ずっと手元において、繰り返し読む価値があるビジネス名著30選

21.『イシューからはじめよ──知的生産の「シンプルな本質」』

著:安宅和人

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ヤフー株式会社のCSO、そしてAI技術を駆使したデータサイエンティストとして、経営と学術の双方からの豊富な見識を持った安宅和人氏による、問題解決の本質を突いた一冊。

我々が解決すべき問題(イシュー)と考えているもののほとんどが実は大した問題ではなく、まずは何が解決すべき問題であるのかを見極めるのが大切と主張する著者。そして、特定した問題を解決に導くための方法を、ステップを追って図解を交えて解説していきます。

限られた時間の中、些末な事象に囚われて思い悩まされることなく、スキルアップやキャリアのため自分が全力で取り組むべきことを見つける大切さを、この本は気づかせてくれます。

22.『エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする』

著:グレッグ・マキューン 訳:高橋 璃子

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著者のグレッグ・マキューン氏は、アップルやグーグル、フェイスブックなど、数多くの名だたるIT企業でアドバイザーを務めた人物。本書はその著者が、不要なものを捨てさり重要な仕事に最高のパフォーマンスを発揮するための「エッセンシャル思考」を紹介。実践するための方法を自身が過去に体験した具体例を交えて解説しています。

職場においては優秀である人ほど周囲からも頼られて様々な仕事を与えられてしまい、雑事に忙殺。重要な仕事に満足して取り組めず、中途半端な結果に終わってしまうことがあります。だからこそ時として周囲の頼みを断る勇気を持つ必要性を著者は説くのです。同時に多くの情報に晒される現代だからこそ、1人になって集中して目の前のテーマについて考える時間を持つことの重要さも「エッセンシャル思考」を基軸にして教えてくれます。

23.『人を動かす』

著:D・カーネギー 訳:山口 博

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1936年に刊行されてから古くなった箇所を改定し続け、今もなお読まれ続けるデール・カーネギーによる不朽の名著。全世界で1,500万部以上発行された大ベストセラーであり、日本でも刊行以来500万人以上の人に読まれているロングセラー本です。

ビジネスの本質である人間関係を築く上の重要な原則が、「人を動かす」、「人に好かれる」、「人を説得する」、「人を変える」という4つの切り口で語られる本書。相手の立場を尊重し決して非難せずに相手の長所を認めることで、相手は自分が認められたと肯定感を抱くようになる。そして相手も自分に関心を寄せ、やがてはこちらの意見も受け入れられるようになる。そのような人を動かす術が、著者の深い洞察で説得力を持って描かれています。

ビジネスの場だけでなくプライベートにおいても活用したい話がたくさん盛り込まれた、人生で必携のおすすめ本です。

24.『ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か』

著:エリヤフ・ゴールドラット 訳:三本木 亮

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イスラエルの物理学者エリヤフ・ゴールドラットによって執筆された本書。その内容から「日本人に紹介すると彼らの企業まで最適化されてしまい、貿易摩擦が再燃してしまう」と懸念され、17年間も国内での出版が著者から許可されなかったという曰く付きの一冊です。

企業が経営を改善する上で重要な要素を、物を売ることによってお金を得る「スループット」、すなわち利益を出すことにほかならないと著者は説きます。
潰れかけの工場を再建していく物語を小説仕立てで記した本書の中では、工場の「スループット」を向上させるために、業務の効率化を阻害する要因を探し、生産活動の中における「ボトルネック」を改善していく、工場長である主人公たちの活躍が描かれています。

業務上の問題を見つけてそれを解決に導く手順が実践的に描かれていく本書は、経営者に限らず全ての人がビジネスの舞台に立つ上で学びとしたい内容ばかりです。

25.『ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則』

著:ジム・コリンズ 訳:山岡洋一

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瞬間的に利益を上げて注目される企業は珍しくありませんが、そこから長期に渡り業績を維持し、創業者が引退した後も安定して経営を続けていける企業は限られています。

しかしそのような世代を超えて人々から選ばれ続ける企業にも、一定の法則といったものが存在します。ビジネス・コンサルタントのジム・コリンズは、3Mやディズニーといった「ビジョナリー・カンパニー」を詳細に分析し、その共通点を導き出しました。そしてその内部にある「社員全員に浸透した理念」、「一貫性を持って進歩する姿勢」といった8つの特徴を紹介しています。

こうしたビジョナリー・カンパニーを主導するのは、意外にも1つのことに固執するカリスマ経営者ではなく、常に成長を欲して多くの試行錯誤を繰り返す経営者であるなど、固定観念に染まった我々に別の視点を持たせてくれます。

26.『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』

著:岸見 一郎、古賀 史健

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フロイト、ユングと並ぶ心理学界の巨匠であるアドラーの教えを、哲学者と青年の対話によってじっくりと説いていくのが本書。対人関係に悩みを持つ全ての人におすすめしたい一冊です。2013年にダイヤモンド社で出版されてから大きな話題となり、国内累計220万部以上の売り上げを誇る大ベストセラーに。韓国の最大手書店では発売以来発売部数が42週連続1位という、ランキング史上初快挙を遂げています。

