IT企業とは? 種類・職種・仕事内容、転職する方法を簡単に解説

IT企業は年収の高さや働き方の自由度の高さといった魅力があり、転職を希望する方が少なくありません。本記事ではIT企業の種類や職種ごとの仕事内容といった基本的な情報から、求められる知識やスキル、おすすめの資格、IT企業に向いている方や転職する方法まで、IT企業に興味がある方に役立つ情報を幅広くお伝えします。

IT企業とは?

IT企業とは、コンピューターやインターネットを使った情報技術を扱う企業のことです。

IT企業とひとくくりにしても、業界は多岐にわたり、取り扱われる商品やサービスも様々です。ソフトウェアの開発や、インターネット上でのサービス提供、ハードウェアの製造など、企業はそれぞれ自社の得意分野において商品やサービスを展開しています。

IT企業が属するIT業界の種類

IT業界は主に、インターネット・web業界、ソフトウェア業界、ハードウェア業界、情報処理サービス業界の四つに分けられます。

インターネット・web業界

インターネット・web業界は、ウェブサイトの制作やSNSの運営など、インターネット上で利用するサービスを提供する業界です。

ソフトウェア業界

ソフトウェア業界は、アプリケーションやオペレーティングシステムなどの、機械上で動くプログラムを開発する業界です。

ハードウェア業界

ハードウェア業界は、パソコン、キーボード、プリンターなどの電子機器に関する開発および製造を行う業界です。

情報処理サービス業界

情報処理サービス業界は顧客の悩みや課題を解決するために、必要な情報システムの企画開発、運用、コンサルティングなどを行う業界です。

IT企業の主な職種一覧と仕事内容

IT企業では多様な職種のスタッフが働いています。主な職種と仕事内容をまとめましたので、興味のある仕事を見つけるための参考にしてください。

ITコンサルタント

ITコンサルタントとは、クライアント企業の経営課題に対してITを活用して解決策を提示するコンサルタントのことを言います。

お客様との対話を通してニーズを探り当て、仕事を生み出す、システム開発の最上流工程にあたる職種です。

表面的な問題にとらわれず本質的な課題を見極め、適切なアプローチを導き出すITコンサルタントになるためには、IT分野への深い造詣だけでなく、高い論理的思考力が必要です。

【関連記事】コンサルタントとは何か? 主な種類や仕事内容を簡単に紹介

プロジェクトマネージャー

プロジェクトマネージャーは、一言で言うとシステム開発プロジェクトの責任者です。プロジェクトの企画や予算の策定、必要な人材の確保や運営管理など、プロジェクトの全工程に携わり、完遂に努めます。

大勢のスタッフと関わり、調整役となることもあるので、コミュニケーション能力や交渉力、マネジメント能力などが求められる職種です。

システムエンジニア

システムエンジニアは、クライアントの要求をもとに、パソコンを使ってシステムやソフトウェアの設計をする職種です。

定められた予算と納期の中で完成物を作らなければならないため、スケジュールやメンバーの管理を適切にできるよう、マネジメント能力が求められます。

設計したシステムについてクライアントへ伝えるのも業務に含まれるため、裏付けとなる確かな知識だけでなく、コミュニケーション能力も必要です。

【関連記事】エンジニアとは? 主な種類や仕事内容をわかりやすく紹介

ネットワークエンジニア

ネットワークエンジニアとは、企業が使うコンピューターやプリンターなどの電子機器を繋ぐ、ネットワークの構築および保守運用を行う職種です。

ネットワークの構築には、セキュリティ設定や権限付与などの検討も含みます。ルータやLANケーブルなどの機器を実際に繋ぐことが多く、決められた設計通りにするのは当然として、見た目が美しい配線にすることも大切です。

ネットワーク機器を熟知していることだけでなく、近年はクラウドに関する知識も必要とされます。

セキュリティエンジニア

セキュリティエンジニアとは、既存のネットワークやシステムにある脆弱性を見つけ出し、外部のサイバー攻撃から守るセキュリティシステムを提供する職種です。

セキュリティシステムの企画および提案から、設計、実装、テスト、保守運用といった一連の業務を担います。

ネットワーク、サーバー、データベースなどに関する知見だけでなく、個人情報保護法や不正アクセス禁止法といった法律に精通していることも求められます。

データベースエンジニア

データベースエンジニアとは、企業が情報を保存するデータベースについて、システムの設計および構築、管理、運用を行う職種です。

「Oracle」や「Microsoft SQL Server」などのデータベース製品を使って、必要なデータを瞬時に取り出せるシステムの開発や、スムーズに運用できるようサーバーの最適化、データベースへの不正アクセスを防ぐためのセキュリティ構築といった業務を行います。

