甲子園出場校メンタルコーチに学ぶ「本気」の作り方

Baseball mitt and baseballs on pitchers mound

人を本気にさせられなければ成功できない

ビジネスでは一人で成し遂げられることはほとんどありません。メンバーの本気スイッチをONにして、チームのパフォーマンスを最大限引き出してこそ、成功を手にできるのです。ここではメンタルコーチの飯山晄朗(いいやま じろう)さんの著書『いまどきの子を「本気」に変えるメンタルトレーニング』から、「いまどきの部下」の本気を作る方法を6つ紹介します。

飯山さんは星稜高校や金沢商業といった甲子園出場校のほか、リオデジャネイロ・オリンピックの男子競泳・小堀勇氣選手などのメンタルコーチを務めた凄腕です。ぜひチームビルディングの参考にしてください。

考えさせたいなら「問いかけ」から始める

指示されたことはきっちりこなしても、それ以上のことを自分で考えてやろうとしない。そんな部下についつい言ってしまうのが「もっと自分で考えてみろ!」という言葉です。しかし考える習慣のない人に「考えろ」と言っても、混乱するだけです。こういう人にまずするべきは「問いかけ」です。

「今日のタスクは?」「今週の目標は?」「1年後どんな仕事がしたい?」「その仕事の目的はなんだと思う?」など、とにかく問いかけてみる。人間の脳は問いかけられると反射的に答えを考えてしまう習性があります。これを利用して、少しずつ意識的に考える習慣を身につけてもらいます。

こちらの問いに答えられないようなら、どんどん問いを簡単にしていって構いません。大切なのは小さくても一つ一つの仕事の目的を自分で考えられるようになることです。そのためには根気よく問いかける必要があるのです。

「喜ばせたいのは誰か?」と聞いてみる

She always goes the extra mile for her clients
「このプロジェクトを成功させれば出世につながるぞ!」「大変な仕事だが、必ず成長につながるから頑張ってくれ!」このように本気にさせるために、本人へのメリットを提示してもモチベーションが上がらない人は、「自分のために頑張れない人」の可能性があります。

こういう人は自分のために頑張ってしんどい思いをするくらいなら、諦めたほうが楽だと考えています。したがっていくら自分ごととして意識させようとしても、仕事へのモチベーションは上がりません。

そこで利用したいのが「他喜のパワー」です。自分ではなく、誰か他の人(社長、同僚、両親、家族など)が喜んでくれると考えられれば、それは本気への大きな原動力になります。部下が誰のためなら本気が出せるのかを見極められれば、そのツボを押してやることで本気スイッチをONにすることが可能です。

「仕事上の役割」を具体化してやる

Teamwork

実力を出しきり、100%以上の能力を発揮しようとしない人は、自分の中で「自分の仕事はここまでだ」という線引きをしている可能性があります。この線引きの裏側にあるのはは「余計なことをして、もし評価が下がったら嫌だ」というリスク回避の思考です。

リスクをとってプラスの評価を得るよりも、リスクをとらずにプラスマイナスゼロの評価を得る方が良いと考えているのです。こういう人を見ると「もっとリスクをとれ!」と言いたくなるかもしれません。しかしこれでは相手が心を固く閉ざすだけで逆効果です。

効果的なのは「仕事の役割の具体化」です。相手が求められたことしかしないのであれば、求める範囲を広げてしまいましょう。「君は来月から業務改善委員だ。職場の中で問題だと思う点を一週間に一回、私に報告してくれ」などと言えば、きちんとその役割を果たしてくれるはず。なぜなら彼らは役割を放棄してマイナスの評価を受ける、というリスクを回避しようとするからです。

最強のプラス思考は「最悪のイメージ」で作る

Waiting in line

「なんでもやります!」「任せてくださいよ!」と調子の良いことばかり言って、壁にぶち当たった途端にやる気を失う人は、プラス思考を履き違えた「プラス思考勘違い人間」です。こういうタイプの人に代わってもらうためには、この勘違いに気づいてもらわなくてはなりません。

そのためには「常に最悪の状況をイメージする習慣」を身につける必要があります。最悪の状況を考えていない「プラス思考勘違い人間」は、想定外の壁にぶち当たるとあっという間にメンタルがくじけてしまい、やる気を失います。

しかしあらかじめ最悪の状況を想定し、その対応まで考えていれば「はいはい、あのパターンね。問題ないよ」とスルーできるようになります。これが本当の意味でのプラス思考です。このプラス思考を身につければ、「プラス思考勘違い人間」の調子の良さはチームのムードを盛り上げる心強い武器になります。ぜひ「調子だけ良い部下」には真のプラス思考を身につけてもらいましょう。

過度な劣等感は「共通点探し」で解消する

本人に実力があるにもかかわらず「自分は○○(同僚や先輩)みたいにはできないですから」と、最初から諦めてしまっているような人は、過度な劣等感で自分をがんじがらめにしてしまっている可能性があります。劣等感が「自分はダメだ、だから頑張っても意味がない」とネガティブにはたらいている場合は、それを取り除かなければなりません。

そのために効果的な方法が「共通点探し」です。相手が「あの人はすごい」と思うような人物と自分の共通点を、一緒に探してやるのです。趣味や好きな食べ物などプライベートなことでも構いません。

仕事で苦労していることや失敗した経験など、「あんなすごい人も自分と同じなんだ」と思える点を見つけてやればなおさら勇気付けられます。相手の過大評価、自分の過小評価をしなくなれば、本来の実力が発揮できるようになるはずです。

チャレンジ精神は「過去の栄光」で取り戻す

「若い頃はいろいろな仕事にチャレンジできていたのに、年を重ねるにつれチャレンジ精神をなくしてしまった」こんな状況に陥っている中堅クラスの部下はいませんか?これは「年をとったからチャレンジできなくなった」のではなく、「好調だった時の自分」を忘れてしまったために消極的になってしまっているだけです。

こういう人を本気にさせるために効果的な方法が、「過去の栄光を思い出す」作業です。思い出すのは若手時代でも学生時代でも構いません。大切なのは好調だった時の自分がどんなことを考え、どう行動していたかを思い出すことです。そうすれば好調でも、積極的でもない今の自分との違いが明らかになり、どう振る舞えば好調を取り戻せるかが見えてきます。

しかし「あの時と今は状況が違う」という人もいるでしょう。その場合は「具体的にどう違うのか?チャレンジが怖くなくなるにはどうすればいいのか?」をより具体的に掘り下げてやりましょう。恐怖心は得てして「わからない」という気持ちからきているもの。それを解消してやれば、積極的な自分を取り戻せます。

「相手が動きたくなる言葉」を使う

行動するのも本気になるのも、最終的には本人次第です。いくら周りがお膳立てしても、本人が「動きたい」と思わなければ何も変わりません。だからこそここで挙げたように「相手が動きたくなる言葉」を使う必要があるのです。本気を作る方法はここで挙げた6つの方法だけではありません。

「こいつはどう接すれば、自分から動きたいと思う人間なのだろう?」とよく観察していれば、自分とその相手だけの本気の作り方が見えてくるはずです。まずは6つの方法を試してみて、その中で本気を作る技術を身につけていきましょう。

参考文献『いまどきの子を「本気」に変えるメンタルトレーニング』
Career Supli
効果的に相手をやる気にさせる言動を学びたい人は漫画『GIANT KILLING』を読むことをおすすめします。
[文]鈴木 直人 [編集]サムライト編集部

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