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助けても人からは好かれない?
私たちは異性や上司、同僚など、気に入られたい相手がいた場合に、何かと相手を助けてしまいがち。しかしメンタリスト・DaiGoさんによればそれでは単に自分の首を絞めるだけで、一向に相手に好意を向けてもらうことはできないのだそうです。
ここではDaiGoさんの著書『なぜかまわりに助けられる人の心理術』を参考に、「助けてしまう人」の心の構造から、「助けてもらう人」になるための2つの考え方と3つのテクニックを紹介します。助けてもらって、かつ心を掴む。そんな一石二鳥の人間関係術、ご紹介します。
「助けてあげた側」が好きになる
DaiGoさんはアメリカの心理学者レオン・フェスティンガーが提唱した「認知的不協和の解消」を例に挙げて、助けてあげた人が「こんなに相手を助けてしまうということは、きっと自分は相手のことが好きなのだろう」と自分の認識を修正する傾向にあると指摘します。人間は「好きだから助ける」と同時に「助けるから好きになる」というわけ。
しかも、助けてあげた側が助けた相手に好意を抱く度合いは、助けられた本人が助けてくれた相手に抱く好意よりも大きくなることが多いのだそうです。
これはつまり「助けてもらうほど、相手から好かれる」という嘘のような事実を示しています。10回同じ相手を助けるよりも、10回同じ相手に助けられる方が、親密度はあがる。助けてばかりで一向に人の好意を勝ち取れない人は、まずこの事実から受け入れましょう。
どうしてあなたは助けてしまうのか?
そもそもどうして私たちは人を助けてしまうのでしょうか。DaiGoさんはその原因の1つに「自信のなさ」を挙げています。人間は「自己承認欲求」(自分は必要とされている・自分は役に立つと思いたい気持ち)を持つ生き物です。自信のある人は自分で自分を認めているので、わざわざ他人に「あなたは必要な人ですよ」と言われなくても、自己承認欲求を満たすことができます。
しかし自信のない人はそれができません。ではどうするのかというと、誰かを助けることで「自分は必要な存在である」と他人からフィードバックをもらうのです。
ところが私たちは助けられたり、親切にされると「自分も何かお返しをしなきゃ」という気持ちになります。誰かを助けることで自己承認欲求を満たすクセのある人は、ついつい相手のこの気持ちの存在を忘れ、どんどん親切にしてしまいます。
すると、相手の方は「お返しをしなくてはいけない」というプレッシャーを感じ、助けてくれる相手に居心地の悪さを感じるのです。結果「親切にしているのになぜか人が離れていく」状況が生まれる。これでは誰も幸せになりません。自分の中の「自信のなさ」と向き合い、「助ける人生」から「助けてもらう人生」へと転身しましょう。
●「しょうがないヤツ」になる
DaiGoさんは「助けられる人」になるための考え方として、「手間をかけさせる人」になろうと言います。前述のように私たちは誰かを助けることで自己承認欲求を満足させます。これを利用して、何かと自分を助けてもらう(=手間をかけさせる)ことができれば、相手からは「自分の自己承認欲求を満たしてくれる人」と見られるようになるのです。「しょうがないヤツだなあ」と相手に言わせればこちらの勝ち、というわけ。
そうなるためにDaiGoさんが提案する具体的な方法は、「相手の好きな分野でアドバイスを求める」こと。映画好きの人には「週末に観るおすすめの映画」を、仕事関係なら相手の専門分野でもいいでしょう。自分に置き換えて考えてみると、自分の好きな分野・得意な分野で相談されれば、誰だって嬉しいもの。その気持ちを刺激してあげれば、相手はどんどんこちらを「自分の自己承認欲求を満たしてくれる人」として見るようになります。
ポイントはアドバイスをもらったらできるだけ早く「実行&報告&感謝」をすること。これにより相手の自己承認欲求は加速度的に満たされていきます。
●「可愛いヤツ」になる