データベース製品に関する知識と、データベース言語であるSQLのスキルが求められます。

プログラマー

プログラマーは、コンピューターを動かすための言語であるプログラミング言語を用いて、システムやアプリケーションを作るプログラミングを行う職種です。システムエンジニアが設計した仕様書に基づいてプログラミングをします。

プログラムの不具合にあたるバグを見つけるのもプログラマーの仕事です。プログラミング言語はObjective-C、PHP、Java、JavaScript、Perlなど多数あり、iPhoneのアプリケーション開発ならObjective-Cというように、仕事内容により求められる言語は異なります。

特別な学歴や資格がなくても、基本的な知識とスキルが評価されて採用につながるケースが多いので、未経験でも挑戦しやすい職種です。

データサイエンティスト

データサイエンティストとは、アルゴリズムや統計などの情報科学理論を活用してデータを分析し、経営課題解決に役立てるなど経営資源として活用する職種です。解析ソフトの開発を行うこともあります。

具体的な業務の内容は、企業内のデータを収集して蓄積する仕組み作り、集めたデータの分析、経営課題発見、解決策の提言、経営判断に役立つレポーティングなどがあります。

ITだけでなく数学やデータマイニングなどの専門知識と論理的な思考力が、データ解析の専門家たるデータサイエンティストには必要です。

Webデザイナー

Webデザイナーは、クライアントが希望するWebサイトのデザインをし、操作性を考慮して設計する職種です。

「Illustrator」や「Photoshop」などのグラフィックソフトを使用してWebサイトの配色やアイコンの配置を決め、HTML・CSS・JavaScriptなどのWebサイトを構成するプログラミング言語でコーディングをします。コーディングとは、Webデザインをブラウザ上で見える形にするためにコードを記述することを言います。

クライアントが持つイメージをヒアリングにより明確化することも業務に含まれるので、Webデザイナーにはデザイン能力やコーディング力だけでなく、コミュニケーション能力も必要です。

デザインをする際は、見た目のきれいさだけでなく使いやすさも重要です。操作性のいいWebサイトをデザインするためには、UI(ユーザーインターフェース)の知識が有用です。

Webディレクター

Webディレクターとは、Webサイト制作の現場でプロジェクトの責任者として、スタッフを率いてクライアントの要望にかなった制作物を作り上げる職種です。

Webディレクターの必須スキルは、ディレクション能力です。

Webサイトの制作には、Webデザイナー・Webエンジニア・ライター・SEO担当者など、多数のスタッフが関わります。スタッフをまとめ、納期や予算を守り、確かな品質のものを作り上げるには、適切な指示を出しながら段取り良く物事を進めスタッフを統率していくディレクション能力が必要です。

クライアントの要望をヒアリングしての企画立案や、スタッフの選定および調整役などの業務にはコミュニケーション能力も求められます。

ページの目的にあったレイアウトを考えるのもWebディレクターの仕事に含まれるため、Webページのレイアウトを決めるための設計図であるワイヤーフレーム作成の経験があると望ましいです。

Webマーケター

Webマーケターは、自社サイト・SNS・メールマガジンなどを使ってWeb上で見込み顧客を集め、自社サービスや製品の購入へ導くための仕組み作りををする職業です。

主な業務内容は、集客・アクセス解析・リピーター獲得の三つです。

集客は、SEOと広告を活用してユーザーを集めます。アクセス解析は、自社のWebサイトにアクセスしたユーザーのうち商品購入や会員登録などの行動につながった割合が向上するように、Webサイトのデザインや機能を改善します。リピーター獲得には、メールマガシンの配信とSNSの活用が主に用いられます。

顧客との接点を保ち、商品やサービスの再購入へつなげる重要な業務です。Webマーケターにはマーケティングの知識だけでなく、Webサイト構築スキルやデータ分析スキルが求められます。

