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これはシニアバブル?2025年に市場規模100兆円突破のビックリ仰天
100兆円の根拠や企業の戦略に言及する前に、分散化しているシニアの生活や情報をあのNHKが活発に発信していることを紹介しましょう。
1980年代「お達者くらぶ」でシニア向けの生活・情報番組をスタートさせたNHK。
そのDNAを引き継ぎ、現在は「生活を豊かにする」をコンセプトに、「あしたも晴れ!人生レシピ」などシニアに寄り添った番組を制作しています。
コンテンツは健康、住まい、お金など、シニアの生活に密着した情報を掘り下げています。番組のホネは『あなたの人生が明日も晴れますように』。なんとも憎いキャッチで、シニア向けに様々な企画や提案を模索している企業にとっては、傾注に値するもの。番組では登場するシニアの本音や日常がいきいきと活写されていて、100兆円攻略のヒントが満載。番組のタイトルからしてシニアの心をガッチリ掴んでいます(放送記者)
シニアは金のなる木か?市場拡大で100兆円の予測と企業の皮算用
シニア向けの市場規模が2025年には100兆円規模に拡大すると言われています。
■大手のみずほ銀行は、2012年のシニア層向けの「医療」「介護」「生活産業」などの市場規模が68兆円に対し、25年には107兆円に上昇すると予測しています。
その根拠としてシニア層の消費支出の増加を挙げています。
IT、食品、家庭用品、ファッションに加えて、娯楽などシニアの生きがいや楽しみ、ライフワークの変化・多様化が、巨大マーケットに押し上げたと見られています。
まさに『あなたの人生が明日も晴れますように』をシニア層が実践するように、娯楽など多様な生活産業のビジネスチャンスに影響を与えています。かって『団塊の世代』が一斉に定年を迎える『2007年問題』が騒がれましたが、あれから10年余。いまは『2025年問題』がクローズアップされています(経済ジャーナリスト)
巨大なビジネスチャンスを見据え、すでにシニアにシフトして新事業を展開している企業が増えています。100兆円の〝金のなる木〟にニンマリするには、シニアの心や二―ズをいかに掴むか。シニア市場はどの企業にとっても難しいマーケットであるようです。
シニアに喜ばれる商品開発とマーケッティングのポイントは?

実はこのテーマが一番難しい。シニア向けの開発や販促には、人生の曲折を経験してきたシニアの生きがいや関心事を丹念に調べなければならない 。その上で企業はシニアの二―ズを把握し、新商品を創出する。マーケッティングは双方向型で、いかにコミュ二ケーションを活発化させるか。シニア市場は一括りに出来ない『多様なミクロ市場の集合体』でもあり、巨大なビジネスチャンスは、知恵比べの様相を呈しています(経済記者)
「多様なミクロ市場の集合体」とは実に言い得て妙。
シニアと言っても年代によって趣味趣向やライフスタイル、経済格差もあります。
確かに市場は拡大しますが、企業側にとってシニア層を対象に短期的に、しかも拙速にリターンは得にくい。かと言って開発やリサーチの対応を怠ると取り残されるリスクも・・・
マーケット進出や攻略には、知恵比べに、根競べがプラスされることになります。
情報弱者のシニアに企業は商品開発や広告戦略にどう取り組むか・・・
企業が双方向型の発信をしても〝情報弱者〟のシニアには届かないとの声。
しかし、そうした状況を打破しようと、シニア向けのコンテンツを積極的に発信しているIT企業が増加、現にネットショップなど、インタ―ネットの利用率はUPしています。
情報弱者と企業との親和性を高めるために継続的な発信力、とくにシニア層の〝明日につながる〟コンテンツが求められます。
