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エンターテインメントがデジタルテクノロジーを牽引
エンターテインメントは、テクノロジーの発展と普及を先導してきました。テクノロジーが受け入れられて、生活を変えるには「楽しそう」「面白そう」「モテそう」「友達に自慢ができる」とユーザーが受け止めてくれることが必要です。衝動が人々を突き動かさなければ、新しいサービスは広まりません。そのため、エンターテインメントがデジタルテクノロジーを牽引するのです。
だからエンターテインメントの最新の動向をチェックしておけば、これからどのようなテクノロジーの使われ方が広がっていくのかを予測することができます。それをチェックするのに最適なイベントが「START ME UP AWARDS 2015」です。“エンターテインメントに特化したグローバルなIT サービス”のコンペティションです。それではそのイベントの模様をチェックしていきましょう。
START ME UP AWARDS 2015とは

“エンターテインメントに特化したグローバルなITサービス”を主体とした事業企画・スタートアップ企業・経営者のためのコンペティションです。資本金5千万円以内、設立2年以内の法人、もしくは、優れた事業アイデアを持つ個人を対象とし、起業家・ベンチャー企業とクリエイターのマッチング創出にも寄与すること、異分野の若い才能と共に新しいサービス、コンテンツを世界へと発信することを目的として運営されています。
8月下旬に書類審査が行なわれ、その後の2次審査を経て、10月25日(日)の最終審査会には9組のファイナリストが登壇しました。1組持ち時間は5分で事業計画のプレゼンが行なわれ、会場は特別審査員が5名、ベンチャーキャピタル14社、スペシャルパートナー企業各社、2次審査にあたったキュレーターなどの関係者、一般観覧者を含む、約250名がプレゼンを見つめており、緊張感ただよう最終審査会となりました。それでは各組の内容を見ていきましょう。実際にプロダクトをつくっているのか、もうサービスを提供しているのか、それとも優れたアイデアがあれば選ばれる可能性があるのか、そのあたりの気になるポイントを見ていきましょう。
最終審査会9組のファイナリスト
1番目は松村幸弥さんのcharity Connect

いつもの日常をチャリティーに繋げるサービス。飲食店での食事を通じて応援するNPOへ寄付する活動ができるWEBサービス。サービスはまだスタートしていませんが、実際に提携できるNPOの候補は20団体近く目処がついており、具体的にサービスがスタートできそうなレベルまで企画が詰まっている印象を受けました。
2番目は原敬之さんの(仮)キャスティング

漫画や小説などのキャスティングを投稿&投票するサイトです。よく2チャンネルやまとめサイトで、このマンガをドラマするならだれがいいかという話題や、実際にドラマ化されたキャスティングにみんなでいろいろと意見を言い合うことがありますが、それに特化した形のWEBサービスの企画案です。
まだアイデアベースで、サイト内で使用する写真などの著作権をどのようにクリアするか等の課題はありますが、実現できれば確実に人気がでそうなサービスだと思います。
3番目はEMCT Creation, Inc 未来のテレビ ViMET(ビメット)
アプリ起動で即再生できる、動画を探さずに好きな動画がみれるアプリです。実際にサービスをスタートしているアプリで、すでに20万以上のダウンロードがある、実績のあるサービスです。うまくいっているので、もうコンペティションに出る必要がないくらい完成されているように感じましたが、さらなる発展をめざして参加されたようです。ブレイクしそうなサービスです。
4番目はProkid(プロキッズ)
子供達がこれからなりたいを楽しく見つけるためのコンテンツ体験型IT体験型サービスです!気軽にプログラミングが学べます。競合が多そうですが、プログラムの内容によっては十分に勝負できそうです。子どもがいたら是非受けさせたいです。
5番目は園田光弘さん Feel Live!