2014年には「ビジネス書大賞」で審査員特別賞を受賞、2017年には本書を原案としたドラマがフジテレビ系で放映されました。

人はとにかく他人の目線を気にして自分の行動を決めてしまいがちです。しかし本書ではそうした承認欲求からとる行動は不幸せであるとし、人間関係の中で他人と何かを比べるからこそ悩みが生まれる、と断言します。

そのタイトルから誤解されがちですが、決して周囲から嫌われることを推奨しているわけではなく、共同体の中で貢献することこそが幸せであるとも説いています。他人と優劣を比べてくよくよしがちな時、本書を読んでそうした悩みを振り払ってみるのが良いかも知れません。

27.『マネジメント[エッセンシャル版] – 基本と原則』

著:ピーター・F・ドラッカー 訳:上田 惇生

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「マネジメントの父」と呼ばれたピーター ・ドラッカー自らの手でまとめられた、マネジメント論の集大成とも呼べる本書。1973年に原著が発行されて以降、現代に至るまで多くの経営者たちの手に取られ参考にされ続けている本書は、ドラッカーの経営学を学ぶ上でまず手に取りたい初心者向けの一冊でもあります。

組織化が進んでいく社会でマネジメントが果たす役割の重要さを語る本書は、組織に属して働く人に使命感と勇気を与えてくれます。本文では経営者のほかリーダーとして部下を指導する全ての人が学びとしたい教えが、具体的に解説されています。

「基本と原則に反するものは、例外なく破綻する」というドラッカーの教えは、組織で働く上で常に心に留めておきたい警句と言えます。

28.『「原因」と「結果」の法則』

著:ジェームズ アレン 訳:坂本 貢一

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イギリスの哲学者ジェームズ・アレンによって20世紀初頭に執筆され、デール・カーネギー、オグ・マンディーノといった作家たちに多大な影響を与えた本書は、一世紀以上経った今も世界中で読み続けられる自己啓発書の偉大な古典です。

現代の様々な自己啓発書も、この『「原因」と「結果」の法則』の教えが各所に取り入れられていると言われています。

人間は周囲の「環境」によって自身の人格を支配されているのではなく、人間の「思い」こそが人生の良い「結果」を生み出すのだというジェームズ・アレンの教えは、逆境にも負けず自分が「どうありたいか」と具体的な将来のビジョンを意識して行動し続けることの重要さを示しています。

29.『ドラッカー名著集1 経営者の条件』

著:P.F.ドラッカー

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本書も「マネジメントの父」と呼ばれるピーター ・ドラッカーの教えをまとめた、経営者だけでなく組織で働く全ての人々が知っておきたい教えが散りばめられている本です。

自己をマネジメントするための基本が記された本書は、仕事で無駄を省いて成果を上げ、組織で貢献するために重要な時間管理のマネジメントや意思決定の方法といった大原則を伝えています。そしてそれを実現するための方法を、8つの習慣として具体化する重要性を説いています。

仕事のみならずスポーツや家庭といったあらゆる場で役に立つルーティーンをまとめた本書は、自らの人格形成をしていく上で役立つ一冊と言えます。

30.『[新版]ブルー・オーシャン戦略―――競争のない世界を創造する』

著:W・チャン・キム、レネ・モボルニュ 訳:入山 章栄、有賀 裕子

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成熟した市場においては企業間で値下げ競争といった熾烈なマーケティング攻勢や、低コスト化などの効率化競争が激化し、一方で企業やブランドの成長は頭打ちになりがちです。しかし、まったく新しい市場を切り開くことで創造されたブルー・オーシャンの世界では、競争自体が無意味なものとなります。

フランスINSEADの教授であるW・チャン・キムとレネ・モボルニュの共著で出版された本書は、新市場ブルー・オーシャンを創造し、高成長・高収益を実現するための具体的なアプローチ方法が示されています。2015年に出版された新刊本では、読者の疑問に応えて3章分の内容が追加されています。

もしも自分の担当する売り場や部門において激しい市場競争に巻き込まれて悩んでいる時は、本書を参考にマーケティングの戦略をガラリと一新してみることで、これまで考えてもみなかった新たな解決法を生み出せることでしょう。

どの書籍も、ビジネスだけでなく私たちが生活していく上でのヒントや勇気を与えてくれるものばかりです。ずっと手元に置き、自己啓発に、自分への戒めに、そして世の中を深く理解するために活用したいものです。

同じテキストを繰り返す読むことの価値

本当の名著というのは読む人、読むタイミングによって琴線に触れる部分が違ったり、多様な解釈が生まれたりするものです。だからこそ良質なテキストは何度でも読んで、自分の血肉にしていくことができます。

ここで紹介した三十冊はこのような読み方に耐えうるタフなビジネス書ばかり。ぜひ手元に置いて自分のバイブルとしてください。

Career Supli
本棚の一角に、これは繰り返し読むと決めた本を入れるコーナーをつくることをおすすめします。
[文]CareerSupli編集部 [編集]CareerSupli編集部