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伸び代の上限は「人脈」で突破できる
フリーランスとして年間1,200万円を売り上げるライターであり、筆者の師匠でもある人物は、筆者に対して「とにかくいろんな取材や場所に行って、いろいろな人と出会いなさい。それが人間としての成長と、ライターとしての深みにつながるよ」と言います。
取材で話を聞く機会に恵まれた、ある飲食店チェーンの経営者の方は「成長するためには何が必要ですか?」という質問に対して、「自分よりすごい人と会うことやな」と即答していました。
このふたりに限らず、世の中で成功を手にしている人の多くは、人との出会いや人脈こそが自分の伸び代を伸ばすために重要な要素だと指摘します。
ここでは「なぜ人と会うことが成長につながるのか」を考えるとともに、得てしてマイナスのイメージがつきがちな「人脈作り」をポジティブに楽しむための考え方を紹介します。
「常識」「当たり前」は所属するコミュニティで決まる
個人の「常識」「当たり前」は、所属するコミュニティの「常識」「当たり前」の影響をうけがちです。例えば「日本では震災時でも火事場泥棒をしないのが常識だ」「大阪ではエスカレーターの右側に立つものだ」「うちでは晩御飯を家族みんなで食べるのが当たり前だ」といった具合です。
しかしそうしてすでに決まっている「常識」「当たり前」を疑わないまま受け入れていると、それ以上の成長はありません。子どもは「自分の家ではこう、誰々の家ではこう」といろんな「常識」「当たり前」を学んでいくなかで、「じゃあ自分はこうしたい」と自分なりの答えを見つけ、世界を広げていきます。大人もそうしなければ成長できません。
今の会社、今の仕事、今の人間関係で満足していたら、世界は狭いままです。会社や仕事を変えるのは大変ですが、人間関係を広げるのは比較的簡単なはず。だからこそ成長するためには人と会い、人脈を広げ、深めていくことが必要になるのです。
「人脈作り=人を利用すること」ではない

「人脈作り」と聞くと、嫌な顔をする人も少なくありません。人脈という言葉は仕事と結びつきやすく、それゆえ「人間関係をお金儲けに使う」「人を自分のために利用する」というイメージにもつながりやすいからかもしれません。このように考えると、人脈作りに気が進まなくなっても仕方ないでしょう。
しかし本来、人脈作りとはマイナスのイメージで捉えるべきものではありません。確かに人脈とは「自分を助けてくれる人」を指します。しかしそれはビジネスシーンだけでなく、プライベートであってもいいわけで、前述したように自分の世界を広げ、成長のきっかけを与えてくれるという意味で用いてもいいのです。
また人脈とは同時に「自分が助けてあげられる人」でもあります。双方が何かしらを与え合える関係になって初めて、人脈は人脈になるのです。
この前提を崩さなければ、人脈作りを「人間関係をお金儲けに使う」「人を自分のために利用する」といったイメージで見る必要はなくなります。
人脈作りが楽しくなる3つの考え方

とはいえ、これまで人脈作りをマイナスのイメージで見てきた人にとっては、「人脈作りをポジティブに捉えましょう」と言われるだけでは、なかなかそう思えないでしょう。
そこで以下では人脈作りを楽しむための考え方を3つ紹介します。
「好き」「知りたい」を人脈作りの基本に据える
人脈作りが汚らしいものや浅ましいものに思えるのは、それが打算的だからです。しかし「この人を利用してやろう」「この人からビジネスチャンスをもらおう」といった打算的な人脈作りは、すぐにボロが出て、見破られます。
相手が能力の高い人、地位の高い人ならなおさらです。そうなれば助け合う関係にはなれないため、その人脈作りは失敗に終わります。
そのため人脈作りの基本には、その人が好き、その人のことを知りたいという気持ちを据えるべきなのです。人は自分を好きだと言ってくれる人や、関心を持ってくれる人を嫌いになることはなかなかできません。
すると自然と会う回数や話す回数が増え、関係が深まっていきます。そうして築いていった人間関係が、結果的に何かしらのビジネスなどにつながっていく……それが人脈のあるべき姿です。
逆にその人が好き、その人のことを知りたい気持ちがなく、打算的な考えしかないのであれば、早々に人脈作りは諦めた方が賢明です。
「自分ができること」に徹する
人脈の前提は、自分が助けてもらえる人であり、かつ自分が助けてあげられる人です。すなわち自分も相手にとって何かを与える必要があります。
しかし自分を必要以上に大きく見せようとしたり、やたらと自分の別の人脈と引き合わせたりしようとすれば、嘘を見抜かれたり、迷惑がられたりして、やはり失敗に終わります。
したがって人脈作りの際の「与える何か」は、「自分ができること」だけでいいのです。
・相手に何かしてもらったらきちんと感謝の気持ちを伝える。
・「あのときは○○さんに助けてもらって……」とその人のことを自慢する。
・頼まれごとなどにはできる限り力を貸す。 など
相手と自分の能力や地位に差があればあるほど、相手のプラスになる情報や経験、人間関係を提供するのは難しくなります。しかしこうした「自分ができること」をするだけで相手が喜んでくれるのであれば、それは確実に人脈につながっていくのです。
もしそれでもダメなら、その相手との人脈作りは「まだ時期ではない」ということです。自分をさらに磨いてから出直しましょう。
より重要な目的を掲げて自らを動機づける
人脈作りに嫌悪感を覚えてしまう人は、もしかするとそれが「自分のためにやること」と思いすぎているのかもしれません。というのも、トロント大学やハーバード大学のビジネススクールの教授らが著した『人脈づくりが好きになる方法 DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー論文』に、次のような調査結果が紹介されているからです。
我々が調査した法律事務所でわかったのは、他者とつながることの個人的利益(自分のキャリア形成の一助となるなど)よりも集団の利益(所属事務所を支援する、または顧客のためになるなど)を重視する弁護士は、人脈づくりに対して誠実さを感じており、汚らわしいことだとあまり思わないことがわかった。
引用:前掲書(Kindle版)No.122〜127
つまり人脈作りをする際に、「自分のためにやること」だとは考えずに「家族が困ったときに助けてもらえるように」「会社全体の利益のために」「お客様に喜んでもらうために」「社会をより良くするために」という、よりレベルの高い目的を設定するのです。
そうすることで人脈作りへの自分のなかのマイナスイメージを払拭し、積極的になれるというわけです。
人脈作りは楽しんでいい

人脈作りは間違いなく仕事に役立ちます。しかしだからといって、「人脈作り=仕事」と捉える必要はありませんし、ましてや「人を自分のために利用する」といったマイナスのイメージで見る必要もありません。
むしろ「好き」「知りたい」と思う人に会いにいくという、楽しいものとして捉えるべきものなのです。
もしこれまで人脈作りをマイナスのイメージで捉えてきた人は、少し考え方を変えてみて、人脈作りにもっと積極的になってみましょう。
そうすれば自分の中の「常識」や「当たり前」が変わり、見える世界が広がっていくのを感じられるはずです。
