資料のイマイチ感、原因は?
夜なべして必死に作り上げた提案資料。完成直後には素晴らしい出来だと思っていても、次の朝起きて見てみると、いまいち説得力がない…という現象を体感したことはありませんか?
その資料に説得力がないのは、夜中に無理して作ったせいだけではないかもしれません。説得力のある資料作りには、「数字」の使い方が重要なのです。
数字の持つ説得力

数字は全世界で共通した記号であり、概念です。「たくさんのオレンジ」と数人に伝えた場合、それぞれ10個イメージする人もいれば、1000個イメージする人もいるでしょう。
しかし、「100個のオレンジ」と伝えれば、それを聞いた数人は同じように具体的なイメージを持つことができるのです。多くの人が差異なく、共通した具体的なイメージを持つことができると、何かを説明する上でもスムーズに理解させることが出来ます。
孫社長と「数字」

「数字という無味乾燥としたものでも、それを徹底的に突き詰めて行くと、遥かに人間味溢れたものになる。」
ソフトバンク社長、孫正義さんの言葉です。
孫さんはビジネス界でも数字に対する感覚が人一倍鋭い人です。それは経営方針にも生かされており、異常を感じた数字を徹底的に分析し、問題解決の糸口にするのが孫さんの基本的なビジネスのやり方です。
孫さんはビジネスで起きる事象には必ず数字の裏付けを求めるといいます。正しい数字を見ていれば、正しい判断が導き出せる、という考え方の元、数字に徹底的に向かい合うのが孫さんのスタイルなのでしょう。
孫さんは「数字の使い方」の達人であると同時に、「数字で考える」のではなく、「数字を感じる」ことのできる人と言えます。孫さんではなくとも、多くの人は数字を感じ取り、気持ちや考え方に影響を受けます。
だからこそ、説得力のある資料作りには数字の使い方、テクニックが重要になるのです。
単位がもたらす錯覚
「ビタミン1g配合」
「ビタミン1000mg配合」
の2つの表現では、どちらの方が効果があるように感じますか?1gと1000mgはほぼ同じ量ですが、多くの人はなんとなく、「1000mg」の方が効果があるように感じるでしょう。とてもシンプルな効果ですが、インパクトを与えたい時には数字は大きい方が良いのです。
頭では1gと1000mgが同じ量だと分かっていても、パッと見たときに目を引くのは「1000mg」の表記です。商品の大きさの表示でも、多くのものは20cm×15cm×10cmという表記よりも、200mm×150mm×100mmと表記されていることの方が多いはずです。
また、数字を並べる際には、初めに目にする数字は強い印象を残すため、大きい数字から小さい数字へ並べていった方がよりインパクトを与えることができます。
客観性を示せる

具体的な数字を用いることで、情報に「客観性」が生まれます。
例えば、営業のシーンにおいて「この商品は単価を少し下げるだけで、売上がぐんとアップしますよ」という文句があるとします。
これに具体的な数字を落としこんで、「この商品は過去に20円単価を下げることで、売上が40%もアップしたのです。」とするとどうでしょう。「少し」や「ぐんとアップ」という曖昧な情報が解消されて、話に客観性が生まれます。
また、場合によっては数字を用いてもイメージしにくい場合があるでしょう。そうした時は、数字とセットで分かりやすい「例」を出すのも効果的。
「この音楽プレーヤーは重さがたったの50グラムしかありません。これはゴルフボール1個分の重さと同じです。」というように数字と例えを提示することで、情報が具体性を持ち、分かりやすくなるのです。
数字を使う習慣・予測値を出す習慣

数字を有効に使わなければと分かっていてもなかなか難しいもの。必要なのは「数字の勉強」ではなく「数字を使う習慣を身に付けること」です。
例えば上司との会話では、「商談をすすめているA社の件、順調です。」ではなく、「A社の件、あと2回の商談で完了します。」と報告するなど、日頃意識して数字を口に出すことが大事です。
信頼と安心を得るための数字
情報が客観的であること、説得力があることはビジネスのシーンでとても大切。これによって相手に信頼感と安心の感情を抱かせることもできます。
自分のプレゼンや資料がイマイチだと感じる方は、数字の活用から始めてみてはいかがでしょう。