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立場の弱い状況で生き残れ
企業合併、買収など、いきなり環境が変わってしまうことも多い現在。馴染みの場所が、突然アウェイに変わってしまうということも珍しくありません。
息苦しい環境で毎日の大半を過ごさなければいけなくなったら、あなたはどうしますか?
今回は江戸時代に300年もの間、アウェイを感じ続けた外様大名たちに焦点を当て、立場の弱い状況でどのように生きてきたかの処世術をご紹介させていただきます。
恵まれない立場にいて悩んでいるという方は、ご参考にされてみてはいかがでしょうか?
敵と血縁関係を結び争いを避けた 加賀国 加賀藩 前田家

Photo by 継之助
もともと豊臣家に仕えていた前田家ですが、豊臣家に仕えた前田利家の死後、徳川幕府に目を付けられ、政権奪取を狙っているという理由で討伐を宣告されました。
しかし2代目将軍の利長は、徳川と徹底して争いを避ける政策を取り、母の芳春院(正室のまつ大河ドラマ「利家とまつ」では、松嶋菜々子さんが熱演)を江戸の屋敷に送るなど、忠誠を誓ったことで、加賀百万石と言われる豊かな国を作りあげました。
会社での人間関係は上手くいっていますか?実に70%の人が上司の言動や行動に不満があると回答しているアンケートもあり、悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
いくら苦手な上司でも、どちらかが異動するまでは一緒に過ごさなければいけないのも事実。苦手な人とは距離を置くのではなく、あえて相手に近づくことで関係性が変わることがあります。
上司のテーブルにあるキャラクターもののマグカップについて話を振ってみるとか、たまにはランチや飲み会に誘ってみるなど、あなた自身が胸襟を開くことで、過ごしやすい環境が手に入れられるかもしれません。
勝利を祝うだけで VIP待遇 下野国 喜連川藩 足利家

室町将軍の血筋を引く足利家は、関ヶ原の戦いには参加しませんでしたが、徳川家に勝利を祝う使者を送ったことや、元々将軍家だったことなどから、多くの大名を財政的に苦しめてきた参勤交代の免除など、優遇措置を与えられました。
あなたは会社の同僚が不親切で、イラッとした経験はありませんか?会社の同僚に対して実に40パーセント以上の人が不満を持っているというデータもあります。
お世話になった方にはきちんとお礼をする。結婚、誕生日など、同僚に喜ばしい出来事があった時には、きちんと祝福する、ランチをごちそうする、ちょっとしたプレゼントを渡すなど、少しの気遣いが大きく人間関係を改善させます。
「やらなければいけないと思っているんだけど」ということを、きちんとやるだけでチャンスを掴めるかもしれません。
無駄使いをなくし蓄える 陸奥国中村藩 相馬家

平将門の子孫でもある相馬氏は、一時は西軍側とみなされ、領土没収の危機に遭いましたが、必死に恩赦を求め、なんとか領土没収から逃れたというエピソードもあります。
6万石の規模の小さい大名だった相馬氏は、今で言う帳簿を取り入れ、収入と支出を厳格に管理。贅沢をしないかわりに新田開発やコメの備蓄をすすめ、その結果、30万人以上が亡くなったといわれる天保の大飢饉で死者を1人も出さなかったことから、幕府から褒美を与えられました。
あなたは家計簿をつけていますか。まずは現在の状況を把握することがお金を増やす第一歩です。貯金はしていますか。20代の平均額は342 万、30代になると平均732万円の貯金があるそうです。さらに2014年に行われたボーナスの使い道に関する調査では、実に70%の人が貯金に回しているというデータもあります。
あなたはこの貯金したお金、何に使うか決めていますか。最も有効な使い方を考えておいてもよいかもしれません。
体質改善で借金返済 出羽国米沢藩 上杉家

慢性的な財政赤字に苦しんでいた上杉家は、上杉鷹山の時代に大規模な財政改革を行いました。参勤交代の際、江戸での生活費を7分の1に、50人いた女中を9人にするなどの策を取り、莫大な借金を返すことに成功しました。
さらに浮いたお金で蔵を作り、ここに備えた食糧で、飢饉をしのいで幕府から褒美をもらったというエピソードもあります。
あなたは必要以上に無駄遣いしていませんか?例えばサラリーマンが1か月に参加する飲み会の平均は3回。1回あたりの支払額の平均は4250円だそうです。
あなたが参加しているその飲み会、グチや噂話ばかりの生産性のない飲み会になっていませんか?せっかく参加するのなら、楽しい時間にしたいものです。もし、非生産的な会が多くなってしまっていると感じたら、より自分の人生のプラスになる使い方を検討されてみてはいかがでしょうか?
新規の事業で財政健全化 長門国 長州藩 毛利家/土佐国 土佐藩 山内家

関ヶ原の戦いに積極的に参加しなかった毛利家と、元々豊臣家寄りだった山内家は、地理を生かした政策や教育制度の充実によって、財政危機を逃れました。
山内家は慢性的な赤字に苦しんでいましたが、9代目の山内豊雍が自ら一汁一菜の食事を率先し、財政を健全化。さらに山内容堂の時代には、海防や教育に力を入れ、後藤象二郎や岩崎弥太郎などの人材育成に尽力しました。
毛利家は関ヶ原の合戦での優柔不断な対応から、領土を没収されてしまいました。以後も慢性的な赤字体質は続いていましたが、瀬戸内海に面している地理を生かし、塩田の開発や、港を作って商業を活性化したことで財源を確保しました。
ビジネスマンの1か月の小遣いの平均は、3万7145円だったそうです。リーマンショック前の2007年には4万9736円だったので、1万円程度下がっており、皆さんの中にも、財布事情が厳しいと嘆いている方も多いのではないでしょうか?
「小遣いが少ない」と嘆く気持ちはわかりますが、嘆いているだけでは何も変わりません。仕事に役立つスキルを身に付ける、勉強会に参加するといったような自分自身に投資して、小遣いを増やす基礎を作られてみてはいかがでしょうか?
おわりに
江戸時代、苦しい立場に置かれた外様大名。処世術ややりくりなど、私たちにも役立ちそうな方法が多く行われていました。
できる限り出世して、活躍したいと考えている方が多いと思いますが、残念ながら、いつも陽の当たる道を進んでいけるとは限りません。もし、アウェイな環境に悩んでしまったら、彼らの取った方法を参考に、次のチャンスを待ってみるのはいかがでしょうか?
[文・編集] サムライト編集部