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実際のところ、ブレストは意味が無いの!?
商品の企画や新しいサービスの企画、問題の解決法などを探るために、多くの企業で行われている「ブレイン・ストーミング」。”脳の嵐”という名の通り、様々な考え方や切り口を出し合うことで、次々に発想を広げていくツールです。
個人のアイデアには限界があるため、集団で意見を交わすブレストは必要不可欠。しかし、最近では「ブレスト」は意味が無い、非効率だという説がささやかれています。
有効な手段であるはずのブレストがなぜ機能しないのか。今回はその理由とともに改善点をご紹介いたします。明日の会議から実行して、より「クリエイティブ」な組織を目指しましょう。
その1、誰がどの分野に強いのか共有しよう

ブレストの意義は、アイデア出しだけでなく、「誰が何を知ってるのか」を組織で共有することにあります。
どのような集団でも、メンバーが同じ情報を持つことは難しいもの。そこで他人の知恵を借りようという時に、「誰がどの分野に強いのか、どんな専門知識を持っているのか」を記憶していることが重要になります。
ブレストは、こうした「組織の記憶力」を高めるという研究結果があるよう。アイコンタクトや身振り手振りをまじえて話し合うことで、「誰がどの製品に詳しい」などの情報を積み重ねていくことができるのです。
その2、多様な人材を集めれば、化学反応が起きる!

ブレストを行う際には、様々な知識、バックグラウンドを持ったメンバーを集めることが理想です。
新しいアイデアを生み出す際に大切なのは、いかに様々な視点からテーマを見られるかということです。同じようなキャリアや、似た業務につく人間が集まっても、偏った意見が飛び交うだけ。結局変わりばえのしない結論に至るということもあるでしょう。
多角的なアイデアを出すだめに、他分野の人を交えつつ、自分の専門以外にもオープンマインドであることが必要です。
その3、アイデアは質より量!くだらないこともどんどん言ってもらおう!

アイデアはどこから生まれるかわからないもの。他人の突飛な意見に触れてイマジネーションを広げるということも、ブレストの主旨です。
例えば、「CMに昔話の主人公を使おう」と誰かが言ったとしましょう。次に「じゃあ、桃太郎と浦島太郎と金太郎を友達にしよう」という意見がでて、「桃太郎の恋人はかぐや姫ね」という風に話が広がっていくのです。
インスピレーションにあふれる場にするためにも、思いついたことはすぐ口に出す事が大切です。
博報堂ケトルの代表であり、クリエイティブディレクターの嶋浩一郎さんは、ブレストで出たアイデアというのはどれも、どこかしらに響く正しいものだと考えているようです。
しかし、作ったアイデアをあえて捨てること、たくさんの正しいアイデアから適切なものを見つけ出せることこそが、優れたアイデアを作るためには重要だと言います。
良いアイデアのためには、ブレストで「アイデアの種」をたくさん作るだけではなく、その後の取捨選択にも比重を置くことを忘れてはいけません。
その4、肩書や力関係をほのめかすような発言はNG!

ブレストでは、上下関係を持ち込まないことが鉄則です。
ブレイン・ストーミングの場に権威のある人が出席すると、気兼ねしてアイデアを出せないことが往々にしてあります。上司の発言に対して、意見を返しにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。これでは活発な議論を交わすことは到底不可能です。
できれば上下の差が無いメンバーでブレストすることが望ましいですが、難しい場合には、階級を利用する発言を行わないよう徹底しましょう。
上下関係がなくとも、参加者同士なかなか心が開けず、自由な意見が言えないということもあるかもしれません。
そんなことが起こりえないのが、アサヒビールで行っているAB会議(アルコール・ブレスト会議)。文字通り、アルコールを飲む開放感で、素面の時には出なかったような自由な発想が出やすくなり、議論が活発化する、という効果があるそうです。
結論を出すためのブレストではなく、とにかく多くのアイデアを出したい時にはこんなブレストも楽しみたいですね。
その5、事前準備が効率化へのキー!

時間を割いて集まるブレストを少しでも効率良くするためには、参加者の事前準備が不可欠です。
まっさらな状態でブレイン・ストーミングに望んでも成果は得られません。集団でわいわいと意見を出し合うだけでは自分の頭で考えることが疎かになってしまうからです。
「こんなアイデアはどうだろう」「あんなこともできる」と発想を広げるために、あらかじめテーマを設定して、素材を集めておくことがポイントです。
その6、役割を決めて、他人のアイデアを否定しない
ブレストには中心になって議論をまとめる「司会者」が必要です。
しかし、この司会者がいきなり「新しいサービスに何を加えれば良いか」のような限定したストレートな質問をしてしまうことは視野を狭める危険があることに留意しなければなりません。思考の広がりをストップさせてしまいます。
ブレストでは今の課題が何であるのか導きだすことが大事であったりするわけで、結論を先に出しては意味がありません。司会者は「既存のサービスの優れているところは?」「改善点は何?」「ユーザーの反応は?」という様に段階を追って疑問を投げかけるようにしましょう。
大事なのは司会者だけではありません。司会者以外の参加者にもきちんと役割はあるのです。
面白法人カヤックでは、司会者、その場の空気を破る意見を言う人、それを受け止め広げる人、という役割を意識して用意し、合理化を図っています。タイプの違う人同士の会話のキャッチボールがブレストの場をより生産的にするのです。
「その場の空気を破る意見を言う人」に対して、「それを受け止め広げる人」が否定せずにきちんとツッコミを入れ、調整をすることで、奇抜なアイデアが現実的に使えるアイデアになることも良くあることです。
企業マインドを作るためのブレスト
ブレストは、新機軸を生み出すツールとして機能するだけでなく、「活発な意見交換をしましょう」という企業マインドを組織に浸透させることにもつながります。以上で述べたことを実践すれば、会議の外でもインフォーマルな交流が生まれるような社風をデザインできるのです。
[文・編集] サムライト編集部