データの分析や解析には種々のツールがありますが、多くの企業に使われているGoogleアナリティクスは使いこなせるようになっておきましょう。

営業

Web営業は、Webサイト制作やシステムの開発といった自社の商材を活用してクライアントの課題を解決する職種です。

主な業務内容は、Webサイト制作の依頼受注・システムやソフトウェアの開発受注・インターネットメディアの運営代行受注・Webマーケティングに関するコンサルティングなどで、Web関連の知識・SEOに関する知識・ヒアリング力・分析力・コミュニケーション能力といったスキルが求められます。

クライアントと接する部分以外では、開発要員の確保および収支管理といった業務もあります。

クライアントから受注してきたプロジェクトを遂行するために、収益率などを計算してかけられるコストを考慮した上でメンバーを集めなければいけないので、経営に関する知識やプロジェクト管理能力も必要です。

IT企業で働くメリット

IT企業には、他業種にはない特長があります。IT企業で働くメリットをまとめました。

年収が高い

IT企業は新しい技術を柔軟に取り入れることが求められるため、年功序列よりも実力主義であることが多いです。また、日々変化および進捗している業界であるため、働く人材の需要が高く、他の職業と比較しても平均年収が高めです。

積極的に業界のトレンドを収集し新しい言語を使って開発ができれば、会社から求められる人材となって、高収入をねらえるようになります。

働き方が自由

IT業界は新しい考え方との親和性が高い業界なので、自由度が高く働きやすい環境を整えている企業が多くあります。

社員が高いパフォーマンスを発揮できるように環境作りに力を入れているので、フレックスタイム制やリモートワークの導入、ワークライフバランスの考慮、1時間単位での有給取得制度などといった自由な働き方を選びやすいという利点があります。

また、多数のスタッフが関わるプロジェクトでも、各自に割り振られた仕事はそれぞれで行うのが基本であるため、きちんと結果さえ出せば比較的自由に作業が行えるのもIT企業の特長です。

最新スキルの習得

IT業界は専門的な知識やスキルが求められる上に、継続して新しい技術にアップデートしていくことが必要な業界です。

業務に取り組む中で、最新の技術に触れてスキルを身に着けていけるのは、IT企業で働くメリットです。

スキルアップして自ら色々なものを生み出していきたいという思いを持つ方は、自分が携わったものが社会に出ることで大きな達成感ややりがいを得られます。

IT企業に向いている人

変化の激しいIT業界では、新しい情報を常に取り入れ、技術を学び続けることが求められます。

好奇心を持って情報収集やパソコン操作に取り組めれば、スキルをアップデートしながら働き続けることが可能になります。IT業界に興味があって主体的に動けることが、IT企業に向いているか否かを決める最初の条件です。

変化に適応する能力が高いことは、技術的な変化の激しいIT業界において強みとなります。

たとえばプログラミング言語は多数ありますが、一時期高い注目を集めたにもかかわらず、今日ではほとんど使われていないものもあります。自分が得意なプログラミング言語であっても、業務で使われないのでは意味がありません。すでに持っているスキルに固執することなく、新しい技術を積極的に取り入れていく姿勢が重要です。

また業務を行う上では、突発的なシステム障害やクライアントからの急な要件変更依頼といったトラブルにも、慌てず臨機応変に対応することが求められます。

経営課題に対してITを活用して解決するITコンサルタントや、データを分析し経営課題解決に役立てるデータサイエンティスト、論理的なコードを書くことが求められるプログラマーなど、IT業界では論理的思考力が求められることが多くあります。

コンピューターは細かく正確な指示を与えないとシステムやアプリケーションが動かないため、プログラミングには高い論理的思考力が必要です。

また、日ごろから論理的思考ができる方は、業務全般において効率的な手順で進められるため、生産性が高い人材として重宝されます。

IT企業に求められる知識・スキル

IT業界で働くためには、基本的なプログラミングスキルが欠かせません。実際にプログラミングをしない職種であっても、業務遂行には基本的な知識が必要となります。

プログラミング言語は種類が多く、主に利用される分野や特長はそれぞれ異なるため、自分が開発したい分野で使われるプログラミング言語を身に着けておくことが重要です。

IT業界で長く働くと、プロジェクトマネージャーやシステムエンジニアなどのスケジュールやメンバーの管理が必要となる職種に就くことが多くなります。自分ひとりで業務を行うのではなく、チームを管理してプロジェクトの成功へ導かなければいけないので、マネジメントスキルが求められます。

