300以上のメディアに掲載された「お坊さん便」の反響に得る教訓

お坊さん便

法事・法要の僧侶手配もAmazonで買える時代に

現在国内外のメディアで話題となっている「お坊さん便」。本サービスは法要の際に読経や法話をする僧侶を低価格で手配できるというもので、葬儀関連事業を運営するベンチャー企業「株式会社みんれび」が2013年から提供しています。

昨年12月にAmazon上での注文の受付開始を発表して以来、メディアから取材が殺到し、わずか1カ月の間に300以上のメディア掲載を達成しました。

今回は、そんないま話題の「お坊さん便」のヒットの秘密について詳しくお届けしていきます。

お坊さん便のビジネスモデル

お坊さん便
出典:http://obousan.minrevi.jp/

お坊さん便のサービスの魅力は、その価格の明瞭さにあります。法事・法要への手配は一律3万5千円、お葬式への手配は5万5千円〜、戒名の授与は2万円〜依頼することができます。

一般的にはお布施の他に、お車代・お膳料・心づけなどが必要になり、合計50万円程度が相場です。それも、お寺によって相場が異なるため、トラブルになることもしばしば。「お坊さん便」なら総額費用の中に全てが含まれているので、安心です。追加で費用を払う必要はありません。

お坊さん、僧侶さんとは、ご依頼いただいた葬儀や法要のみのお付き合いです。従来の檀家制度のご不便な点、ご不安な点を解消する新しいスタイルの葬儀・法要をご提案しております。寺院さま、僧侶さまとは、ご依頼いただいた葬儀や法要のみのお付き合いとなり、檀家になるよう勧められることはございません。菩提寺があっても遠方で供養をお願いできないという方にもご利用いただいております。

お坊さん・僧侶さんの紹介・手配手数料は無料です。お布施金額の中には、読経料・僧侶の交通費・御膳料なども全て含まれており、葬儀後にお布施金額以上の金額をお支払いする必要は一切ありませんのでご安心ください。お付き合いのある寺院がなく、初めてでどうすればいいか分からない、またお布施の費用を高額で請求されれそうで心配、という方には安心してご利用いただけます。

出典:http://obousan.minrevi.jp/

登録している僧侶のかたには、Amazonやみんれび社の手数料を除いた金額がお布施として支払われる仕組みとなっており、現在は7宗派、約400人の僧侶と提携しているそうです。

お坊さん便が生まれた背景

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みんれび社では葬儀サービスを以前から行っていましたが、ユーザーから僧侶の手配を頼まれることが多く、さらに僧侶側の寺院維持費をどうにか賄いたいという悩みに応えて「お坊さん便」を発足させたといいます。

お寺や僧侶との関わりが少なくなったと言われる現代ですが、近年では首都圏を中心に「坊主バー」や「尼僧バー」といったお坊さんとの新しい形での接点を生み出す場所も増えてきています。

また昨年12月に葬祭業者約200社が参加し開催された「エンディング産業展」では、映画『おくりびと』で有名になった納棺師のコンテストが開かれ、英国BBCも取材に訪れるなど海外からも注目が寄せられているようです。

こうした日本の僧侶文化に対する認識の変化を背景に、さまざまなライフスタイルを持つ人や、寺院との関係性が希薄な人のニーズに応えるのが「お坊さん便」サービスの狙いだと言われています。

便利なサービス、一方で世間の反応は…?

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メディアへの露出後、世間からの反響も大きく、みんれび社のサイトへのアクセス数は通常の5倍ほどに伸びたといいます。

その一方で、葬儀業界でこれまでに前例のなかったサービスだっただけに、宗教界からの「宗教行為をサービスとして商品にしている」といった反発や、一般ユーザーから「お坊さんは商品なのか?」という疑問の声もあったそうです。

また、サービスの特徴でもあるお布施の金額の明瞭さも、「依頼者が満足した分を僧侶に渡す」という明確な金額を定めない「喜捨」という仏教の宗教観と乖離しているものでした。

こういった宗教界やユーザーからの意見は全国紙にも取り上げられ、「お坊さん便」が従来の仏教と比較されるようなケースが度々発生するようになったといいます。

新たな市場を開拓する事業に学ぶべき教訓

Sunset in mountains

「お坊さん便」のマーケティング・広報担当の正野隼平氏によると、「現在提携している僧侶の方からは檀家離れによって生活者とのつながりが薄れていく中、本サービスを通じてつながりを再構築できるというポジティブな意見をもらい、100人以上の僧侶の方から提携の申し入れもある。メディアからの問い合わせが増えたことは収穫と捉え、社会問題とも絡めて発信して葬儀関連の話題で必ず声をかけてもらえる存在になれれば」と言います。

新たな市場開拓を狙うベンチャー企業にとって、サービスに対する認識の違いというのは一種の”アンチ”を作り出す要因となりかねません。今回の「お坊さん便」のケースは、企業側のPR戦略の思惑から外れたものだったのかもしれませんが、それすらもチャンスと捉える感覚というのも、サービスを育てるために必要な要素なのかもしれません。

Career Supli
今回は、300以上のメディアに報じられ話題となった「お坊さん便」について詳しくお届けしました。サービスを世に届けるためにはPR戦略は欠かせないものです。もしあなたがPR戦略を考える際には、周囲との認識にズレが生じないように上手く情報をコントロールできるようにしておきましょう。
[文・編集] サムライト編集部

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