ずっと手元において、繰り返し読む価値があるビジネス名著20選

いい本を何度も読もう

日本の出版業界では毎年おびただしい量のビジネス書が出版されています。しかしその全てが値段相応の価値がある本というわけではありません。そして同時に中には一冊で何十冊、何百冊の価値があるビジネス書もあります。

ここではそんな繰り返し何度も読みたいビジネス書を紹介します。ツール的な使い方ができる本や、仕事や人生が行き詰まったとき、逆にうまく行きすぎているときに開いて読みたい本など、選りすぐりの二十冊となっています。

数百冊の価値がある二十冊のビジネス書

1.『確率思考の戦略論: USJでも実証された数学マーケティングの力』

著:森岡毅、今西聖貴

画像出典:Amazon

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのV字回復を実現し、使命を果たしたとして2017年1月末に株式会社ユー・エス・ジェイを退社した森岡氏と、森岡氏が同社再建のために呼び寄せた元P&Gの今西氏による共著。

2人はこの本の中で、USJをV字回復させる際に用いた独自のマーケティング理論とケーススタディー、そして理論を実践に移すときの心構えや苦悩についてたっぷり描いています。

マーケティングの教科書としての役割だけでなく、「マーケティングとは『理論を実践に移すときの心構えや苦悩』も含めてマーケティングなのだ」という、日本を代表するマーケターの哲学を学ぶ本としても、この本は必読です。巻末には全体の約6分の1のページ数を割いた数学モデルの説明付き。

2.『ザ・コピーライティング: 心の琴線にふれる言葉の法則』

著:ジョン・ケープルズ 監訳:神田昌典 訳:齋藤慎子、依田卓巳

画像出典:Amazon

アメリカの広告業界で58年間もトップコピーライターとして君臨したジョン・ケープルズの著書であり、監訳者の神田氏が「私のマーケッターとしての実績の大半は、本書に書かれている言葉を自分なりに工夫することで、得られたのだ」と「監訳者はじめに」で記すほどの本。

本書では著者が自身のコピーライティング業の中で実際にテストを繰り返した結果、科学的に収益を生むことが検証された「言葉の技術」が数多く登場します。またケープルズ氏が説くコピーライティングの基本哲学についても、学ぶところが無数にあります。言葉や文章を使って何かしらの仕事をする人は必読の書です。

3.『ウォートン流 人生のすべてにおいてもっとトクをする新しい交渉術』

著:スチュアート・ダイアモンド 訳:櫻井祐子

画像出典:Amazon

著者のスチュアート・ダイアモンドはペンシルベニア大学ウォートン・ビジネススクールで高い人気を誇る講義を担当し、グーグル、マイクロソフト、世界銀行を顧客にしている人物。本書はそんなダイアモンド氏が、ウォートン・ビジネススクールでの講義をベースに交渉の極意について記した本です。

本書では国際紛争解決という大きな交渉ごとから配偶者との家事の分担という小さな交渉ごとまで、全て同じ交渉術が役に立つとしています。つまりはこれ一冊であらゆる交渉ごとを自分に有利に進める技術が身につくというわけ。ビジネスシーンはもちろん、プライベートにも大きなメリットのある一冊です。

4.『改訂3版 グロービスMBAクリティカル・シンキング (グロービスMBAシリーズ)』

著:グロービス経営大学院

画像出典:Amazon

数多くの著名なビジネスパーソンを輩出しているグロービス経営大学院が、定番テキストとして用いている一冊。タイトルではクリティカル・シンキング(批判的思考)とありますが、中身はその基礎となるロジカル・シンキング(論理的思考)を基礎の部分から丁寧に解説したものです。

論理構造の作り方、演繹法と帰納法を使った論理展開の基礎、状況分析や因果関係の分析方法などが順を追って解説されています。私たちは油断するとつい「経験」や「勘」を過信して論理の飛躍を起こしがち。そんな自分への戒めのために、何度でも読んで頭に染み込ませたい本です。

5.『シュガーマンのマーケティング30の法則 お客がモノを買ってしまう心理的トリガーとは』

著:ジョセフ・シュガーマン、佐藤 昌弘 訳:石原 薫

画像出典:Amazon

アメリカの伝説的マーケターであるシュガーマン氏が著した本書は、ダイレクトマーケティングの世界で数多くの成功を収めた彼が実践してきた顧客心理の30の法則について解説したものです。

