Contents
なぜ私の依頼の優先度は低いのか?
なぜあの同僚は私が依頼していることをやってくれないのか、なぜあの部下は私の指示通りに動かないのか、もどかしく感じたことはありませんか?
職場の人間関係が良好で、お互いが信頼しあって気持ちよく、相手の依頼や指示を受け入れられるような環境なら最高ですが、なかなかそうもいきませんよね。
あなたの依頼や指示が実行されないのは、あなたの依頼の優先度が、依頼された人にとって低いからです。どうしてこのようなことが起こるのでしょうか?それは「影響力の法則」を知らないせいかもしれません。
人を動かすギブ&テイク

一般的に、誰かのために何かをした場合、相手はこちらに対して恩を感じると考え、また同等の見返りがあると期待します。これが前提になっているからこそ、会社が機能します。
人を動かす方法はいろいろあります。論理的な説得、感動的なアピール、相談、カリスマ性、給料アップ、圧力等々。これらはまったく違う方法に見えますが、根っこの部分では共通点があります。それは、「価値の交換」が行なわれている点です。
こちらが望むものを手にいれるために、相手にとって価値のある何かを提供する。人を動かすためには、その状況や場によってやり方は異なりますが、「価値の交換」が必要です。そこで人を“動かす”状況で共通する法則、「影響力の法則」を知っておくと役にたちます。
「影響力の法則」とは

では、どんな状況で「影響力の法則」が役にたつのでしょうか。特に有効に機能するのは以下の場合です。
・相手グループのことをよく知らないにも関わらず、その相手側に負担をかけるような依頼をする
・相手側との関係が良好ではない
・機会は2度とないかもしれない
・思いつくすべてを試したが、相手は依頼を拒否している
こういった難しい状況の時には、「影響力の法則」を思い出し、注意深く行動する必要があります。では、その法則をご紹介します。
法則1. 味方になると考える
どんなに非協力的な相手でも、ビジネス上の味方になり得ると考えましょう。あなたの相手と共通する利害を探し、協力関係が築けるか、判断するところからスタートしましょう。相手を敵だと考え、相手の協力の可能性を低く見積もると、相手を正しく理解できなくなります。
法則2.目標を明確にする
誰かを動かすことに意識が向きすぎて、目標が疎かにならないように気をつけてください。自分の最も重要な目標はなにか、次に重要な目標はなにか、それは短期的な目標か、それとも長期的な目標か、譲れないところ、譲歩できるところはなどを明確にしてください。個人的な欲望と仕事上のミッションを混同しないように気をつけましょう。
法則3.相手の世界を理解する
仕事上では、相手の状況がその決定に大きな影響を与えています。その人が何を重要だと考えるかは、その人の性格以上に状況によるところが大きいのです。相手のミッション、要望、懸念事項、ポジション、社内的な環境などを出来る限り把握して、どのように働きかければよいかを検討しましょう。
法則4.カレンシーを見つける
ここでのカレンシー(通貨)とは相手にとって価値あるものを意味します。相手にとって価値のあるカレンシーを探しましょう。例えば、名誉、お金、表彰、人から尊敬される、異性を紹介するなど、カレンシーとして使えるものを幅広く準備しておけば、価値の交換に使える可能性が高いです。
法則5.関係に配慮する
今までその相手と、どんな人間関係を築いてきたかがまず重要になります。次に、相手がこれまでのキャリアを通じて、どのようなワークスタイルを好むのかを探ることです。MTGの前に分析資料を欲しがる人なのか、ブレストが好きな人なのか、時間を取られることを嫌う人なのか、相手が受け入れやすい方法で働きかけましょう。
よく効くカレンシー

相手が関心をもつカレンシーと、自分が提供できるカレンシーが一致して、初めて価値の交換が成立します。
組織の中では主に5つのカレンシーが様々な場面で使われます。
1.気持ちの高揚や意欲を喚起するもの
2.仕事そのものに役立つもの
3.立場に関するもの
4.人間関係に関するもの
5.個人的なもの(その人自身に関すること)
カレンシーの使い方
上記が組織の中でよく使われるカレンシーですが、カレンシーは使い方によって相手への伝わり方が変わります。そして相手がどんなカレンシーを求めるのかは十人十色です。カレンシーの価値とは、相手がそのカレンシーに感じる価値であり、主観的なものです。
自分が使えるカレンシーを把握したら、カレンシーの支払い方と、方法の両方にバリエーションをもちましょう。もっとカレンシーについて詳しく知りたい人は著書『影響力の法則』を読んでみてください。
[文]頼母木俊輔 [編集]サムライト編集部