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あなたは自信、ありますか?
「自信」。それは私たちが夢を叶えるために必要不可欠であり、男女問わず社会で活躍するためにも必須のものです。また一般的なビジネスパーソンからすれば、世界レベルのエグゼクティブは当然この「自信」をたっぷりと持ち合わせているように見えます。
事実男性のエグゼクティブには自信に満ち溢れた人がたくさんいます。しかし実はヒラリー・クリントン氏をはじめとする多くの女性エグゼグティブには「自信がない」ことがわかったのです。
ここではこの事実を明らかにした『なぜ女は男のように自信をもてないのか』を参考に、女性ならではの「自信のなさ」とそれを克服する方法について解説します。女性はもちろん、優秀なのに自信がない女性の部下を持つ男性も必読です。
TOP画像出典:Wikipedia
大統領候補者も、IMF理事も、フェイスブックCOOも自信がない!
2017年11月の米大統領選に向け、バーニー・サンダース上院議員と熾烈な争いを繰り広げているのは、元国務長官ヒラリー・クリントン氏。第42代大統領ビル・クリントンの妻であり、ファーストレディの経歴も持つ彼女はまさに「強い女性」の代名詞的存在です。
しかしヒラリー氏は2000年に上院議員として出馬を決める際不安で仕方がなかったと言い、「私は負けることを恐れているんだと気付きました」と当時を述懐しています。高校時代の女子バスケットボールチームのコーチに背中を押されて、ようやく決心が着いたのだとか。
国際金融基金(IMF)初の女性理事に就任したクリスティーヌ・ラガルド氏も、「世界最強の女性30」(『フォーブス』誌による選出)に選ばれながら自分の能力に対して疑問を抱き続けています。
「公の場で手を挙げたり、自分の意見を述べたりするのに、勇気を奮い起さなければならないことがよくあった」世界の金融業界のトップに至るまでにも、彼女はそのような葛藤を続けていたのです。
フェイスブックCOOを務めるシェリル・サンドバーグ氏もそんな葛藤を続ける女性の1人。彼女は著書『LEAN IN−女性、仕事、リーダーへの意欲−』の中で女性に多い「詐欺師症候群」を取り上げ、自身もその症状に悩まされていることを明らかにしています。
詐欺師症候群とは簡単に言えば能力があるにもかかわらず、「自分は自分の本当の能力を偽って、周囲を騙して今の評価を得ているのではないか」という思いを抱いてしまうというもの。多くの女性がこのようにして自分を過小評価し、才能を発揮することに躊躇いを感じているのです。
「自信がない人」の5つの科学的事実

「自信がない」という人の話を聞いて、共感する人もいれば「そんなもんは気合が足りないんだ!」と思う人もいるでしょう。この2つの反応のうちどちらをするかには、実は科学的根拠があることをご存知でしょうか。
アカゲザルを検体にしたアメリカの調査では、自信に関与するホルモン「セロトニン」の量を調節する遺伝子「SLC6A4」の性能は先天的に決まっており、その性能が低いほどアカゲザルほど自信のない行動をとるとされています。
また「抱擁ホルモン」と呼ばれるオキシトシンも自信に関与する物質だということがわかっています。オキシトシンを脳内で伝達する遺伝子には2パターンあることがカリフォルニア大の研究で判明。そのパターンによって成長後の自信の有無が左右されるのだと言います。
「冒険遺伝子」とされるドーパミンをコントロールする「DRD4」も自信に関わる遺伝子です。投資家などの高いリスクを楽しめる性質の人たちは、それを可能にするDRD4遺伝子を持っているだとか。
またドーパミンを分解する酵素を含む「COMT遺伝子」にも大胆な行動をサポートするタイプと、心配性になるよう促すタイプがあり、これも先天的なものだとされています。
これは女性に限ったことではなく、男性でも「自分はどうにも自信がうまく持てない」という人はこうした遺伝子レベルでの自信の欠如が原因となっているかもしれません。もちろん遺伝子が全てではなく、育つ環境なども大きく影響しますが、どちらにせよ自信のなさには自分ではどうにもできない要因が絡んでいるのです。
男脳と女脳の決定的な違い

脳科学は男性的な脳と女性的な脳の性質の違いも明らかにしています。男女の脳の違いについての研究をしている精神分析医ダニエル・エイメン氏は、男性の脳に比べて女性の脳の方が全ての領域において30%増しの活動量を持っている事実を発見しました。端的に女性が持っている脳の方が、処理能力が高いというわけです。
エイメン氏はこれを女性特有の共感力や直感力、協調性などと結びつけています。しかしこの処理能力の高さが、逆に女性の自信のなさを助長しているのです。女性的な脳は処理能力が高すぎるがゆえに、「考えすぎる」「過ぎたことを何度も反芻する」「ありもしない可能性(自分がみんなを騙している)にとりつかれる」ことができてしまう、というわけ。
もちろんこれはあくまで「男性にはこういう脳が多い」「女性にはこういう脳が多い」という域を脱しません。しかしエイメン氏の研究成果に基づけば、女性は脳の処理能力を持て余し、男性は脳の処理能力が低いゆえに世の中を牛耳っていることになります。
自信は作れる!「早めの失敗」と「小さな挑戦」

「自信がないのは脳のせいだ」「自信がないのは遺伝子のせいだ」と言われてしまうと、「じゃあ自信を持つのは不可能なのか」と思うかもしれません。もちろんそんなことはありません。世界で活躍している一流の女性たちは、自分の自信のなさに打ち勝つために地道な努力を積み上げて、自信をマネジメントしています。
その秘訣こそが「早めの失敗」と「小さな挑戦」です。化粧品会社「ダーマロジカ」の創設者ジェーン・ワーワンド氏は4歳半の時、1度母親と歩いた学校までの1時間半の道のりを1人で帰るよう言いつけられました。あるいは4歳だったラガルド氏はある日、外出する両親に赤ん坊の弟たちの世話を言いつけられています。
彼女たちはこのように小さな頃から小さな挑戦をさせてもらえる環境にあったのです。時には失敗したかもしれません。しかし幼少期や若い間の「早めの失敗」は、取り返しのつかない結果には繋がらないもの。こうして彼女たちは少しずつ「自信」を積み重ねたのです。
ラガルド氏は自信がなくなりそうになった時、これまでの経歴・経験・学んできたことを思い出すのだとか。この方法で自信が取り戻せるのは、積み重ねてきたものがあるからこそです。
この自信の作り方は大人になってからでもできる方法です。「知らない町に行ってみる」「やったことのない趣味を1人で始めてみる」などのハードルの低いものを積み重ね、次第に「会議で発言する」「上司に意見を言ってみる」などのハードルの高いものにレベルアップさせていけば、知らない間に自信が身についているはず。小さなことからコツコツと、何度も何度も繰り返していれば必ず自信は手に入ります。
「自信とは、思考を行動に変換するものである」
『なぜ女は男のように自信をもてないのか』の中で自信は「思考を行動に変換するものである」と定義づけられています。先に触れた「早めの失敗」と「小さな挑戦」は自信を持つ前に行動することに自分を慣れさせることで、事後的に自信を生み出す方法といえるでしょう。女性的な脳は処理能力が高いゆえに、男性にありがちな「根拠のない自信」を持つことができません。
ならば「根拠のある自信」を作り出すしかないのです。その方法こそが「早めの失敗」と「小さな挑戦」です。女性はもちろん、「能力はあるのにどうして自信がないのか?」と女性部下に対して訝しんでいる男性も、この方法で自信をマネジメントしてみましょう!
参考文献『なぜ女は男のように自信をもてないのか』
