものの、堀江さんの新刊に近いコンセプトです。雑誌のBRUTUSと、堀江さんという、タイプの違う先駆者が、同じ時期に「真似の出来ない仕事術」に関する本を発売したのは偶然でしょうか。私はなにかそこに、時代の変化の予兆を感じてしまいます。
いま、従来の成功パターンが崩れてきて、新しい仕事の方法論やスキルがユーザーに強く求められているのだと思います。ネットによって、働き方や稼ぎ方が徐々に変化していることを感じていて、次の生き方の手がかりをイノーベーターのやり方から学びたいと考えているの人が多いのでしょう。
「引き受ける」から「作る」

『逆転の仕事論』では武田双雲、佐渡島庸平、増田セバスチャン、田村淳、HIKAKIN、小田吉男、小橋賢児、岡田斗司夫という8名のイノーベーターが紹介されています。彼らに共通する点は、
そして堀江さんいわく、若い世代はこの人たちをたんなる変わり者としてみるのではなく、新しい働き方モデルのテストケースとして見る必要がある、と。
では、イノーベーターに共通する点はどんなところなのでしょうか。
違和感を無視しない

仕事をしていく中で「何かこれ変だな」と自分の中に、違和感やひっかかりを感じることがあると思います。これは大きなヒントです。
一般的には正しいとされていることや、稼げるとされていることでも、もしあなたが違和感を感じる部分があったとしたら、そこが行動するチャンス。いろんなタイプのイノーベーターがいて、価値観や考え方は様々ですが、過去から現在に至る話を追っていくと、行動するキッカケになっているのは違和感であることが多いです。
そこから、その違和感を解消するためのやり方を求めて試行錯誤をしたら、結果的に、新しい仕事のやり方になっていたというパータン。純粋にやりたいからやる、というパターンももちろんあるのですが、違和感を解消するために動くというのは分かりやすい方法の1つです。
逆算しない

独自のポジショニングにいる人はうまく計算して、そのポジショニングをつくったように見えますが、実はほとんど逆算してやっていません。以外と深く考えずに、そのときにやってみたいと思ったことや、関心のあることにトライしています。そして、興味や関心から、目の前にあることにひたすら集中します。この時の、のめり込み方はすごいです。
あまり計算せずに目の前のことにのめり込んで、そこで得た知識や経験を持って次のステップに進むというやり方をしています。よく好きなことを仕事にするべきか、否かという議論がありますが、重要なのは、その仕事にハマれるかどうかだけだと思います。
その人の持つ資質や性格によって、どんな仕事でもハマれるタイプの人もいれば、特定の仕事しかハマれない人もいるでしょう。そういう意味で自分を知ることが重要です。
常に試行錯誤し続ける

すべてのイノーベーターに共通する点として、常に試行錯誤をし続けるというのがあります。むしろ、試行錯誤をすることが人生だと考えている人が多いです。常に自分なりの仮説を立てて、それを自分で検証していく「1人試してガッテン」。これを楽しみながらやれる人たちです。
『逆転の仕事論』に登場するyoutuberのHIKAKINさんは、ヒューマンビートボックスで有名になったのですが、そこだけに留まらず、お菓子の紹介動画や、ゲーム実況動画など次々に新しいことにチャレンジして、新たなファンを獲得しています。
ロンブーの田村淳さんもあれだけTVにで活躍しているのに、さらに台湾のTV番組でレギュラーを持ったり、ニコニコ動画で『敦の休日』という自分の番組を持ったりと、新しいことにチャレンジしています。ずっと同じ場所にいることなく、どんどん次のステージに移っていってます。
感情のマネジメントをする

イノーベーターの人たちは、どうやったら自分が一番よい状態で仕事に取り組めるのかということを非常に大切にしています。
だからこそ、ワクワクするや、楽しいという感情を非常に大切にして、それをプライオリティの高いところに置いています。そのため自分が違和感を感じる仕事は、どんなに割がよくてもやりません。それによって受けるマイナスが、自分のクリエイティビティに大きな影響を与えるのを理解しているからです。
そうやって自分のエネルギーやテンションを高い状態にキープしているので、それに感化される人をどんどん巻き込み、コラボレーションをしてプロジェクトを推進させていきます。
この人と一緒に仕事がしたいと相手に思わせることが仕事を「つくる」のには不可欠です。こういう人たちはアンチもつくりますが、それ以上に面白いと思ってくれる理解者を獲得します。
特別な人ではない
新しい仕事を「つくる」人は、特別すぐれた人ということではなく、自分が何をしたいのかを理解し、試行錯誤を続ける人たちです。『逆転の仕事論』に登場する人たちもはじめから仕事を「つくる」人だったわけではありません。企業に属していたり、時に引きこもったりしながら模索してきた人たち。
そんな当たり前のことに気づかせてくれるBRUTUSの『真似の出来ない仕事術』と『逆転の仕事論』、非常に良面白いです。一歩を踏み出したい人におススメします。
[文]頼母木俊輔 [編集]サムライト編集部