転職面接は印象がすべて?心理学が明かす「好感度の作り方」

面接官は必ずしも「有能」ではない

転職を成功させるためには、ほとんどの場合面接をクリアする必要があります。そのためには一見有能そうで、入社希望者を鋭い眼光で見定める面接官に、自分が会社に必要な人材であると納得してもらわなくてはなりません。しかし実はこの面接官たち、たいていの場合入社希望者側が思っているほど有能ではないそうです。

様々な企業でコンサルティングなどを行うメンタリストDaigoさんは、著書『面接官の心を操れ!無敵の就職心理戦略』のなかで「面接する人は、単に好感度だけで合否を決めています」(p59)と言い切っています。つまり好感度を上げる、第一印象を良くする方法を身につけていれば、面接の通過率は大幅にアップするのです。ここではこの方法をDaigoさんの著書の第II部「好感度は作れる---面接を支配する7つの戦略」から4つ紹介します。

取得・アピールするスキルは単純明解に!「ハロー効果」活用法

最初に紹介するのは「ハロー効果」。これは光背効果、後光効果とも呼ばれ、私たち人間がある対象を評価する際に目立ちやすい特徴に惑わされて、他の特徴の評価を歪めてしまうという現象です。例えば新入社員で英語がペラペラの人がいると「あいつは仕事ができそうだな」と思ってしまうのは、ハロー効果です。

学歴を見ただけでなんとなく「多分仕事もそつなくこなしてくれるんだろうな」と感じるのも、ハロー効果です。この現象を1920年に提唱したエドワード・ソーンダイクの実験でも、ある軍隊の将校たちもこのハロー効果のせいで正しく人事評価ができなかったという結果が出ています。

このハロー効果を利用すれば、自分の欠点を目立ちやすいスキルのハロー=後光によって目立たなくさせられます。例えば語学はその典型ですし、資格にしてもマイナーな資格よりは誰もが知っていてある程度取得が難しいとされている資格の方が高いハロー効果が期待できます。

したがって語学能力や資格を複数持っているのなら、できるだけわかりやすいスキルをアピールするべきです。またこれから身につけようとする人も、「わかりやすさ」「アピールしやすさ」を重視して勉強すれば、ハロー効果を利用して好感度を作ることができます。

もちろん「スキルなんて付け焼き刃で良い」というわけではありませんが、ハロー効果の存在を知っておけば効果の薄いスキルをアピールせずに済むはずです。

面接中に「相手が欲しい人材」を作り出すテクニック

Daigoさんは面接官について、衝撃の事実を明らかにしています。

それは、ほとんどの面接官は「どんな人材が会社に必要なのか」「どんな人材を採用すべきか」がわかっていないということ。引用:前掲書p102

これを利用した「質問からの承諾先取り」を使えば、曖昧模糊とした「相手が欲しい人材」を入社希望者側が明確にし、それを自分だと思わせられます。

例えば問題解決力をアピールしたい人が、いきなり「問題解決力があります」と言っても、面接官に問題解決力のある人材が欲しいという明確な認識がないため、あたかも相手に押し売りされているかのように感じる可能性があります。

これに対して質問からの承諾先取りはまず「自己アピールをしてください」と言われた後に、「御社は各部署で業務改善に積極的ですが、問題解決力のある人材を求めているのでしょうか?」と逆質問します。

それに相手が「そうですね」と答えてから「それはよかった!私には問題解決力があります」という流れでアピールするのです。相手の欲しい人材を明確化したうえで、それに当てはまるスキルをアピールする。これが質問からの承諾先取りです。

ただしこれはあくまで一例であり、このやり取りをそのまま転用することはできません。相手の欲しい人材の明確化、逆質問の仕方、自分のスキルのアピール方法などは適宜調整が必要です。

「知性的な仕草」は視線・話し方・顔で作る


たいていの企業は知性のない人よりも知性のある人を好んで採用するはずです。しかしこの知性の有無を判断するのは至難の技。そのためここでもやはり面接官が入社希望者に対して抱いた印象が大きく影響します。Daigoさんが挙げる、知性的に思われるために必要な要素は「視線」「話し方」「顔」の3つです。

