マーケティングプランナーが教えるコンペに負けない強い企画のつくり方

企画はセンスではない

あなたは自分の企画に自信がありますか?もし自信がないようであれば、センスがないのではなく、「企画」というものの捉え方を改めたほうが良いかもしれません。良い企画は天才でなくてもつくれます。

良い企画をつくるのに必要なのはセンスではありません。正しいアプローチの仕方と、良い物をつくるという気合、この2つです。それではコンペに負けない強い企画のつくり方をご紹介していきましょう。

良い企画をつくるための方法論を知ろう

企画に関する本は読んだことがありますか?企画をつくるための方法論はいろんな優れたクリエイターが言語化していて『アイデアのつくり方』、『スウェーデン式 アイデア・ブック』、『アイデア・バイブル』など素晴らしい本がたくさん出版されていますので、是非読んでみてください。

勉強をするのに、まず自分にあった勉強方法を学ぶのが大切なのと同じで、まずはいろんなやり方があることを知るのがスタートです。今日ご紹介する方法も色んな人のやり方を参考にして、それをミックスした内容になっています。

企画のタネのストックをつくる

IMG_2719

よく言われることですが、企画は既存にあるアイデアの掛け合わせです。ですから掛け合わせるためには既存にあるものを知っておく必要があります。企画に苦手意識がある人は単純に掛け合わせるためのタネがない場合が多いです。筆者はお気に入りの言葉や面白い話を見つけたら、アイデアメモにコピペしておきます。twitterで見つけた場合は必ずtwitterのお気に入りに入れるようにしています。

そして時間があいた時に定期的に見返すようにしています。もう少ししっかりやるならば、オススメの方法は博報堂ケトルCEOの嶋浩一郎さんのやり方です。面白い文章があったらモレスキンのノートに上から順番にメモしていくという方法です。

整理や分類をしないのがポイントで、美味しいお店の情報から、芸能人の裏話まで一切分類せずに書いていきます。嶋さんいわく情報は整理すると死んでしまうそうです。編集者の菅付雅信さんは面白い情報があったら片っ端からスキャンして保存しているそうです。そういった地道な作業の積み重ねによって、事例が豊富な濃い内容の書籍が出来上がっているのです。

企画をまとめるまでのステップ

drawing business concept on wall

クライアントのオリエンを受けてから実際に企画を提出するまでどのようなステップを踏むか、ここが重要なポイントになります。すぐに企画を詰めようとしてもジャンプのないアイデアになってしまいますし、ギリギリすぎるとブラッシュアップの時間がなくなってしまいます。

まずクライアントからコンペのオリエンを受けたら、なんとなくこんな方向性がいいんじゃないかなというイメージを膨らませます。この時点ではあまり具体的に考える必要はなくフワッと考えて、あまり脳にストレスをかけないようにします。あまり脳にストレスをかけずに頭の片隅にボンヤリ置いておくと、違うことをやっているときにふとアイデアが浮かびやすくなります。

人のアタマを借りる

次は人のアタマを借りて考えてみましょう。箭内道彦さんならどのように考えるか、佐藤可士和さんならどうするだろう、糸井重里さんだったらなど、自分の好きなクリエイターならどんなことを言うか、どんな企画を出しそうか、考えましょう。

2〜3人でいいので自分の好きな人のインタビューや著書を徹底的に読み込み、その人になりきって考えられるような人をつくっておくと企画力が飛躍的にアップします。

他社の事例をみる

その後は他社の事例を徹底的に集めましょう。そしてその企画を見直して、どこがダメなのかを全部洗い出しましょう。どこかでみたことがある表現である、ウソっぽい、表現が下品である、心に響かない、楽しそうな感じが伝わらない…等いろんな意見がでてくると思います。

すべて洗い出したら、そのダメ出しに自分の企画の方向性で耐えられるものができそうか、考えていきます。この時点になるとだいぶ自分が提案したい企画が具体的になってくると思います。

クライアントがいいそうなことを洗い出す

次は、クライアントがいいそうなことをすべて洗い出しましょう。もっと幅広い人に届くような内容がいい、ここにこういう説明をいれて欲しい、この内容では拡散されないのでは?炎上する可能性があるのでは?いま話題の人を使った方がいい、等クライアントがいいそうなことを事前にすべて出しましょう。

そしてその意見がなぜツマラナイか、強い表現につながらないか、人の心を動かすものにならないかを考えましょう。簡単に思いつくもののほとんどは、予定調和で、どこかで見たことがある、聞いたことがあるものになりがちです。いかに予定調和をぶっ壊すを考えてください。筆者の尊敬する電通のクリエイティブ・ディレクター高崎卓馬さんは企画について次のように語っています。

楽な方と難しい方の道があったら必ず難しい方を選んだほうが良い物が出来ると言っていて。簡単な方を選ぶと他の人も出来る可能性があるじゃない。難しい方を選んで作っていくと、他の誰にも出来ないものに辿り着く可能性が大きいから。誰も出来ない物を持って行った方が皆感動してくれるし、嬉しいから、そっちを出来るだけチョイスする。企画マゾだよね。追い込んだほうが良い物が出来ると心から信じているから。一緒にやっている人は大変だなと心から思うけど(笑)。

出典:http://onkou.com/pg103.html

自分のアイデアとクライアントの言いたいことを近づける

そうしたら最後はクライアントの言いたいことと自分の企画を近づける方法を考えましょう。どのような落とし所であれば、お客さん、クライアント、自分たちの三者がハッピーになれるかを模索しましょう。プレゼンについて高崎さんは次のように語っています。

よく上手なプレゼンの仕方を質問されるんですが、いい企画をつくること以外の方法はないと思っています。いい企画とはクライアントのためになり、世の中のためになり、自分のためにもなると自分が思い込めているもの。そういう企画を見つけてさえいたら、恥ずかしさは消える。実現したい気持ちが強くなっていると企画に対する集中力も出る。集中した状態で話をしていたらクライアントの言葉の裏にある微妙な反応も見えるようになるし、結果に向かって何をすべきかの情報の収集量も増すはずです。80点の企画を、プレゼンで120点のように話すことの方がよっぽど恥ずかしい。

出典:http://dentsu-ho.com/articles/1035

自分の経験を振り返っても、変に緊張するのは自分でつくった企画に自信がない時で、自信をもって提案できる企画ができた時は、緊張することもないですし、ちゃんと伝わっていると感じることが多いです。

企画にセンスは必要ありませんが、なにが何でも絶対にいいものをつくるという、気合や執念のようなものが必要です。世の中に自分が企画したものを出せる機会がある仕事というのは、本当に素晴らしいことだと思います。だからこそ手を抜かずに、人の心を動かすものを出すことに全力を尽くしたいですね。皆さんも自分なりの企画方法を確立してください。

Career Supli
企画を考える力も筋肉と同じで使うと強くなります。仕事ではなくてもいつも企画を考えているような企画体質を目指しましょう。
[文]頼母木俊輔 [編集] サムライト編集部