誰でもメディアが持てる時代のメディア・リテラシーとは

現代における「メディア」の本質とは?

みなさんはメディアの本質について考えたことがあるでしょうか。伝える側から受けとる側へ、「メディア=伝えるもの」という構図が成り立ちすぎてその本質を見失っているかもしれません。

そこで今回は、メディアの本質とともに、受け手の解釈の多様性、そして伝える側に必要な認識や心構えについてご紹介していきます。

いずれの項目もこれからの世代のメディアに必要不可欠な条件になってきます。今現在メディアに関わっている方はもちろん、これからメディアに携わっていきたい方、さらには「伝える」という能力が必要な方すべてにオススメです。

メディアとは、表現者と受け手の「中間者」

ここでメディアについて論じるにあたり、今一度メディアとは何かを確認したいと思います。メディア(media)とは、「中間」「媒体」を意味しています。

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中間者に立つということは、表現者と受け手の両方の立場を考えて、表現者の伝えたいことを受け手にとって一番伝わりやすい形にして届けることです。

そのとき気をつけなければならないのは、表現者の好意を受け手に客観的にわかりやすく、且つ可能な限り情熱をそのままに伝えなければいけません。

このように、表現者の意思や気持ちや情熱を、受け手がわかりやすく取れるように最適化するのがメディアの仕事になります。

誰でもメディアが持てる時代

SNSにより誰でも簡単にメディアが作れるようになった現代社会。この時代において情報発信をしたい人が考えなければならないのは、「どのメディアをどのように用いることがもっとも効果的な方法か」ということです。

SNSなどのソーシャルメディアから、従来のような本や雑誌といった紙媒体のメディア、その他フライヤーや小冊子、電子テキストなど様々な形態のメディアが存在します。

ここでは、わかりやすくメディアを「情報の飛距離」「情報の深さ」という二つの軸で分類してみました。

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「情報の飛距離」という意味では幅広い人の目に触れやすいベストセラーやソーシャルメディアは圧倒的な飛距離(拡散力)を持っているのでたくさんの人の目に触れます。それに対し、個人的なブログや身内だけの社内報、そこまで部数をたくさん刷っていない紙媒体は情報の飛距離はそれほど高くありません。

また、「情報の深さ」という点では、やはり紙媒体が強いです。Web系メディアに比べ機動力は落ちるものの、実物として残るメディアのため、流し読みなどはあまりされにくく、結果的に深い情報価値があると言えるでしょう。

自分がメディアを持つならどこの領域に強いのか、どこにポジションを取るのかを明確にする必要があります。そのメディアの目的に応じて、メディアのスタイルを変えていくことが要求されます。

例えば、情報を拡散させた上でそこそこの深さを保ちたいプロジェクトなどの場合、ソーシャルメディアを使って即効性のある情報を拡散させ、その後、紙媒体落とし込んで情報の深さを確保するなど、メディアを複数活用しそれぞれの良いところをうまく取り込んでいくのもよいでしょう。

言語化によるメリットとデメリット

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次に、近年マーケティング業界で注目されているInstagramやVineといった「非言語メッセージ」と、従来の言語化メディアを比較して考察してみましょう。

そもそも言語とは、順序立ててロジカルに物事を並べていきます。それに対して思考というのは、もっとモヤモヤして液状的な一定の形の整っていないものです。

夕日の美しさの全てを言葉で置き換えて説明することができないように、そうした思考を言語にする、すなわちメディアに置き換えるということは、対象の本質を落としてしまう可能性をはらんでいるということなのです。

こうした感性やものの状態を言語で説明するのには限界がありますが、反対にロジカルで説明できる客観的なものには言語はとても役に立ちます。メディアとして言語を使いこなす場合には、言語が物事をきちんと説明できる側面と、説明しきれない側面を持っていることをよく理解して使う力が求められます。

単純化が台頭する今だからこそ求められる「複雑さ」

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世の中はもともとても複雑で曖昧です。ひとつの出来事の裏にはいくつもの事情や思惑、利害などが相互構成的に複雑に絡み合っています。そんな世の中だからか、平易で単純な言葉で把握したいという欲求があちらこちらで見受けられます。

たしかに単純な言葉はわかりやすいですが、それも度が過ぎてしまうと単純な言葉にすることが目的になってしまい、いつしかその裏にある複雑さを考えようとしなくなってしまう危険性があります。

この複雑さの中に問題や本質が隠されていることが多いです。メディアの作り手も、情報の受け手である読者も、決してこの複雑さをないがしろにしてはいけません。

現代はネットワークが発達し、よくも悪くも昔と比べて情報をより拡散しやすく共有しやすくなりました。複雑さから目を背けず、このネットワークを活かしてより地に足のついた議論をしていくことが必要です。そしてそれを支えるメディアは、複雑性を辛抱強く表現し、通説を揺さぶるような声を上げる存在としてあり続けなければなりません。

Career Supli
これからの情報社会では、個人や組織の意見を「考え・まとめ・見せる」人が求められています。そのためにはメディアに携わる一人ひとりが「表現者」であり「編集者」であり「デザイナー」であるという多面的な考え方の基礎やスキルがなければなりません。そうした多面的な考え方や基礎のスキルの一部をこれまでご紹介してきました。多様な考え方をきちんと抑えて次世代でも通用するメディアを作り上げましょう。
[文・編集] サムライト編集部