転職するならビッグデータ業界でしょ!今更聞けない「ビックデータ」の可能性とは

「伸びまくる市場」、それがビックデータ市場だ!

「世界のビッグデータ市場は2013年の148億7,000ドルから、2018年には463億4,000ドルに拡大する」米調査会社MarketsandMarkets社はこのような見解を提唱しています。つまりは、ビッグデータ市場=伸びまくる市場、というわけ。

ここではすでにメジャーなキーワードとして認知されつつあるこの「ビッグデータ」をその定義から、現在試みられている利用方法、そしてこれから実現されるであろう利用方法について解説します。転職するならすでに成長しきっている業界より、これから伸びまくるビッグデータ業界ですよ!

世界の全てをデータ化するビッグデータ

まずは「ビッグデータとは何か」から理解しておきましょう。IBMが使っている定義は「4V」と言われています。その内容は以下のとおり。

・Volume:データ量の増加
・Variety:あらゆる生活要素のデータ化が実現する多様性
・Velocity:情報収集の速度と頻度の向上
・Veracity:データ量がもたらす正確性

ビッグデータという名称にあるように、膨大なデータ量こそビッグデータの真髄です。IT専門調査会社のIDC社によれば2013年時点で情報機器に記録されている全世界の情報量は4.4ZB(ゼタバイト)、2020年には44ZBになると言われています。1ZBは1TBの約10億倍に相当するデータ量を示す単位。これがあと数年で2013年の10倍になるというのですから、かなりの増加量です。

多様性に関しては「IoT(モノのインターネット)」をイメージすればわかりやすいのではないでしょうか。私たちの身の回りにあるもの全てがデータとしてインターネットに接続されることで、ビッグデータには実に多様なデータが集まるのです。

情報収集の速度と頻度が上がることについては、交通系ICカードの普及や次々と開発されるウェアラブル端末が好例でしょう。私たちは日々、データの拡充に一役買っているのです。

Veracityとは「正確さ」を示す英単語。ここでイメージすべきはアンケートです。10人しか回答者のいないアンケートよりも、1万人、10万人、あるいは1億人という回答者がいた方が、導き出される結果に客観性があります。ビッグデータはそれをデータの上でやってのける、というわけ。

これまでデータが介入できなかったところにまで、ビッグデータは踏み込むことができます。これが経済に影響を及ぼさないはずがありません。次は現在実際に行なわれているビッグデータの活用例を2つ見ておきましょう。

高精度の糖尿病発症予測をビッグデータでー「富士通」

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「FUJITSU Big Data Initiative」と呼ばれるビッグデータ活用の総合支援サービスを展開する富士通。同社ではキュレーター(一般には「データサイエンティスト」)と呼ばれる人材を育成しています。彼らは「データに語らせる」をスローガンに、ビッグデータの価値を最大限に高める取り組みを続けています。それが糖尿病発症予測です。

自社グループの従業員が受ける健康診断を始め、診療・調剤報酬の明細書「レセプト」、自社収集の歩数や脈拍といった生活習慣のデータ。これらをそれぞれ約2万6,000人分、過去3年分にわたって収集したビッグデータを使い、「1年後に糖尿病になるかどうか」を予測した結果、高精度で的中したのだそうです。

データが糖尿病の要因としたデータの中には歩数や脈拍、血清尿酸や入院頻度など、医学的には糖尿病の原因と認められていないものも数多く含まれます。しかしビッグデータが示した高い予測精度に鑑みれば、医学の側も様々な変化を迫られるでしょう。

ビッグデータで電気自動車に光を当てるー「日産自動車」

「リーフ」を販売する日産自動車は、同モデルには「カーウィングス」と呼ばれるテレマティクスサービスを採用し、リアルタイム交通情報に基づく最速ルートのナビゲーションなどを実現しています。この「カーウィングス」で収集できる走行距離や電費(ガソリン車の燃費)などのビッグデータを加工し、契約者の同意に基づいて自動車保険の設定のための情報を導き出すのです。

実際に日産自動車は損害保険ジャパンと提携し、「ドラログ」という新たなサービスを展開しています。走行距離や使用目的によっては最大で10%もの保険料割引が受けられるサービスです。

現在「ドラログ」は日産自動車でも「リーフ」シリーズのみ、他社の車種では利用できないサービスなので、確かにまだまだ発展途上のサービスではあります。しかしこのようなビッグデータの活用が、現在の電気自動車業界に新たな光を当てることは間違いないでしょう。

「これからのビッグデータ」を指し示す2つのサービス

Hmm...this is an interesting development
次に「これからのビッグデータ」をテーマにビッグデータの持つ可能性について考えていきましょう。

「Ginger.io」と「Knewton」をご存知でしょうか。「Ginger.io」はマサチューセッツ工科大の研究所MIT メディアラボから生まれた企業で、利用者の行動履歴をベースに健康管理サービスを展開しています。このサービスを使えば利用者はリアルタイムで自分の健康状態を把握できる上、医師と患者の間で利用すれば、診察時間以外にも医師は患者の状態を把握できるようになります。このようにビッグデータは「1人1人にぴったりのサービス」を作り上げるために、理想的なツールとなるのです。

その意味では「Knewton」も同じ。同社では「MOOC」という利用者のレベルにぴったりの学習プラットフォームを提供しています。教材の提示も、理解度の分析も、すべてビッグデータとプログラムによって行うサービスです。もしこのような教育システムが世界的に普及すれば、既存の「学校」の概念は崩れ去り、教育を生業としてきた人々は別の在り方を模索せざるを得なくなります。それは新たなビジネスチャンスの到来と言い換えられるでしょう。

「データとかよくわかんないよ」でも大丈夫!

「自分は根っからの文系で、データなんてちんぷんかんぷん」という人もいるかもしれません。しかしビッグデータ業界には優秀なプログラマーやデータサイエンティスト(ビッグデータを活用できる専門人材)ばかりが必要なのではありません。

これからのビッグデータ業界に必要なのは、そうした優秀な専門人材がビッグデータによって導き出した価値のある情報を、よりわかりやすい形に加工し、世の中に広めていくことのできる人材です。「データを使える人材」はもちろん必要でしょう。しかし同時に「データを伝える人材」も必要なのです。

これから転職を考えるのなら、理系も文系もビッグデータ業界が間違いありません。もっと大きく、そして面白くなるこの業界にぜひ飛び込んでみませんか?

参考文献
できるポケット+ ビッグデータ入門 分析から価値を引き出すデータサイエンスの時代へ』
ビッグデータ・オープンデータ活用の現状と国土交通分野〜ビッグデータ活用概要編〜
Career Supli
ビックデータの活用で病気の予防ができるようになると平均寿長がさらに延びそうです。そうなった時にどんな社会変化がおこるのでしょうか。楽しみですね。
[文] 鈴木直人 [編集] サムライト編集部