コミュニケーションに生かしたい2つのコーチングスキル

コミュニケーションの質をあげるコーチングスキル

コーチングとは、対話を通して相手の潜在能力を解放させて学習や成長、変化を促し、力を発揮させることを目指す手段です。

目標達成に向けて必要な知識やスキルを一方的に与えるのではなく、自分自身で課題を見つけたり課題解決のための行動を引き出します。

マネージャーなどのリーダー層やチーム育成のためにコーチングを導入する企業も増えていますが、信頼関係を深めるコミュニケーション方法としても有用です。

コーチングを正しく行うには専門的な学びが必要ですが、ここでは意識するだけでコミュニケーションの質があがる「傾聴」と「問い」のスキルについて紹介します。

相手のなかからやる気や目標を導き出すスキル

リーダーの定義もそれぞれあると思いますが、アドバイスすることが大切だと考えている人も多いかもしれません。

上司と部下、リーダーとメンバーの関係において、上位者が一方的に話をしてしまうケースが多くなっていないでしょうか。

いくつもの企業を起こし取締役を務めてきた株式会社CAMPFIRE代表取締役の家入一真さんは、起業家への支援を長年実践されていましたが、ご自身の経験をもとにしたアドバイスしかできないことに不安を感じていたそうです。

そんな時「コーチングはその人自身から生じた思いに対して、どうアクションしていくかを含めて引き出していくスキルである」ことを知り、コーチングスキルの取得を目指したと言います。

相談をされたり、相手の意欲を引き出したいときには、つい、自分の経験をもとにしたアドバイスをしてしまいがちです。

しかし、相手が本当に望んでいることからズレてしまったアドバイスは、やる気を阻害したり、コミュニケーションエラーを起こしてしまうこともあります。

本当に望む結果や達成のためのプロセスは、その人自身が見つけ出すことが重要です。

そのためには「傾聴」や「問い」といったコーチングスキルを、リーダー層が磨くことをおすすめします。

「傾聴」と「問い」を意識したコミュニケーション

コーチングでは、相手の話を徹底的に聞く「傾聴」のスキルが重要です。

相手の話を聴いていたはずが、いつの間にか自分だけが話してしまっていることはありませんか? 

傾聴は、相手が話している途中でアドバイスや意見を挟まず、最後まで相手の話に集中します。

相づちを打ったり、視線を合わせたりしながら「聴いている」こと「話を受けて入る」ことを相手に伝えましょう。

相手の言葉を繰り返す「オウム返し」も効果的です。自分の使った言葉を繰り返されると、受け入れてもらった感覚が生まれます。

それは安心感や信頼へとつながり、対話がより深いものになっていくのです。

相手の話を最後まで聴くこと、途中で意見を言わないことをまずは意識してみましょう。

次に「問い」は、相手に気づきを促し、自身で答えを導くためのサポートをする重要なスキルです。

コーチングにおいての「問い」は、答えに広がりのあるオープン・クエスチョンで相手から答えを引き出します。

「いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どうやって」という5W1Hを意識して相手に問いかけましょう。

一方、「はい」「いいえ」で答えを出せるクローズド・クエスチョンは、相手の意思や事実を確認するときに有用です。

たとえば、「AとBはどちらがより興味がありますか」「AとBはどちらを先に挑戦してみたいですか」というように、選択ができる問いは相手に考え始めるきっかけを与えます。

しかし、クローズド・クエスチョンばかりになると、自分で考えて答えを出す力を引き出すまでには至らないので注意が必要です。

また、「傾聴」を飛ばして話を遮り、「どうして決めたことをやらなかったの?」「いつからやるの?」と矢継ぎ早に問いを投げかけると、相手が「詰問されている」と感じてしまうことがあります。

内容としては適切な「問い」であっても、タイミングを間違えると相手を精神的に追い込んでしまいます。しっかりと「傾聴」し、相手を理解しながら「問い」を渡していくことを心がけてみましょう。

適切な「問い」の立て方については、こちらの書籍もオススメです。

コーチングスキルを体験してみる

コーチングスキルを学べる講座もたくさんありますが、自分自身がコーチングを受講してみて、傾聴されることや適切な問いの効果について体験してみてもよいかもしれません。

コーチングのサービスは多様ですので、適切な研修を受けたコーチを見つけること、コーチとの相性や手法が自分に合っているかを確認することが重要です。

ぜひ、コーチングスキルを生かしたコミュニケーションを実践してみてください。

[文]栗原京子[編集]サムライト編集部