知性的な視線とは、話すときに相手の目を見る、話していなくても高い頻度でアイコンタクトをとるというものです。ただ相手の目を睨みつけたり、せわしなくチラチラ視線を送っていては逆効果になります。相手が視線をそらしたらこちらも逸らす、自然な視線の移動を意識するなどして、知性的な自分を作り出しましょう。

知性的な話し方とは、「大きな声」と「テンポの良さ」を兼ね備えたものを指します。逆をイメージすればわかりやすいでしょう。小さな声で面接官の質問に対する回答を棒読みする人を、誰も「なんて知性的なんだ!」とは思いません。

話す内容を論理的に整理しているからこそテンポがとれるのであり、内容に自信があるからこそ大きな声で話せるのです。具体的にイメージができない人は、Daigoさんのニコニコチャンネル「メンタリストDaigoの『心理分析して見た!』」の無料動画などを参考にしても良いでしょう。

知性的な顔と言われると「顔はもうどうしようもない」と思う人もいるかもしれません。しかし知性的な顔とは「左右対称の顔」のこと。したがって女性ならメイクで、男性でも眉毛を整えるだけである程度補正できます。美容院などで頼めば自然な形の左右対称な眉毛にしてもらうことも可能です。面接前には自分の顔の見直しもしておきましょう。

「見た目が大事」の科学を知っておこう

心理学的に見ると、男性は容姿端麗な人、スタイルがいい人を採用する傾向が強いことがわかっています。
引用:前掲書p138

これは男性でも女性でも変わらないそうです。つまり男性の面接官は美男美女を好んで採用する、というわけです。これに対して女性は入社希望者が美人であるほど評価が厳しくなる傾向があるとされています。顔の対称性が知性的な印象を与えると書きましたが、顔を含むその人の見た目は面接における印象に大きな影響をもたらすのです。

したがって知性的な顔を作るとともに、一見してスタイルが良いとわかるように体を鍛えるのも、転職を有利に進めるテクニックとなります。なにも筋骨隆々になる必要はありません。科学的に「万人が好ましいと感じるスタイル」というものがあり、それに合わせて肉体改造するだけで十分です。

すなわち男性ならば肩幅のサイズが1とした場合にウエストの幅が0.6〜0.7を示すスタイル、女性ならばヒップのサイズを1とした場合にウエストのサイズが0.7〜0.8を示すスタイルです。

どのような方法でこのスタイルを実現するかは人それぞれです。例えばもともと肩幅のある人ならばダイエットでウエストを絞る方が早いでしょうし、これ以上痩せられないというほど華奢な人は筋トレで肩幅を大きくする方が健康的でしょう。自分に合うやり方で万人ウケするスタイルを作り出しましょう。

「好感度さえあれば無能でも良い」わけではない

普段から練習したり面接に向けて練習したりしていれば、ここに挙げた方法やそのほかDaigoさんの著書で紹介されている方法は十分実践可能です。

しかし当然ですが「好感度さえあれば無能でも良い」わけではありません。仮に実力もないのに好感度だけで採用されてしまえば、あとで痛い目を見るのは自分だからです。

Daigoさんの著書が第II部「好感度は作れる---面接を支配する7つの戦略」の前に、第I部「後悔しない就活&仕事選びとは?---『いい仕事』を選ぶ3つの原則」でキャリアプランの立て方を案内しているのは、そうした状況に陥らないためでしょう。

ただし、自分に能力があるにもかかわらず、総合的・客観的にこちらを評価できない面接官のせいで転職できないという事態は避けるべきです。好感度を作るのは、そのための自衛策なのです。

参考文献『面接官の心を操れ!無敵の就職心理戦略』
Career Supli
面接官をやるとわかりますが、一緒に働きたいと思えるかどうかが重要だと思いました。
[文]鈴木 直人 [編集]サムライト編集部