鈴木おさむ流「企画術」を転職での大きな武器にしよう!

「人生を企画する」という視点

「企画」は新規事業部や開発部だけの仕事ではありません。自分の人生を企画すること。これこそが面白く生きるための秘訣であり、同時に転職などでの最強の自己PRにもつながります。ここではそのための企画力をつけるために、放送作家・脚本家・作詞家などマルチな才能を持つ鈴木おさむさんの著書『新企画』を参考に、鈴木さんがこれまで培ってきた「企画術」を紹介。それをもとに自分の人生の企画方法を考えます。

「制限」をつけてオリジナリティを見つける

企画において制限とは「ものの意外な面白さ」を照らし出すツールの1つです。鈴木さんは著書の中で、いろいろな人に「人生を振り返って1問だけ作る究極の自分クイズ」を出題してもらうというクイズ番組を提案しています。長い長い人生の中で「1問だけ」という制限をつけることで、人それぞれのオリジナリティにフォーカスを当てているのです。

全体を一見するだけではごくありふれた自分の人生も、徹底的に見極めていけば意外な面白さ=オリジナリティがあるもの。これはそのまま私たちの人生にも当てはまります。転職の面接などで自己PRをするのに「自分の人生はどこにでもあるような人生ですから」と言っていてはいつまでも転職は無理です。「この10年で学んだことをたった1つだけ挙げるとすればなんだろう」などと人生を制限をつけて振り返ることで、自分の中のオリジナリティを発掘しましょう。

「引っかかり」のある人間になれ

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企画は全く記憶に残らないよりも鼻につくほうがいい。鈴木さんはそう言います。また「鼻につく(ネガティブ)」と「気になる(ポジティブ)」を合わせて「引っかかり」と呼び、これがある企画を考えることが大切だとも言います。日本人はついつい無難な人間を目指してしまいますが、これではこれからの転職市場を生き残ることはできません。

「仮に半分は鼻についたとしても、あと半分がおもしろいと思ってくれれば、それは大きなインパクトを残す」
引用:『新企画』第4章

特に現在のインターネット時代では昔とは比較にならないほど多くの人や企業と出会うことができます。したがって「引っかかり」の多い人間ほど、必ずどこかに活躍の場が生まれるというわけです。

実際に「中学生時代から10年以上ポエムや創作小説を書いていたら、ウェブライターになっていた」という人もいれば、「幼少期からの片付けマニアで、それが乗じて片付けコンサルタントという職業まで作った」という『心がときめく片付けの魔法』の著者・近藤麻理恵さんのような人もいます。自分の中の「引っかかり」は人生を切り拓く武器になるのです。

オリジナリティを「ねじ込む」

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転職市場では「自分にしかできない仕事」をしてきた人が評価されます。そうはいっても企業人として働いていると、なかなか「自分にしかできない仕事」は見つからないもの。それはメディア業界でも同じです。

鈴木さんは映画『新宿スワン』の脚本を依頼された時、自由度の低い漫画原作の脚本に頭を悩ませたそうです。しかし「自分じゃなきゃダメ」な仕事にするためにも、鈴木さんは自分が原作で一番好きな女性キャラ・アゲハにフォーカスを当て、物語の後半部分をアゲハを軸にした恋物語としてアレンジしたのです。

「99%固まってしまっている企画であっても、そこに1%の自分らしさを出そうとあがくことは大切だ」
引用:前掲書 第5章

毎日同じような仕事をしていると、つい「誰がやっても同じだ」と考えがちになります。しかしそこで腐らず「1%の自分らしさ」をねじ込むことが、転職では自分のセールスポイントとなるのです。

「異物」は丸呑みしよう

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鈴木さんが企画をのためのネタを集めるのは決まって「異物」に触れている時です。それはホストクラブの経営者や売れない芸人であり高校時代の後輩でもある「ヤシロ」さんなど、自分の人生とは一見遠いところにいる人たちとの出会いの場合もあります。あるいはいつまでたっても覚えられない料理のレシピなど、自分の苦手な分野の場合もあります。

こうした自分にとって違和感のあるもの、異物感のあるものに触れた時、鈴木さんの「企画センサー」は敏感に反応するのです。「そうはいっても、異物を受け入れるのはしんどいよ」というのが本音かもしれません。しかし多くの異物を受け入れるほど、自分の中の価値観も多様化していきます。それがダイバーシティ(多様性)を求められる昨今の職場で役立つことは言うまでもありません。

まずは「異物」を面白がること。これから始めてみましょう。

「バカ」になって経験を積む

「本当のバカは困る。でも、バカになれる、バカのフリができる人はとても強く、100回のアタックで1回くらいの奇跡が起きるのだ」
引用:前掲書 第5章

意図的にバカになることで自分の中の行動のハードルを下げると、人間としても人材としても成長スピードは格段にあがります。堀江貴文さんも著書『本音で生きる』の中で、変なプライドを守るくらいならバカになってとりあえず飛び込んでみることが重要だと言っています。

プライドを捨て「そんなの常識的に無理でしょ」という先入観を捨てて、どんどんバカになるにつれ、「あれ?ひょっとしてできるんじゃない?」にまで突き抜けていく。それこそが手っ取り早く経験を積む最善策なのです。

1回の奇跡は「成功体験」となり「実績」にもなります。そしてそれらは次の奇跡(=成功体験・実績)の呼び水となるでしょう。

面白がって生きていれば人生は面白くなる

ここまで挙げた5つの「企画術」は、すべて「とりあえず面白がってみる」というコンセプトに貫かれています。制限を面白がり、自分の中の引っかかりを面白がる。1%の自分らしさをねじ込むことを面白がり、異物を面白がり、バカになることを面白がる。だからこそ人生はどんどん面白くなっていき、人間として、人材としての魅力を引き出してくれます。「自分の人生を企画する」という視点は、こうして転職での強い武器となるのです。

参考文献 『新企画』 著:鈴木おさむ 『本音で生きる』 著:堀江貴文
Career Supli
「異物」を丸呑みというのは、できそうでできません。この機会に意識してみたいです。
[文]鈴木 直人 [編集]サムライト編集部