経験を通して身に着けていくスキルではありますが、その必要性を早いうちから意識して準備しておきましょう。

IT企業に入りたい人におすすめの資格

能力を客観的に証明してくれる資格は、転職の面接時に武器となります。IT企業に入りたい方におすすめの資格を紹介します。

ITパスポート

ITパスポートは、ITに関する基礎的な知識を身に着けていることを証明できる国家資格です。国家試験ですが難易度は低く、合格率も約60%と高めです。

取得することで、ITに基礎知識を効果的に活用して業務にあたれるようになるとし、大企業では取得の推奨資格となっていたりします。

試験は随時実施されていて気軽に受験が可能となっています。試験当日は、会場のパソコンを利用し、CBT方式での受験となります。キーボードやマウスを用いて解答します。

【参照元】ITパスポート|情報処理推進機構(IPA)

基本情報技術者試験

基本情報技術者試験は、ITエンジニアとして働くために必要な基本的知識や技能を持っていることの証となる国家資格です。

この資格を取得するとITエンジニアとしての土台をしっかりと固められるので、応用力を身につけて高度な技術を持った人材に成長していくことにも役立ちます。

試験は午前午後にわかれて実施され、それぞれ出題形式などが大きく異なるため早い段階から事前の準備が必要です。

基本情報技術者試験の上位試験として応用情報技術者があります。より専門的なスキルの証明となりますので、次のステップとして受験を検討してみるのもよいでしょう。

【参照元】基本情報技術者試験|情報処理推進機構(IPA)

MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)

MOSは、Microsoft Office製品の操作スキルを国際的に証明できるMicrosoft社提供の民間資格です。

この資格は、マイクロソフト社製のソフトのWordやExcelなどが使用できるという証明になり、所有者は一定のパソコンスキルや事務能力を有すると評価され重宝されるでしょう。

試験の受験方法は2つあり、「全国一斉試験」と「随時試験」が選べます。申し込み方法以外に違いはないので、自身のスケジュールなどにあわせ受験しましょう。

会場に設置されたパソコンを使用し、受験するアプリケーションソフトをマウスやキーボードを操作して解答するスタイルとなっています。

【参照元】Microsoft Office Specialist|株式会社 オデッセイコミュニケーションズ

IT企業に転職・就職するには? 未経験でも可能?

IT企業に転職や就職をしたいと思った時は、未経験歓迎の求人を探したり、転職エージェントに相談したりすることをおすすめします。

未経験者歓迎の求人を探す

IT業界は今後も需要が拡大していくと言われています。

20代は今後の伸びしろを期待され、未経験でもIT業界への転職がかないやすい年代ですが、それ以外でもしっかりと転職前に準備をすることで、転職に成功する可能性はあります。

エンジニアなどの技術が必要とされる職種でも、未経験OKや未経験歓迎の求人を探して応募してみましょう。

また、プログラマーは基本的な知識やスキルを身につけていれば採用されることが多いので、未経験でもチャレンジしやすい職種です。

自分で制作した成果物を提出したり、上記で紹介した資格を取得したりすることで能力や熱意が伝わり、より採用されやすくなります。

転職エージェントに相談する

転職エージェントに相談することの大きなメリットは、自分の適性や経験に合う企業をプロが見極めて紹介してくれることです。

IT業界は専門性の高い業界であるため、未経験の方が自分に適した企業を見つけ、採用されるのは困難です。

また、転職エージェントを利用すると、履歴書および職務経歴書の添削や、面接対策のアドバイスといったサポートを受けられるため、転職活動をスムーズに進めやすくなります。

まとめ

ますます需要が高まるIT業界は、将来性や年収の高さや自由度の高い労働環境、最新スキルの習得が可能といったメリットからも近年特に人気のある業界となっています。

IT業界に興味があって主体的に動ける方や、日々新たな技術がうまれるなかでいち早く情報をキャッチし、変化へ適応する力が高い方、論理的思考力を持つ方などはIT企業に向いています。

IT業界への転職をスムーズに進めるためには、プロのサポートを無料で受けられる転職エージェントを利用してみてはいかがでしょうか。

[文]CareerSupli編集部 [編集]CareerSupli編集部