新任マネジャーが乗り越えるべき人間関係の試練とは?

Asian Businesswoman Leading Meeting At Boardroom Table

新任マネジャーの3割は「つまずく」

「それまで現場でバリバリ働いてきて、いよいよマネジャーに昇格!」これは多くの人が思い描くキャリアプランですよね。しかしいざマネジャーになってみると「これまでと勝手が違いすぎる」「今までの仕事のやり方が通用しない」と壁にぶち当たる新任マネジャーは多いのも事実です。

『駆け出しマネジャーの成長論』の著者・中原淳さんによれば、3割の新任マネジャーはプレイヤーの仕事のやり方からマネジャーのそれへの移行に「つまずく」とされています。ここでは中原さんの著書を参考に、新任マネジャーが敏腕マネジャーに乗り越えなければならない人間関係の試練とその対策を解説します。

人材の育て方・使い方

マネジャーとは自分が仕事をするのではなく、人に仕事をしてもらって結果を出す人を指します。そのため自分の仕事に関係する人材をいかに育て、いかに使うかは非常に重要です。しかしそれまで現場でプレイヤーとしてバリバリ働いてきた人の中には、「人の育て方」「人の使い方」を教わっていない人も少なくありません。

・自分が昔上司にされたように部下も厳しく指導して、チームに悪影響を与えてしまう。
・部下にはっきりと指導ができず、自分で仕事を抱え込んで破綻してしまう。
・年上の部下の使い方がわからず、主導権が握れない。
・ベテランアルバイトの使い方を間違えて反感を買い、従業員全員から無視される。

実際にこのような状況に陥り、「自分はマネジャーに向いていない」と頭を抱える新任マネジャーはたくさんいます。このような事態を回避するためには様々なハウツーがありますが、ハウツーよりも先に最も基本の部分を知っておかなければなりません。

●「人の育て方」の基本

まずは人の育て方の基本です。それは「リスクをとって部下に仕事を任せ、適切なタイミングでフィードバックをすること」です。リスクとは、その部下にとってやや難易度の高い仕事を任せること。

このリスク設定を的確に行うためには、部下の性格や能力、興味などを把握している必要があります。でなければモチベーション低下だけでなく、難しすぎる仕事を任せてしまったり、そもそも向いていない仕事をさせることになるからです。

また、育てる対象を限定することも大切です。理想的にはチームメンバー全員を育てられればいいのですが、時間的・労力的に難しいのが現実です。そのためチームのパフォーマンスを上げられる人材、例えば自分の右腕になってくれそうな人などに目星をつけて育成していく必要があります。

そのうえで、どんな仕事を(難易度は高いのか、低いのか)、どんな目的で(成功体験のためか?失敗体験のためか?)、どうやって(フィードバックは自分から?先輩から?同僚から?)任せるのかを検討していきます。

●「人の使い方」の基本

次に人の使い方の基本です。これは「現場の徹底的な観察」です。自分のチームにはどんな人間関係があり、誰が動かせば誰が動き、チーム全体が動くのかを把握するためには、とにかく現場を観察しなければなりません。その上で「年上の部下」「ベテランアルバイト」「中途採用者」などその人の性質に応じて、使い方を変えていく必要があります。

例えば年上の部下が相手であれば、あくまで相手のこれまでの経歴や経験は尊重しつつ、マネジャーという役割として接することが大切です。マネジャーになったからには「人に仕事をしてもらって結果を出す」必要があります。そのためには部下であろうが、アルバイトであろうが、相手を尊重し、動きたくなるようにマネジメントしなくてはならないのです。

「上」「横」との付き合い方

Pretty manager

マネジャーが直面する人間関係の問題は、部下とのやりとりだけではありません。それは自分の上司や(上)、自分のチームに関わってくる他部署(横)にもあります。特に上司とのやりとは「ボスマネジメント」という言葉があるほど重要かつ難しい問題です。

例えば上司から「事業の見直しを頼む」と言われても、それが見直しのポーズを取れという指示なのか、本当に見直せという指示なのか、思惑を読み取れなければチームに指示を出すことができません。このように分かりづらい指示をより明確にしてもらい、こちらの意志を上司に理解してもらうためには、次の3つの手順を踏む必要があります。

1.上司と自分自身の理解
2.上司との関係構築
3.段取りを踏んだロジックの提示

1は上司と自分自身の性格や仕事のやり方、仕事上の得手不得手についての理解を指します。2のステップでは1の内容を踏まえ、お互いのやり方や得意分野を尊重しながら仕事をマネジメントしていきます。

関係ができたら次は「段取り」と「ロジック」の提示です。多くの管理職は部下への情では動かず、「会社にとってメリットがあるか」「自分のチームにメリットがあるか」で判断します。これを前提として前もって情報を入れておくのが「段取り」であり、上司が即座に判断できるように提示するのが「ロジック」です。

この3つのステップがスムーズにいくかどうかは相手によって変わるため、「この方法なら間違いない」というものはありません。しかし「ボスをマネジメントする」という視点があるかないかで、この試練との向き合い方は大きく変わるはずです。

他部門の場合も基本は同じです。他部門がどんな仕事をしているのか、どんな得手不得手があるのかを理解し、その上で関係を築いていき、最後は相手のメリットを段取りを踏んで提示しながら交渉を進めます。どちらの場合も大切なのは相手を理解し、相手に動いてもらうこと。その意味では1つ目の試練も2つ目の試練も同じです。

試練を乗り越えて優柔なマネジャーになろう!

Creative team discussing new ideas on table
マネジャーがぶつかる試練にはここで挙げた人間関係のもの以外にも「マネジャーというポジションの受けるプレッシャーとの付き合い方」や、現場で働きながらマネジメントもするプレイングマネジャーになった場合の「プレイヤーとしての仕事とマネジャーとしての仕事のバランス」などがあります。

新任マネジャーはこれらと戦いながら、少しずつマネジャーとして一人前になっていくものです。だから初めはつまずいても問題ありません。優秀なマネジャーになるためにはどんなスキルが求められていて、それをどうやって磨いていくかを知っていけば、一歩ずつ前進していくことができます。

「自分はマネジャーには向いてなかったんだ」と落ち込まないためにも、マネジャーになる前から求められるスキル・仕事をしっかり理解しておきましょう。

参考文献『駆け出しマネジャーの成長論』
Career Supli
人に気持ちよく働いてもらえるスキルは絶対に必要なスキルですね。
[文]鈴木 直人 [編集]サムライト編集部

Asian Businesswoman Leading Meeting At Boardroom Table