クラブやライブハウスで行きたかったイベントを体感できる最先端のバーチャル体感サービスです。スケールの大きなサービスのため現段階ではデモ映像のみでしたが、体験型のエンターテイメントは非常に可能性のある分野なので、今後が楽しみです。
6番目はサウンドオンライブ株式会社 SOUND ON LIVE
アーティストを支援するための、音楽を気軽に配信できるサービスです。似たようなサービスはすでに存在しますが、シンプルで使いやすいインターフェースや機能は、アーティストから支持を集めそうです。もう実際にサービス提供していて、実力派のミュージシャンなどが利用している実績があります。
7番目は藤永真至さん クラウドスコア
web閲覧型の音のなる楽譜の保管、共有、販売できるサービスです。藤永さんは過去に数百のアプリを企画、開発してきた実績を持つ実力者。そんな藤永さんがずっとあたためていたアイデアがこのクラウドスコアです。楽譜がすべてデジタル化されてIPADなどで使えるようになるとものすごく自由になりますね。すごく儲かるビジネスではないかもしれませんが、実現すれば楽器を演奏する世界中の人がとても便利になる素敵なサービス。
8番目はヒグチマサキさん vacaily
グーグルマップの動画版のようなサービスです。技術的に優れたプログラムを使って動画をスムーズに見せることができるようで、現在渋谷の動画はほとんど撮影済みとのこと。うまく成長すれば今のIT業界に激震が起こるようなポテンシャルを秘めたスケールの大きなサービス。デモ映像を見せてくれましたが、これがWEB上でどれくらいスムーズに動くのかが気になります。将来性がすごくありそうです。
ラスト9番目はAMATELUS Inc,
AMATELUSは3D/VRコンテンツを全てのブラウザに配信するウェブサービス。3Dコンテンツ製作者を100倍に増やすことができるプラットフォームを目指すといいます。3Dコンテンツの制作はまだ値段が高いのですが、HTMLベースで3Dコンテンツが制作できるようになると製作者が増えて、値段が安くなるという状態が実現できるという非常に革新的な内容です。
最終審査会に臨んだファイナリスト9組には1人ずつ、2時審査で審査を担当したキュレーターがついて、プレゼンや企画のブラッシュアップを担当して約1ヶ月やり取りをして、最終審査に臨むという方法がとられました。どのチームも2時審査の時とは見違えるようにプレゼンがよくなっていて、このブラッシュアップの方法は素晴らしいなと思いました。
審査員による各賞の発表

すべての発表が終了して、審査員による各賞の発表が行なわれました。
第一興商による特別賞は、園田光弘氏が提案したプロジェクションマッピングとライブ配信で臨場感あるライブを再現するライブストリーミングサービス「Feel Live!」。
キュレーター賞は原敬之氏による、マンガや小説などの実写化におけるキャスティングを投稿・投票する総合サイト「(仮)キャスティング」。
この日会場に集まった一般観覧者の投票によるエンタメ賞は、藤永真至氏の「クラウドスコア」に贈られました!
審査員の1人であるTwitter Japanの代表 笹本 裕氏は「Twitterの本社の人間と話していると、次のサービスやアプリ開発者は日本にいないのかと、よくプレッシャーをかけられますが、今日プレゼンテーションされた9つの事業は、どれも素晴らしかった」と全体のレベルの高さを評価し、最優秀賞の選考理由については「ビジネスモデルにまだまだ課題があるものの非常に大きなポテンシャルを感じた」と述べました。
最終審査会・表彰式の後にはネットワーキングパーティが催されました!起業家、クリエイター、投資家などがテンション高く交流していました。筆者が実際に見て感じたのは、参加している人たちのレベルの高さです。
決勝に残った人たちのプレゼンテーションはそれぞれ非常に魅力的で、すでにサービスを開始して結果が出している人たちも複数いて、非常にレベルが高いコンペティションだったと思います。エンターテインメントに特化したこういった取り組みは他にないので、非常に貴重な取り組みだと思います。こういった機会が増えていくと日本のエンターテイメントも面白くなると思います。
START ME UP AWARDS 実行委員長山口哲一さんのコメントです。
もちろん来年も継続して行いますが、まずは、今年のファイナリストをしっかり応援していきたいです。関連イベントのミュージシャンズハッカソンでも面白いアイデアが出てきているので、プログラマーと音楽家と起業家が交流していく場を増やしながら、日本のエンタメ全体を活性化していけるように頑張ります。
