「IT人材の転職市場は今後必ず拡大します」IT部門に約40%のコンサルを集約!LHH転職エージェントの目的と強みとは?――IT人材紹介部部長インタビュー

■LHHが逆境下でくだした決断とは?

経済の先行きが見えないなか、検討していた転職をいったん白紙に戻している人も多いのではないでしょうか。

そうした厳しい状況は人材業界も同じ。しかしLHH転職エージェントでIT紹介事業部長を務める市野友(いちの・ゆう)さんは、「IT人材の転職市場は、アフターコロナで再び大きく拡大します。LHH転職エージェントはその時のために今から備えています」と言います。

この備えの一環が、今回打ち出された「IT100」というプロジェクトです。

今回は20年以上IT人材ビジネスに関わってきた市野さんに、このプロジェクトの内容と目的をお聞きするとともに、LHH転職エージェントが行なっている施策や強みについて伺いました。

■新プロジェクト「IT100」の内容と目的とは?

今回LHH転職エージェント(以下、LHH)が打ち出した「IT100」とはどういうプロジェクトなのですか?

市野友さん(以下、市野):わかりやすく言えば、ITに関わるコンサルタントの数をこれまでの1.5倍、人数にして約70人から100人以上に増強し、よりIT領域のサポート力を分厚くしようというプロジェクトです。

100人という数字は、同業他社と比較しても多い?

市野:はい。IT専任だけで100人というのは、大手くらいしかいないと思います。

LHHの場合はコンサルタントの約40%をITに集中動員していますからこれは非常に高い比率といえます。

加えて今回のプロジェクトでは、IT部門の中の各部隊がより連携の取りやすい形に編成を見直しました。

どういうことですか?

市野:まずITエンジニア系部門は大きくアプリ系とインフラ系に部を分け、専門特化型のキャリアアドバイスがさらに深化できるように再編しました。

ここに従来は別々の部隊だったITセールスやデジタルマーケティングの部隊を統合し、元々IT分野に強かったエグゼクティブ部門も含めて同領域内での連携に横ぐしで入れて強化したのです。

今の経済状況下では会社として大きな決断だと思いますが、なぜこのような方針を打ち出したのでしょうか?

市野:アフターコロナに日本の経済が回復してくれば、 社会の変革を追い風としてIT人材の転職市場は再びこれまで以上に拡大すると考えられます。

「IT100」はLHHが会社としてこうした将来を今から見据えたある種の「選択と集中」のプロジェクトです。

長年IT領域での人材ビジネスに携わってきた私としては、こうした会社の先見的な判断を誇らしく思いますし、何としても成功させたいと考えています。

しかしIT分野が発達し、キャリアが細分化している今、いきなりIT部隊を増員しても急ごしらえのチームではベストなキャリアサポートは難しいのでは?

市野:今回の増員は「とりあえず人手を増やしておこう」というものではありません。高い専門性を有したコンサルタントで100名体制を敷くことに意義があると考えます。

今回のプロジェクトでIT部門に異動になったコンサルタントは30人以上おり、もともとIT分野に詳しいメンバーもいます。

一方でITに精通していないメンバーに対しては不足したノウハウを補うためグループ会社であるVSNのIT研修をみっちり受けてもらいました。

どういった内容の研修ですか?

市野:研修はエンジニアが受けるものをベースとして作られたカリキュラムでIT知識と業界理解を深め、技術的には実際に仮想サーバーの構築などまでを行っています。各現場に入ってからは専門性の高いメンバーによるOJTも実施しています。

キャリアサポートの質には影響しない?

市野:はい、何の問題もありません。もともとコンサルタントとしては実績のあるメンバーばかりなので、キャッチアップのスピードも早いんです。

コンサルタント間の情報共有体制も、以前にも増して強化しているところなので、むしろ人数が増え情報量が増えることで今までよりもサービスの質はきめ細かく高まるはずです。

どのような情報共有体制を構築しているのですか?

市野:チャットツールによるタイムリーなコミュニケーションのほか、東名阪のチームの横連携を高め、より多角的な情報を集められるようにしました。

また、通常のミーティングだけでなく、メンバー間のコミュニケーションを目的としたミーティングの時間を作っています。

元エンジニアのコンサルタントも多く、IT企業で長く働いていたメンバーにほかのメンバーから質問することで、ノウハウだけでなく登録者様の心情や考え方などをインプットする時間もあります。

■IT人材がエージェントを活用するべき理由

IT人材には情報収集が得意な人が多いと思いますが、わざわざ転職エージェントを利用する理由はどこにありますか?