「しょうがないヤツ」の次に目指したいのが「可愛いヤツ」。「こいつは俺がいないとダメなんだよなあ」というしょうがないヤツから、「こいつを支えてやりたくてたまらない」という可愛いヤツになれれば、「助けられる人」としてもうワンランク、ステップアップできます。
DaiGoさんがそのための方法として挙げるのが「相手を自慢してあげる」習慣です。直接感謝するだけでなく、本人がいる前で第三者に対して、「○○さんには本当にいつもお世話になっていて、この間なんて僕がしてしまったミスをいち早く気づいてくださって、フォローまでしていただいたんです!」というように、相手を自慢する。これにより、相手の自己承認欲求はこれでもかというほど満たされます。
ポイントは「大げさすぎるくらい自慢する」こと。心理学の言葉で「パブリック・コミットメント」と言って、人間は公の場で自分の意見を表明すると、その意見に合った行動をしなくてはいけないと考え、行動を変える確率が高くなる効果があるとされています。大げさに自慢をすることで、相手の心に「パブリック・コミットメント」を生じさせ、より自分を助けたくなるように仕向けることができるのです。
「もっと助けてもらえる人」の3つのテクニック

ここからは「もっと助けてもらえる人」になるために、3つのテクニックを紹介します。ぜひ実践して、どんどん助けてもらいましょう。
1. 「先に」やってあげる
重要なのは「先に」という点。助けてもらう人になるためには、助けてもらってからお返しをしていてはダメです。人間はどんなに小さなことでも相手に何かをしてもらうと、それを平均して5倍にして返す傾向があるのだとか。
逆に言えば、こちらが「先に」助けられてしまうと、こちらの心には「5倍のお返しをしなくちゃ」という気持ちが生まれてしまいます。これでは結局「助ける人」からは抜け出せません。とにかく「先に」やってあげること。これが1つ目のテクニックです。
2. 恩を「買う」
恩は売るもの?いいえ、恩は「買う」ものです。貸しを作るのではなく、あえて借りを作ることでより助けてもらえるようになります。例えば会社の後輩や部下などには、私たちはついつい貸しを作りたがります。なぜならそれこそが自己承認欲求を満たす方法だからです。しかしこれでは「助けてもらう人」にはなれません。後輩や部下が相手だからこそ、助けてもらうことを意識しましょう。
人は自分より上の立場の人間が自分を頼って来た時の方が、下の立場の人間にそうされるよりも、より強く自己承認欲求が満たされます。恩を買って、より多くの人に助けてもらう。これが2つ目のテクニックです。
3. お世辞を「真実」にする
「かっこいいですよね!」などのお世辞を言うと大抵の人は「そんなことありませんよ」と否定します。しかしこれを文字通りに受け取ってはいけません。これは「本当にそう思ってるの?」という確認なのです。相手の自己承認欲求を満たすために正しいセリフは「いや、本当にかっこいいですよ!」と言い切ること。
心理学の実験では、根拠がなくても自信たっぷりにお世辞を言う人ほど、好意的に見られるという結果が出ています。お世辞をお世辞で終わらせず、「真実」にしてしまう。これが3つの目のテクニックです。
人を幸せにする「助けてもらう人」になる
このように思う人がいるかもしれません。「助けてもらってばかりでは、嫌われてしまいそう」。これはある意味で正しく、ある意味では間違っています。というのも、本当に助けてもらってばかりで感謝もせず、相手の自己承認欲求に見向きもしない人は確かに嫌われていくでしょう。それは傍若無人というものです。
しかし相手の心の機微を読み取って、その都度感謝したり、他人に自慢してあげたりする人は、助けた側を幸せにすることができます。つまりはWIN-WINの関係。私たちが目指すべきは後者の「助けてもらう人」です。助けてもらって自分も幸せ、自分を助けて相手も幸せ。そんな一流の「助けてもらう人」になりましょう。
参考文献『なぜかまわりに助けられる人の心理術』