「権威」「帰属欲求」「収集欲求」「罪悪感」など言葉はシンプルですが、どれもマーケティングにおいて不可欠な概念ばかりです。

何度も読んで頭の中に叩き込むもよし、顧客心理を考える際のツールとして手元に置いておくもよし。モノ・サービスを売る全てのビジネスパーソン必読必携の一冊です。

6.『影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか』

著:ロバート・B・チャルディーニ 訳:社会行動研究会

画像出典:Amazon

セールスマンや募金勧誘者、広告主など、私たちの意思決定に影響力を持つ人たちが、どのような社会心理学の理論に基づいて動いているのかを解説した世界的ロングセラー。

「何かをされたらお返しをしなくてはいけない」と思う返報性のルールや、「自分の行動は一貫させなければならない」という一貫性のルールなどの心理を、読み物としても楽しい事例とともに解説してくれます。

賢い消費者として自分の身を守るとともに、ビジネスパーソンとしても活用できる情報が満載です。第三版ではプロの翻訳家も参加し、読みやすさも格段にアップ。そのほか視覚的に理解できる漫画やより多くの参考事例も追加されています。

7.『影響力の法則: 現代組織を生き抜くバイブル』

著:アラン R.コーエン、デビッド L.ブラッドフォード 訳:高嶋 薫、高嶋 成豪

画像出典:Amazon

欧米だけでなく、中国やインド、ロシアや南アフリカなど世界各国で組織内コミュニケーションのバイブルとされている一冊。この本がバイブルとされる最大の理由は、とにかく具体的で実践的であること。

例えば上司に影響を与えてパートナーシップを築くための方法を解説した第8章では、上司との典型的な問題がいくつも提示され、それに対する解決策がそれぞれの問題に複数紹介されています。

こうしたコミュニケーション系のハウツー本は「これは自分には当てはまらないな」という内容が少なくありませんが、『影響力の法則』ではそんな心配はご無用。困った時に頼れるバイブルとして手元に置いておきましょう。

8.『ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件』

著:楠木建

画像出典:Amazon

一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授を務める著者が、豊富な事例をもとに企業の戦略とアクションには「ストーリー」があるということ、そしてそのストーリーがいかにして競争優位性をもたらしているのかということを解説している本。

楠木氏は学者畑の人ではありますが、本書は堅苦しい文体ではなく、楠木氏が読者に語りかけるような口語体になっているため、518ページという大部にも関わらず読みやすい一冊となっています。競争戦略における「ストーリー」の力を、具体と抽象の両面から理解できるマネジャー必読の書です。

ただあまりの具体例の豊富さに要旨を見失いやすいため、章ごとに内容をメモするか、大きめの付せんにまとめて章の最初のページに貼っておく読み方をおすすめします。

9.『ロングテール―「売れない商品」を宝の山に変える新戦略』

著:クリス・アンダーソン 訳:篠森ゆりこ

画像出典:Amazon

ニッチな商品の積み重ねが莫大な収益を生み出す。この「ロングテール」の概念を世に知らしめたのが本書です。パソコンやインターネットの普及が「人気商品が売れる」という従来の市場原理だけでなく、「ニッチな商品でも売れ、それが市場全体に影響力を持つ」という市場原理も台頭させたという流れを、アマゾンやイーベイなどを例に解説しています。

同書が提示するロングテール戦略は、個人がインターネットを通じてビジネスをする際にも心強い味方になってくれます。今後小規模でも自分のやりたい事業での起業を考えている人は、ぜひとも手元に置いてバイブル化したい一冊です。

10.『HARD THINGS: 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか』

著:ベン・ホロウィッツ 訳:滑川海彦、高橋信夫

画像出典:Amazon

「ハーバード・ビジネス・レビュー読者が選ぶ ベスト経営書2015」で第1位を受賞したほか、マーク・ザッカーバーグFacebook社CEOやラリー・ペイジGoogle社CEOからも帯文が寄せられた一冊です。

著者のベン・ホロウィッツ氏はシリコンバレーのベンチャーキャピタル「アンドリーセン・ホロウィッツ」の共同創業者。そのホロウィッツ氏が、数多くの困難(HARD THINGS)に見舞われた自身の壮絶な起業家時代を振り返り、実体験を挙げながら リーダーや起業家へのアドバイスを記したのが本書です。

ハウツー的な要素はあまりありませんが、これ以上ない具体的な一流起業家の体験談となっており、自分が何か大きな挑戦をする際に勇気をくれる本になるはずです。