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「考えすぎて行動できない」のはなぜか?
「新しいことを始めたい」「自分を変えたい」そうは思うものの、行動できない人も多いのではないでしょうか。必要なものや確保するべき時間、今の生活との兼ね合いに新しい人間関係などについて考えを巡らせていると「お金や時間が確保できるように準備してからにしよう」などと行動しない理由を見つけて現状を維持してしまう……。
筆者はこの「考えすぎて行動できない」の典型例でした。しかし自分の思考と行動のパターンを分析した結果解決策を見つけ、3回に2回は行動につなげられるようになりました。ここでは考えすぎて行動できないの思考と行動のパターンを解説するとともに、その解決策を2つ紹介します。
「考えすぎて行動できない人」の2つの悪癖

考えすぎて行動できない人には主に2つの悪癖があります。それは「自分に期待しすぎている」と「他人に期待しすぎている」です。以下ではこの2つがなぜ新しいことを始めたり、自分を変えたりするための行動の邪魔になっているのかを解説します。
●自分に期待しすぎている
一般的に自分への期待は、何かに挑戦するための後押しになります。「自分ならできる」と成功するイメージを思い浮かべると不思議と体が軽くなり、気持ちの面でもアグレッシブになれるからです。
しかし自分への期待が過度に高まると、挑戦することへの恐怖につながります。自分では自信がないのに「あなたならできる」と他人から期待をかけられて、プレッシャーでパフォーマンスが低下した経験がある人も多いはず。
自分への過度な期待による「自分ならできる」という思考は、心と体をこの時と同じ状態にしてしまうのです。

このときの「自分ならできる」というイメージは、失敗への恐怖と背中合わせです。自分への期待が挑戦への後押しになるのは、失敗への恐怖を乗り越えているからこそです。
自分への期待が過度になってしまうと失敗への恐怖も大きくなってしまい、乗り越えるのも難しくなります。結果足りないもの、例えばお金や時間やスキルなどを理由にして行動せずに済ませようとしてしまうのです。
●他人に「ピントのずれた期待」をしている
他人から認められたいとか、他人に自分の存在をアピールしたいといった自己承認欲求や自己顕示欲というのは誰しもにあるものです。
これらも自分への期待と同様、正常な範囲であれば何かに挑戦するための後押しになってくれます。しかしこれが正常な範囲を逸脱すると、考えすぎて行動できない理由になってしまいます。
「この仕事に挑戦して結果を出したら、上司は評価してくれるはず」
「資格を取得するために勉強したら、友人や恋人は褒めてくれるはず」
「この仕事」や「資格」が、上司が求めている仕事や友人・恋人が興味のある資格なら問題ありません。しかしそうでなければ上司や友人・恋人も評価のしようがありません。
このようにピントのずれた期待を他人にしてしまうと、「挑戦しても評価されないかもしれない」と心配になっていきます。そしてまたしても行動しない理由を見つけて、現状維持に甘んじてしまうのです。
行動に起こすための2つの解決策

自分に期待しすぎて身の丈を大きく超える目標を設定しているからといって、目標自体を引き下げてしまう必要はありません。それでは結局「いつもの自分」から抜け出せず、同じような毎日を送ってしまいます。
また他人にピントのずれた期待をしてしまっているからといって、上司や友人・恋人に自分を合わせてしまう必要もありません。
むしろそんなことをすれば本来の自分の願望とずれた目標を設定してしまい、何のために頑張るのかがわからなくなってしまいます。
以下では目標はそのままに、確実に行動し結果を残すために筆者が実践している方法を紹介します。
●「成功・失敗の基準」を引き下げる
身の丈を大きく超える目標を設定すると「とても達成できるようには思えない」と感じてしまいがちですが、それは目標を達成するかしないかに成功と失敗の基準を設定しているからです。
このとき「とても達成できるようには思えない」はイコール「失敗するだろう」になるため、失敗が怖くなって行動につながらないのです。
しかしここでの一番の失敗は行動しないことそのものです。行動したうえでの失敗には何かしらの学びがあり、成長があります。「次はこうしよう」「どんな準備をするべきか」と考えるきっかけにもなります。
行動しなければ学びも成長もありません。目標を達成するかしないかに成功と失敗の基準を設定していると、この本質を見失いやすくなります。
したがって引き下げるべきは大元の目標ではなく、成功と失敗の基準です。これを目標を達成するかしないかではなく、「行動してみたかどうか」「1ヶ月続いたかどうか」「勉強になったと思うことが3つ以上あるかどうか」などに引き下げると、一気に行動しやすくなります。
「結果についてはダメでもともとだ。これだけやったんだから自分としては成功だ」と考えれば、目標を達成できないことへの恐怖心が和らぐからです。
ただしこの方法は行動にはつながるものの、結果にはつながりにくくなってしまいます。そこで必要になるのが2つ目の方法です。
●自分でも他人でもなく「方法」に期待する
数字を当てはめれば計算がうまくいく数学の公式のように、何事にもある程度「こうすればうまくいく」という方法があります。
筋トレなら正しいフォームで適切な重量のダンベルを使えばシェイプアップできますし、ダイエットなら食べるものの栄養素をコントロールすれば痩せられます。
自分への期待がなくても他人への期待がなくても、そういった方法を実行しさえすれば結果にはつながります。つまり結果を得るための正しい期待とは、「方法」への期待なのです。
もちろんその方法を見つけるのは簡単ではありません。筋トレやダイエットは様々な方法がネットや雑誌、テレビで出回っていますが、それでもその中から自分の目標と性格に合った方法を見つけ出すには時間と労力がかかります。
これがビジネスや人間関係になれば、さらに難しくなるでしょう。しかし自分や他人と違って、方法は裏切りません。
失敗への恐怖心が少ないぶん、「方法を調べる」という行動自体は大して難しくないため、考えすぎて行動できない人でも抵抗なく行動に移せるはずです。
「これだ」という方法を見つけたら、あとは成功と失敗の基準を引き下げて実行するだけです。最初は方法の選択に失敗するかもしれませんが、一度行動に移しているので結果についての学びや自分自身の成長は残ります。
さらに「次はこういうところに気をつけて方法を調べよう」という方法選びについての学びも得られます。
そうしているうちに結果における失敗が本質的な失敗ではないことを実感できるようになるので、少しずつですが「考えすぎて行動できない」を抜け出し、「とりあえず行動してみる」という癖が身についていくはずです。
「考えすぎる」力を有効活用しよう
「考えすぎ」というといかにも短所のように思えますが、そこまで深く考えを巡らせることができるのは長所です。問題はその考えが自分への過度な期待や他人へのずれた期待に向かってしまっていることです。
それを成功・失敗の基準を引き下げるという作業や、「こうすればうまくいく」という方法を吟味するために使えば、必ず結果につながります。
「考えすぎて行動できない」と悩んでいる人は、その考えすぎる力を有効活用して新しいことや自分を変えることへの挑戦に役立てましょう。