市野:理由は大きく2つありますね。一つは「情報の整理と選択肢の順位づけに役立つから」。もう一つは「エージェントしか知り得ない情報が非常に多いから」です。

それぞれ詳しく教えてください。

市野:ではまず一つ目から。先ほどもお話ししたように、今の時代のIT人材はキャリアの選択肢がとても多く、複雑化しています。そのため十分な情報が手に入っても、それらを整理して自分にとってのベストな選択肢を選ぶのは至難の技です。

しかしLHHのコンサルタントなら、そのような人に対しても的確なアドバイスをすることができます。

なぜそんなことができるのですか?

市野:LHHは職種別で組織編成をしているため、転職者の皆様にとってその道の専門職のプロとの相談ができるという特徴があります。

そのような組織編成は業界では珍しい?

市野:大半の大手エージェントは製造業界・IT業界といった業界カットで組織を編成しています。一人の担当者が一つの企業の経理、営業、エンジニア、人事、すべての職種を見るケースがほとんどです。

企業への営業活動としては効率的ですが、職種ごとの理解が薄まってしまうので、はたして登録者様にとってのベストなキャリアアドバイスができるかどうかとというと疑問ですね。

続いて「エージェントしか知り得ない情報が非常に多いから」について教えてください。

市野:今の時代はネットでかなりの情報を集められますが、そんな時代だからこそ生の情報の方が貴重になります。

ホームページに載ってない実際の社内のカルチャーを面接担当官の方から直接聞いたり、企業としてのビジョンや事業展望を役員の方から教えてもらったりと、各社に深く入り込んでいるコンサルタントにしか知り得ない情報はたくさんあるんです。

他には例えばどんな情報があるのでしょうか?

市野:例えば求人票などの公式の情報には◯◯とまとめて表現しているけれども、実は△△のような人材を優先して採用している、とかこういう方にはフィットしやすい・しにくいなどの客観的な分析情報もあります。

あとは会社に入った後の具体的なキャリアパスについての情報もあります。だいたい入社5年でこれくらいのポジションに就ける、年収はこう上がっていく、といった具合です。

しかもそれを人事部長や採用している部署の部長などから引き出せるので、信ぴょう性も高いのです。

■エージェント選びは「ビジョンマッチング」を基準に

転職エージェントとひとくちに言ってもいろいろな会社がありますが、選ぶ際の基準はありますか?

市野:手前味噌で恐縮ですが、「ビジョンマッチング」を意識したサポートをしてくれるかどうかが大きなポイントだと思います。

ビジョンマッチングとは何でしょうか?

市野:企業のビジョンと、個人のキャリアビジョン・ライフビジョンがマッチしているかどうか、ということです。

確かに条件マッチ、つまり年収や業務そのものへのマッチングももちろん大切ですが、それを超えた上位概念の部分でのマッチを重視するスタンスですね。

今このビジョンマッチングの考え方を、LHHを含めたアデコジャパン全体で徹底しようという方針になっているのです。

どうやって両者のビジョンをマッチングさせるのですか?

市野:メインになるのはクライアントビジョンの深い理解、そして登録者様のキャリアビジョン・ライフビジョンの棚卸しです。

クライアントの目指したい姿を我々が熱量を持って登録者の方に伝えられる、同時に登録者様のキャリアや考え方、「将来こうなりたい」「自分はこういう人間でいたい」といった部分を深掘りできるかどうかが、これからのキャリアコンサルタントの肝になると思います。

ビジョンマッチングというスタンスは、人材業界では一般的ではないのですか?
 
市野:LHHに関しては、今まで似たことはやってきました。しかし今回改めてビジョンマッチングという言葉を使うことで、より明確に企業や登録者様のありたい姿を意識するようになった、という形ですね。

しかし登録者の方からビジョンを引き出すには、時間も労力もかかりそうですね?

市野:おっしゃるとおりです。すでにビジョンをもっている人は別ですが、もっていない人や曖昧な人に対してはコミュニケーションの中から一緒に見出していく必要があります。

今回の「IT100」プロジェクトは、より専門性の細分化されていくIT人材の皆様のキャリアやビジョンに、それぞれの専門コンサルタントが踏み込んできめ細かくフォローしていくためにも必要な増強施策と言えるでしょうね。

LHHのIT人材への「本気」が伝わるお話でした。本日はありがとうございました。

[文]鈴木 直人 [編集]サムライト編集部