本を読む時間がない人は100年以上残っている良書だけをチェックしよう!

時間がない人ほど「古典」を読もう

「本読む時間なんてない」。とかくビジネスマンはこんな言い訳をしがちです。でもやっぱり本は大事、読んでおかなくてはいけないのはわかっているはず。そこで提案したいのが「古典」です。昨今やたらと書店に溢れるビジネス書や自己啓発本は、たいてい古典の内容を現代風に焼き直したものにすぎません。そしてその焼き直しにも質のばらつきがあります。

そんな「はずれ」を読んでいては貴重な時間をドブに捨てるようなもの。そこでここでは100年以上の歴史の淘汰を生き延びてきた、本当の良書だけを10冊に厳選して紹介します。「戦略」「リーダー論」「人間力アップ」「考えるためのメソッド」「生きるために」の5つのテーマに分けて、2冊ずつ選びました。

<戦略>

『新訂 孫子』岩波文庫

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出典:amazon.co.jp
中国最古の兵書として2000年以上も読み継がれてきた本です。今は岩波文庫で原文、読み下し文、現代語訳の3つが併記されたものが読めます。

「ビジネスは戦争ではない」という人もいますが、「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という言葉は、情報量がものをいう現代のビジネスにも精通する考え方です。あのソフトバンクの孫さんが20代半ばから孫子の兵法をフル活用して戦略を立てているのは有名です。ビジネスのみならず、人生の戦略を練るのにも役立つ良書です。

『ソクラテスの弁明・クリトン』岩波文庫

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紀元前ギリシャの時代に書かれた、弟子プラトンによるソクラテスの最期の生き様を描く対話篇です。哲学というと敬遠しがちですが、この本は対話篇なので非常に読みやすいのが特徴です。

この本で重要なのはここで書かれている内容ではなく、ソクラテスが弁明していく過程にあります。論理の進め方、物事の考え方、それを勉強するための最古にして最高の良書です。

<リーダー論>

『ガリア戦記』岩波文庫

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ローマの英雄カエサルがガリア(今のフランス)へ遠征を行った際の戦闘の記録をまとめた一冊。これもまた2000年の時を経てなお色褪せない不朽の名著です。もちろん「カエサルはすごいなあ」と読んでいても意味がありません。

窮地に追い込まれてもなお冷静さを失わず、何をすべきかを常に把握し続けるカエサルは、まさに「リーダー」の名にふさわしい傑物です。リーダーになるために、リーダーであるために、必読の良書。

『君主論』岩波文庫

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ルネサンス期のイタリアの外交官であり、政治思想家であったマキャベリが500年近く前に書いた古典です。君主はいかに権力の維持と伸長をプロデュースすべきなのかを説いた本で、リーダーシップを学びたい人には必読の一冊です。筆者の人間そのもの、あるいは組織についての洞察力も学べるので一挙両得です。

<人間力アップ>

『貞観政要』 上 新釈漢文大系 (95)

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中国史上最も国内がうまく治められていた貞観(じょうかん)の時代(618年から907年)に行われた政治の本質をまとめた一冊です。古来から中国では「帝王学」の教科書として読まれてきています。よい政治を行うためには政治のトップの善良な資質が必要である、といった内容のもので、「真の人間力とは何か」を考える上で必携の古典となっています。

『宋名臣言行録 (中国の古典)』講談社

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宋名臣言行録は中国史上唯一の「弱兵・経済大国」であった宋王朝の、優秀な臣下の人たちのエピソードを編纂したものです。その完訳がこの講談社から出ている一冊です。

『貞観政要』とともに為政者が読むべき本として読み継がれてきたもので、信念とは・決断とはというビジネスにおいて非常に重要なポイントについて学ぶことができます。経営者や管理者のみならず、人間全般に訴えかける名著です。

<考えるためのメソッド>

『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』岩波文庫

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マックス・ヴェーバーが1904年〜1905年に著した論文をまとめたものです。プロテスタントというキリスト教の論理が、資本主義の論理と一致していたからこそ、オランダやイギリス、そしてアメリカで資本主義が急速に発展したのだという論が展開されています。

現在世界を動かし、日本人のほぼ全員が無関係ではいられない資本主義とは、一体何者なのかを考えるにあたって必読の一冊。

『「いき」の構造 他二篇』岩波文庫

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日本の哲学者九鬼周三が、1930年に著した本です。九鬼は日本における独特の美意識「いき(粋)」とは何かを精緻な論理で考察しました。「美意識を哲学するなんて無理だろ」と思うかもしれません。

しかし九鬼は考えることをやめなかった。言葉で表現し得ないものを、言葉にしようとするその努力は、まさにコミュニケーションの原点です。その方法がこれほど見事に結実している例は稀です。100年には少し足りませんが、重要な日本の古典として紹介しておきます。

<生きるために>

『ブッダのことば―スッタニパータ 』岩波文庫

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スッタニパータはもとは仏教の最初期に編纂された経典集で、岩波文庫版はそれを中村元が翻訳し、他の仏典との関連や比較文化論を展開した名著です。

ややこしい教理はまだこの時期には生まれておらず、ただ純粋に人間として生きる道とは何かを思索するための対話集になっています。「仏教」という枠にこだわらず、手に取るべき一冊。

『幸福論』 アラン 岩波文庫

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原書は1925年に出版されています。幸福だけではなく、人生そのものについて短い断章形式で綴られています。そのため非常に読みやすいのが最大の魅力で、アランが「幸せってこんな感じのものだと思うんだよね」と言っている本、とも言えます。

しかし最も重要なのは、アランの幸福論に納得することではなく、アランと一緒に自分の幸せについて考えることです。

まずは一冊、読み切ることから

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昨今、速読術や多読術が、もてはやされてはいますが、そんな方法でまともに本が読めるのはよっぽどの訓練や読書経験を積んだ人だけです。

古典はくぐり抜けてきた時間の分だけ、読み応えがあって色々な解釈に耐えられる本になっています。じっくり腰を据えて、まずは一冊。そこから始めてみてはいかがでしょうか。

[文・編集] サムライト編集部