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UXの成熟度がサービスの価値を決める
ここ数年、様々な記事やネット媒体で「UX」という言葉がまるで呪文のようによく聞かれます。UX(=ユーザーエクスペリエンス)とは、ユーザーがあるサービスを使ったときに得られる「体験・経験・満足」などを指すIT用語です。
この”ユーザー体験のデザイン”については、DeNA代表取締役の南場智子氏が事業において特に重要視している要素のひとつでもあります。今回はそんなUXについて、具体例をあげながら詳しくご紹介していきます。
『スターバックスコーヒー』に見るUXデザイン

ユーザーにとっての「ザ・サードプレイス(第3の居場所)」をコンセプトとしているスターバックスコーヒー。実際に店内を覗いてみると、パソコンを持ち込んで仕事や打ち合わせをしているビジネスマンや、カフェラテを飲みながらまったりと読書をする方など、様々な用途で人々に利用されているのがわかります。
CEOのハワード・シュルツ氏が「スターバックスはコーヒーを売っているのではなく、体験を売っているのだ。」と語るように、店内はユーザーが普段居るオフィスや家の中では体験できない”ちょっぴりリッチな時間”を過ごせるよう、意図的に設計されているのです。
例えば、仕事をするのに便利なWifi環境やコンセント、長時間座っていても疲れにくい椅子や、高さの丁度良い机なども、ビジネスマンの時間をリッチにするための一種の「UXデザイン」であると言えます。
『Instagram』に見るUXデザイン

次に、この「UXデザイン」を写真共有アプリ「Instagram」を例に解説していきます。
撮影した写真をユーザーの気分や趣向に合わせてフィルターで加工し、その写真を友達と共有することでユーザーは「かわいい写真になってて楽しい!」「この写真をフォロワーのみんなに見せよう!」「いいねがついて嬉しい!」等の感情を体験するようになります。
SNSではTwitterやFacebookにも画像を投稿するサービスがありますが、写真の共有に特化したInstagramはまさに上記のような、共有することの楽しさや嬉しさを「体験」することができる仕組みになっていると言えます。
このように、ユーザーがサービスの目的に共感して、ポジティブな体験や満足感を得られるように行動を予測し、誘導することを「UXデザイン」といいます。
DeNA南場智子氏がUXを重要視する理由
ここまでUXデザインの具体例についてご紹介してきました。ここからは、DeNAの南場智子氏がなぜUXを重要視しているのかを紐解いていきましょう。
DeNAのサービス「Mirrativ(ミラティブ)」の事例
まず、DeNAが展開するコミュニケーション・アプリ「Mirrativ」を事例にして考察していきます。
Mirrativはスマートフォンにインストールされているゲームやチャットアプリなど、その種類を問わずに操作している状況を生放送することができ、別のユーザーが同じアプリで視聴をすることができるというもの。現在は20カ国語に対応しており、1週間で1億インプレッションを叩き出しているのだとか。
南場氏は「UI Crunch Under25」基調講演で、Mirrativの開発について「これまでの開発では戦略が始めにあって、次にUXがありました。しかしMirrativはそうではなく、UXが念頭にあって、その後から戦略を考えていった」と語っています。
ビジネスの成功要因の変化

また、南場氏は同講演で「ビジネスの成功、サービスの成功の9割を占める要因は”ユーザーエクスペリエンス”で、これがすばらしければ、9割は成功が保証される」とも語っています。
裏を返せば、たとえ素晴らしいビジネスモデルを考えられたとしても、もしもそれがユーザー体験にフィットしていなければ、無価値になってしまうという可能性があるということです。
つまり、これからのビジネスやサービスを成功させる条件のひとつとして、まず第一に「驚き・喜び」といったユーザーの感情や体験から定義する必要があるということ。それが決まってようやく、その体験に最適なマーケティングプランなどを立てるフェーズにいけると考えたほうがよいのかもしれません。
