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同期の出世頭はその後・・・
新卒入社で同期がいた複数いた経験のある人はその頃を思い出してください。その中でも積極的に行動して先輩の覚えもよく、同期の飲み会でも中心的な目立つ人物がいたと思います。
同期の中でもいち早くリーダーや主任になった仕事のできる人がかならず1人や二人はいたはずです。その人はこれからもどんどん順調に出世して、一番早く役員まで上り詰めることができるのでしょうか。
大企業から中小企業まで150社以上の人事評価制度改革に携わってきた人事のプロで『逆転出世する人の意外な法則』の著者、平康慶浩さんによれば、むしろ一番はじめに係長に昇進するような同期の出世頭はその後、なぜか途中で出世できなくなることが多いといいます。それはなぜなのでしょうか。本書からそのポイントを抜粋してご紹介します。
新人時代の評価や抜擢は気にしなくていい
著者は、20代の人たちが自分の評価を気にするのに対して「今受けている評価なんて、10年後、いや5年後には笑って話せるようになるので気にする必要はない」と言います。係長への出世競争で遅れていた人がその後に挽回し、部長に一番に昇進するケースをたくさん目にしてきたそうです。
それどころか、むしろ挽回してきた人の方が、より高みに上がっている場合もあるそうです。新人時代に目立っている人は、目の前の仕事を頑張ることで評価は高くなるのですが、出世していく際には別の評価基準が用いられるので、評価結果と出世とが関係しなくなるタイミングがくるといいます。
また若いうちに抜擢されて、重い役割を与えられて伸びる人もいますが、そうではない人も多いのです。多くの日本企業での抜擢は現在なかなか機能しなくなっていて、その理由は人事制度と、企業を取り巻く環境変化にあるそうです。
スタッフレベルとリーダーレベルに求められる能力の違い

役職者になる前のスタッフレベル、いわゆる平社員は、企業のパーツとしての役割が求められます。人事制度でそのことを明記している資料に、等級定義、等級基準というものがあり、そこでは、平社員を次のように定義しています。
スタッフ等級:
学習し、成長することが求められる等級。スタッフ等級に求められる行動とは、自分自身の学習と成長だ。そのためにはまず専門性を学ばなければいけない。また、組織の一員として活躍するため、自分自身の業務の効率性を常に意識して活動しなければいけない。
スタッフ等級には、会社の売上や利益に貢献することを求めてなく、それよりもまずは一人前になることを求めています。一方でこの上のリーダー等級の階層では、次のような等級定義になります。
リーダー等級:
企業として業績や組織そのものに貢献することが求められる等級。リーダー等級に求められる行動とは、所属するチームに貢献することだ。そのためには課題を解決してゆくための専門性が必要になる。また、高いレベルでチャレンジするために、周囲との信頼関係を築かなければいけない。
このような定義の違いが普段の業務に求められる動きや、評価の基準にも反映されます。スタッフの間はとにかく言われた事を素直に的確にこなして、日々うまくできるように成長することを求められます。
自分がこれから歩んでいきたいキャリアがずっとスタッフレベルのものであれば、目の前の結果だけを追求すればよいのですが、早くスタッフレベルからリーダーに成長して、その先のマネージャーといった管理職に成長していきたければ、目の前の評価が低くても気にしないほうが良いのです。
平社員であれば、その間に積んでおくべき経験や、身に付けるべきスキルがあります。それを着実にこなすことの方が目の前の評価を得ることよりも、後々重要になってきます。
早期転職するかどうか見極めるポイント
では、今の会社で頑張るべきか、見切りをつけて転職すべきかのポイントはどこにあるのでしょうか。この会社にいて「得られるモノ」と「いることで発生するリスク」を見極めることが重要なのです。
言い換えれば「この会社にいてどんな行動様式が手に入るのか」、「回避されるリスクととらなければいけないリスクに何があるのか」、「処遇でどのように報われるのか」ということが分かりやすい判断基準になります。たとえばチャレンジをするのが大好きな人が、何事も稟議を通さなければいけない会社に居続ける場合、この人が手に入れるのは、稟議を通してからチャレンジするという行動です。
チャレンジの失敗確率は下がるかもしれませんが、新しいことができる可能性は下がるかもしれません。リスクを判断するのは難しいのですが、同業他社の担当ができることが、この会社にいてできるのか、できないのかなどを総合的に判断する必要があるでしょう。
処遇に関しては、目の前の金額ではなく、役員手前の段階での年収がどれくらいなのか、ということを基準にして考えると良いようです。
逆転のための武器は「尖った専門性」と「丸いつながり」
いまできることよりも、少しだけ難しい業務に取り組んでいると、やがて2つのモノを獲得できると著者は言います。それは、「尖った専門性」と「丸いつながり」です。
はやく出世したのに途中でだめになってしまう人は、このどちらしか持っていない人が多いとそうです。「尖った専門性」とは、専門性のレベルが世間一般的に高いレベルにあり、社内の第一人者であることはもちろん、社外と比較しても遜色ないレベルに達していることが重要です。特定の業務や職種に役立つ知識だけではなく、論理的思考力やプレゼンテーション能力なども含まれます。
この専門性を尖らせて優秀さを認めさせるステップの中で、つながりをまるくすることを意識しないと社内に敵をつくってしまい、社内政治に潰されてしまうと可能性が高くなるといいます。自分が専門的な知識を持っていると、つい知識のない人たちを正論で論破したりしてしまいがちなので、そうならないように「丸いつながり」をつくることが重要になってくるのです。
たくさん失敗している人が逆転する
出世に出遅れた人でも長いスパンで考えると、逆転は十分に可能だということがわかって驚いた人も多いと思います。若くしてベンチャー企業で成功している人などが連日メディアで取り上げられたりするのを見ると、自分は何をやっているのだろうと焦る気持ちもあると思いますが、人生は長いのです。
若い時にたくさん失敗してそれを学んできた人も逆転する人も特徴の一つなので、ぜひ失敗を恐れず色々なことにチャレンジしてみてください。
参考書籍:『逆転出世する人の意外な法則』
