エゴは人生の敵だ!エゴをコントロールするための6つのヒント

「エゴ」があなたの足を引っ張っている

エゴは時に私たちを奮いたたせ、前進するための原動力となってくれます。しかしこのエゴが必要以上に肥大化し、他を犠牲にして自分を優先したり、実力以上に「認められたい」という欲求が膨らんだり、行き過ぎた優越感や思い上がりに支配されてしまうこともあります。

この時エゴは私たちの人生最大の敵となり、失敗を呼び込み、敵を増やし、目標を遠ざけます。これを防ぐためにはエゴをコントロールする術を身につける他ありません。ここではライアン・ホリデイ著『エゴを抑える技術』を参考に、エゴをコントロールするための6つのヒントを紹介します。

目標達成のための「エゴ」コントロール術

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●「情熱」の落とし穴を知る

得てして大きなことを成し遂げるには「情熱」が必要だと言われます。確かに成功者たちの多くは自身の情熱について語りますが、同時に情熱は失敗者の主たる特徴でもあるのです。

例えばアメリカンのディーン・ケーメンさんを中心に開発された電動立ち乗り二輪車「セグウェイ」は、当初画期的な発明だともてはやされました。

そこでこの発明について情熱をさらにもやしたケーメンさんと投資家たちは「1週間に1万台の需要」を想定し、大胆に資金を投下します。しかし結果は大失敗。情熱という名の熱病に浮かされたために、本来の需要を大幅に見誤ったのです。

情熱は目標達成への大きな原動力になるかもしれません。しかし情熱が湧き上がった時こそ、冷静に現実を認識する必要があります。

●下積み期間は「カンバス戦略」で乗り切る

「カンバス戦略」とは「他の人が絵を描けるようにカンバスを探す(導き手になる)」ことで、自分の道をも切り拓いていくという戦略です。

大きな目標を達成するためには、一定程度の下積み期間が必要です。しかし目標が大きいほどエゴは肥大化しやすくなり、上司や先輩の指示・命令に対して「どうして自分がそんなことをしなけりゃならんのだ!」とストレスをためがちになります。これではシビれを切らしてストレスから逃げ出してしまい、目標を諦めざるを得ません。

これに対してすでに成功している会社や上司・先輩をフォローするカンバス戦略をとれば、目標達成のための知識や経験を学ぶことができるうえに、「今は縁の下の力持ちになるんだ」と思えるので、ストレスも大幅に軽減されます。

ただしフォローする相手はくれぐれも選び間違えないようにご注意を。さもなければただ我慢するだけで意味のない日々になってしまいます。

成功し続けるための「エゴ」コントロール術

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●「成功の物語」を語らない

目標を達成し、ひとときでも「成功」を手にすると私たちはそれを物語仕立てにして周囲に語ろうとします。そうして称賛や羨望を集めるとともに、「自分にはその資格があったのだ」と実感するためです。

しかし本来成功とは物語のように順調に手に入るものではありません。1つずつ課題を絞り込み、それに向かって徹底的に打ち込むことで、不確実な成功が徐々に近づくだけのことです。

その過程を忘れて「成功した」という結果にのみ着目し、それを導くために過程を整理してしまうと、つまり「成功の物語」を語ってしまうと、二度と成功できなくなってしまいます。物語という虚構への欲求をぐっと我慢し、過程という事実に徹することが必要です。

●「わたし病」に細心の注意を払う

「わたし病」とは成功や勝利を手に入れたときに襲ってくる、自分の重要性を主張しようとするエゴのことです。NBAでロサンゼルス・レイカーズとマイアミ・ヒートの2チームを何度も優勝させた名将パット・ライリーさんによれば、ほぼ例外なく優勝チームはこの「わたし病」で崩壊するのだと言います。

勝つ前は無心に、純粋に一致団結し、チームの目的達成に向かってまい進するにもかかわらず、メディアに注目され始めた途端、エゴが頭をもたげて「わたし病」が発症するのです。

これは何もNBAで優勝せずとも、プロジェクトや商談を成功させたときにも起こり得ます。「わたし病」にかかり、エゴに振り回されるのを防ぐには、セルフチェックが欠かせません。成功したときに「自分はもっと評価されるべきではないか?」と感じたら、真っ先に「わたし病」を疑いましょう。

失敗に負けないための「エゴ」コントロール術

Failure

●見返りを求めず、なすべきことをする

努力に対する見返りは、それが称賛であれ、報酬であれ、全てをコントロールすることはできません。にもかかわらず私たちは「認められたい」「評価されたい」というエゴにとりつかれて、期待以下の見返りしかないと「不当だ」とモチベーションを低下させてしまいます。

これを防ぐには見返りへのこだわりを捨て去り、ただ自分が「なすべきである」と思ったことだけに徹する必要があります。確かに努力に見合う見返りを手にできるときもありますが、それはあくまで「なすべきこと」の延長線上にあるものにすぎません。その先も前進し続けるためには、いちいち見返りの大小に落胆している場合ではないのです。

●「ファイト・クラブ・モーメント」を見逃さない

映画化もされた小説『ファイト・クラブ』の主人公は自分のマンションの部屋が爆破されたことをきっかけに、自分の人生の重要な問題と向き合うようになっていきます。

『エゴを抑える技術』の著者ホリデイさんはこの場面を大きな失敗がもたらすエゴを乗り越えるためのチャンスだと読み替え、「ファイト・クラブ・モーメント」と呼びます。

私たちの人生は小さな失敗の連続ですが、ときには絶望的な、まさに「どん底」に落ちるような失敗が訪れます。このような失敗は人生における分岐点で、一方は危機的状況に陥ったエゴが恐怖のあまり暴走し、より絶望的な状況に自分を追い込む道です。自分を否定されたナルシストや、追い詰められた殺人犯などがこの典型でしょう。

もう一方の道はエゴを捨て、その後の人生を強く、堅実に歩む道です。こちらを選ぶためには強い自制心が必要ですが、ファイト・クラブ・モーメントを乗り越えれば、充実した人生が待っています。

1. 外部の力や人間によって引き起こされることがほとんどである。
2. 自分でもかねて知ってはいたが、認める勇気がもてなかった事柄が多い。
3. 破滅的な転落の中から、大きな前進や向上のチャンスが生まれる。
引用:『エゴを抑える技術』

ここにホリデイさんが歴史の研究から学んだファイト・クラブ・モーメントの3つの特徴を引用しておきます。これを見逃さないためにも、脳裏に叩き込んでおきましょう。

「本当の自信」はエゴの向こう側にある

エゴはしばしば私たちを盲目にし、根拠のない自信や優越感を生み出します。エゴに振り回されている限りはこうした偽物の自信に酔い、本当の自信を手に入れることはできません。

本当の自信にたどり着くためには、ここであげたような方法でエゴをコントロールする必要があります。もちろんこれらを徹底するのは簡単ではありません。しかし少しずつでも意識を持てば、徐々にその効果を実感できるはず。

そうなればしめたもので、今度はエゴをコントロールするのが楽しくなっていきます。そんな自分を思い描いて、まずはここであげた9つのヒントから1つずつ実践してみましょう。

参考文献『エゴを抑える技術』
Career Supli
エゴをコントロールするとこは簡単ではありませんが、知っておかなければいけない知識です。
[文・編集]サムライト編集部