広告戦略で言えば、耳障りの良いキャッチを並べるよりは、シニアにとっての関心事をストレートに伝える方が反応は良い。とくに目立つのは健康関連の書籍。ユニークな医事書で評判の出版社(アスコム)が5年前に出した『医者に殺されない47の心得』は驚異的な売れ行きを示した。『長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい』も同様で、ワイルドだが単刀直入に伝える方が、シニアの心を動かすと話題になりました(広告ジャーナリスト)
ビジネスの流儀はシニアの〝痒いところに手が届く〟きめこまやかさ
シンクタンクなどが発表したシニア層の動向調査が興味深い。大別すると、新しい価値に対して敏感で「新たな需要」が期待できる「アクティブ・シニア」。市場に出回っている必需品に対応し、つましい生活を送る「ディフェンシブ・シニア」の2パターン。賃金格差や生活感などが理由とされます。
「シニアでも活躍し続けたい」「日々を楽しく過ごしたい」「老化による不安や不満を解消したい」―これらがシニア層の顕著なニューズですが、実はここに市場開拓のヒントと期待があるのです。
これに加えて、「シニアの年齢よりはライフスタイルの変化に注目すべき」との経済ジャーナリストの指摘には説得力があります。
安心・安全そして利便性を特化させたマーケッティングの活用例
目利きのできるシニア女性に「買いたい」と思わせる商品開発も活発化しています。
しかし何と言ってもシニアの動向や、ライフスタイルの変化の把握が一番のポイント。
シニア層向けの開発は多岐に渡りますが、話題のマーケッティング事例を見てみましょう。そこから傾向と対策が垣間見えるかも知れません。
・NTTドコモの「らくらくホン」→文字サイズや入力ボダンが大きく、相手の声がはっきり、ゆっくり聞こえる音声機能なども付いており、さらにシニア向けに機能アップ中。
・DeNAの「趣味人倶楽部」→SNSを使ったコミュニティサイト。アクティブ・シニアには人気があり、趣味や旅行、グルメなど幅広いシニア交流が出来るシステム。
・象印マホービンの「みまもりホッとライン」→同社が販売するポットとスマホが連動し、家族がシニアの安否を確認できる仕組み。
上記以外にも、まごころ弁当や離れて暮らすお孫さんの写真が観られるサービス、シニアの食を支える配食、介護ロボットなども高齢者市場に含まれます。ただシニア向け商品は企業単体では限界があり、他社との提携が今後の戦略構築の課題です(経済記者)
市場拡大の戦略は他社との提携とシニア層への触れ合い
企業間の提携とコンタクトポイントは、「多様なミクロ市場の集合体」としてのシニアマーケットをフルカバーするには、有効な手法との指摘。
企業間の提携は自社では開発をカバーしきれないために補完し合うメリットがある。シニア層へのコンタクトポイントの構築は、Career Supliのようなウエブサイトを駆使して、シニア用のブランディングやモニタリングにも効果的。多様なミクロ市場をマクロのネット網でフルカバーできます(メディア評論家)
シニア向けの商品開発と広告展開は、先端的なメディアを駆使しながらも、一方では売り手と買い手がヒューマンな関係性が求められる、特異なビジネスでもあります。
おもいやりがポイント。100兆円の巨大市場の主役はシニアか企業か・・・
大手コンビニの宣伝担当はシニア向けのポイントデーは、「チラシの巧拙が売り上げを左右します。シニアが列をつくる品揃えと、買いたいと並ぶ名コピーが勝負」だそうです。
最近はなぜか60歳以上のシニア限定の求人が増えており、企業の開発担当がシニアパワーにラブコールを送っています。企業とシニアが攻守入れ替わったようです。

シニア情報に熱心なNHKは「所さん!大変ですよ」(1/11)で、元気の秘密や求人増加、さらに年をとっても脳が活性化するストレッチを紹介。シニアの「いま」を紹介しています。
果たして2025年、100兆円市場でシニアをめぐる攻防はどうなるでしょうか。
最後にモノ作り大国・ニッポンが作ったシニア向け独創的グッズを紹介しましょう。
ライト付き耳かき、湿布貼り器、足がしびれにくい桐製『正座椅子』、煙の出ないお線香
かしわ手に反応する神棚の灯、飲み忘れを防ぐ『しゃべる薬箱』、マルチグラス拡大鏡・・
