「脳のゆがみ」を整えろ!ずっと一流でいるための脳コンディショニング術

上司が使えないのは「脳の歪み」が原因かも?

「ロートルの上司が全然使えない!」そんな悩みを抱えているビジネスパーソンはたくさんいるはず。ひょっとするとその原因は「脳の歪み」かもしれません。

この「脳の歪み」は「ロートルの上司」だけに起きている現象ではなく、現役世代にも十分あり得ることなのです。

ここでは医学博士であり、「脳の学校」代表を務める加藤俊徳氏の著書『脳コンディショニング』を参考に、「全然使えないロートル上司」にならないための脳のメンテナンス法を紹介します。

「脳の歪み」ってなに?

●左脳と右脳のバランスが崩れている!

脳の歪みというのは加藤氏いわく、左脳と右脳・前半分の脳と後ろ半分の脳のバランスが崩れている状態を指します。特に現代日本人は「左脳」「前半分の脳」が発達しがちで、「右脳」「後ろ半分の脳」が劣化しがちなのだとか。

左脳は主に言語的な能力を司っており、論理的な思考を行う場所です。対して右脳は映像処理が主な役割ですが、感性・感覚なども司る脳です。加藤氏は、この脳の歪みのせいで団塊世代は空気が読めず、若い世代はマニュアル偏重になるのだと言います。

●なぜ脳が歪むのか?

「歪み」の原因は単純。右脳を使っていないからです。その原因とはPCやスマートフォンによる「脳の外部化」。加藤氏が特に劣化しがちだと指摘する「視覚系」「理解系」「記憶系」の右脳の機能は、現代日本においてはデジタル端末にその多くを外部化できるのです。

例えば過度な動画サイトへの依存は、自ら積極的に視覚的な情報を得ているというよりは垂れ流しの情報をただ受身になって見ているだけの状況を生み出します。

これは視覚系の脳の劣化を生みますし、ネタ記事やバラエティ番組など理解力の必要ないコンテンツばかりを消費していたり、「記憶しなくても検索すればいい」という状況は理解系・記憶系の劣化を生んでいます。

「挑戦」は脳の劣化を防止する!

iStock_000063308245_Small 2

●「できることしかしない」と脳は歪んでいく

人間の脳は非常に合理的にできており、使わない部分はどんどん縮小していきます。現代日本人全体で見れば「視覚系」「理解系」「記憶系」の劣化が目立ちますが、個人レベルで言えば他の部分でも劣化は日々起きているのです。

これを防ぐには「新しいこと」や「苦手なこと」に挑戦し、脳が「ここは使わないから縮小させよう」と考えないようにしなくてはなりません。

●転職・起業は脳を鍛えるチャンス!

失敗や挑戦をさせてくれる職場でない限り、会社員は「できること」しかさせてもらえません。こうして何十年も会社に尽くした結果、脳がいびつに縮小した「頭が固くて新しいことを理解できないロートル上司」ができあがります。

したがって脳科学的な視点で考えても、失敗や挑戦に直結する転職や起業は、人生をエキサイティングにするためのチャンスなのです。

常に新しいことに挑戦している人たちや一流の起業家が柔軟な思考を持ち続けられるのは、脳のスペックが関わっているのかもしれません。

とはいえ誰もが転職や起業によって脳コンディショニングを行えるわけではありません。以下では誰もが日常でできる「視覚系」「理解系」「記憶系」の脳コンディショニング術を紹介します。

視覚系の脳コンディショニング

understanding art at exhibition opening

●なぜ視覚系が劣化するか?

視覚系の右脳は視覚を通じて得られる映像情報を積極的に読み取る作業で使われます。この場合の映像情報は「生」の情報であるほどよく、ディスプレイから得られる映像情報では視覚系の右脳は刺激されにくいとされています。

SNSや動画サイト、新聞や雑誌など生ではない映像情報や活字情報がメインになっている現代の日本人が特に劣化しやすい部位です。

●生の世界を見るべし!

視覚系の脳コンディショニング術として挙げられるのが「レストランのメニューを写真で選ぶ」こと。文字情報に頼らず、写真がどれだけ美味しそうかと映像情報から読み取る癖をつけるのです。

他にも「通勤途中で特定のものを探す」ことでも視覚系の右脳が刺激されます。例えば「自分好みの腕時計をつけている人を探す」「欲しいと思えるネクタイをつけている人を探す」などでも構いません。大切なのは映像情報を自分で読み取ろうとする癖をつけることです。

理解系の脳コンディショニング

●なぜ理解系が劣化するか?

理解系の右脳は「情報分析」によって刺激されます。情報分析と言っても文字情報や言語情報ではなく、ここでも映像情報です。

この理解系が発達している人は相手の話を理解する能力に長けていたり、「空気を読む」ことに長けている場合が多いのだとか。つまりこちらの話をまともに聞かず空気も読めないロートルの上司というのは、理解系の右脳の劣化が激しいということです。

●見て・聞いて、考えろ!

映像情報の分析は仕事中でも十分可能ですが、どうしても文字情報や言語情報よりも確実性が劣るのでミスのリスクが高まってしまいます。リスクの低いコンディショニング術として、普段から顔を合わせている人のその日の印象を言葉にして伝える方法があります。

「今日は顔色がいいね」「あれ?ちょっと体が引き締まったんじゃない?」と相手の雰囲気から感じ取ることができる情報を理解し、それを言葉にしようとするだけで理解系の右脳が刺激されるのです。

他にも「利き手とは逆の手で生活する」「横歩き・後ろ歩きをしてみる」など普段はしない動きをすることも、理解系の右脳への刺激になります。

記憶系の脳コンディショニング

iStock_000054108032_Small 2

●なぜ記憶系が劣化するか?

記憶系は文字どおり記憶を司る脳の部位ですが、同じ記憶系でも左脳と右脳では記憶の仕方が違います。左脳が記憶しているのは「あの時首相はこう言った」などの言語情報であり、右脳の場合は「小春日和の公園で」「紅葉のきれいな晩秋の頃で」など映像や状況を記憶しているのです。

現代日本人はこうした記憶をデジタルカメラやスマートフォンの写真アプリなどに外部化したり、「忘れた時も検索すればいい」と初めから覚えようとしていません。そのため急速に劣化が進んでいるのです。

●「覚える」「思い出す」を意識せよ!

記憶系の右脳を刺激するには「覚える」「思い出す」を意識的に行う必要があります。自炊をする人であれば行きつけのスーパーの商品の配置を覚えたり、冷蔵庫の中身を覚えて買い物をする癖をつけましょう。

1日の楽しい出来事を思い出して日記を書いたり、学生時代によく聴いた音楽を聴き直したりするのも効果的です。時間があれば卒業した小学校を訪れてみたり、昔旅行した場所にもう一度行くのも記憶系の右脳への刺激になります。

誰もが「全然使えないロートル上司」予備軍

現代日本人の生活にどっぷりと浸かっているほど私たちの脳は歪み、視覚系・理解系・記憶系を主とした右脳の機能が低下していきます。つまり誰もが「全然使えないロートル上司」予備軍なのです。

これは20代・30代のビジネスパーソンも例外ではありません。将来第一線で働き続けるためにも、今から脳コンディショニングを実践しておきましょう。

参考文献『脳コンディショニング』
Career Supli
自分は理解系の右脳が衰えていそうで心配になりました。皆さんも脳コンディショニングを意識してみてください。
[文] 鈴木直人 [編集] サムライト編集部