「スーツの男」がモテない時代はすぐそこ!次世代の成功者「ニューエリート」とは?

「スーツを着たエリート」はもう時代遅れ

フェイスブックやグーグルなど、今伸びているシリコンバレーの企業では、スーツを着ている人たちがモテなくなっている。そう明言するのはピョートル・フェリクス・グジバチさん。彼はモルガン・スタンレーやグーグルなどで活躍し、現在は独立して2つの企業の代表を務める人物です。

ピョートルさんいわく、現代の成功者は着る服などにはかまわず、結果だけにフォーカスします。つまりスーツを着ることに優越感を感じているような人は、現代の成功者ではないからモテないというわけです。

グーグルではスーツよりもTシャツがカッコいいという文化が根付いているのだとか。いわゆる「エリート」といえば、いい大学を出て、大企業に入って、高価なスーツを着て……というイメージです。

しかしこのようなエリート像は、すでに時代遅れになりつつあります。実際日本でも大企業が倒産したり買収されたりしていますし、エリートの必須スキルとも言える外国語能力も、今後自動翻訳によって価値が下がっていくでしょう。

人工知能が発達すれば弁護士や医者といった、エリートの代名詞的職業に就いている人でもふるいがかかるはずです。時代の潮目はとっくに変わり始めているのです。

この「オールドエリート」の代わりに台頭し始めているのが、ピョートルさんが「ニューエリート」と呼ぶ人たちです。

ここではピョートルさんの本『ニューエリート グーグル流・新しい価値を生み出し世界を変える人たち』をもとに、今後新しいエリートの基準になるであろう「ニューエリート」という成功モデルの生き方・働き方を紹介します。

ニューエリートは「自分が見たい世界」のために働く

一定期間で区切った成長度合いで比較すれば、特に成功者とみなされていない人の中にも、実は成功者が存在します。むしろ、彼らが成功者とみなされる時代が遠からずやってくるはずです。
引用:前掲書p4

ピョートルさんはこうした「一定期間での成長度合いが大きい人」をニューエリートと定義づけています。彼らは苦虫を噛み潰したような顔で仕事をするオールドエリートに対し、仕事も含めた毎日を全力で楽しんで過ごしています。

それは彼らが仕事の中で大なり小なりの「世界を変える」という大義名分と、「楽しいからやってるんだ」という単純なモチベーションを両立させているからです。ピョートルさんは両者の違いを以下の表にまとめています。

概ね保守的で変化を好まないオールドエリートに対し、ニューエリートは革新的で変化を積極的に受け入れる傾向があります。彼らニューエリートの価値観は、主に以下の3点で構成されています。

1.既存の考え方に縛られない

例えば本業以外の分野で自分のやりたいことを見出し、副業としてビジネス化している人や、初心者であることを武器にして全く未経験の業界の常識を壊し、成功を収める人もいます。ニューエリートは「常識」や「体裁」といった価値観に引っ張られて足を止めることはありません。

2.受け取る価値より与える価値を大きくする

大半の人たちは「より少なく働いて、より多くの給料を得る」といった、与える価値より受け取る価値を大きくする方に夢中です。しかしニューエリートは、逆に受け取る価値より与える価値を大きくすることに夢中になります。

3.自分が見たい世界を作る

ニューエリートは自分が見たい世界を作る、つまり自己実現を達成するために仕事をします。そのために彼らは仕事で自分が出しているアウトプットにプライドを持ち、そしてアウトプットを出すまでのプロセスを楽しんでこなします。

ここでいう「仕事」とはビジネスだけにとどまらず、趣味やボランティア、家事などあらゆる「世界に価値を提供していく行為」を指します。すなわちニューエリートの概念では、かつては初めからエリートの圏外だった専業主婦のような人でも、エリートになりうるということです。

こうした価値観を持つためには、常に変わり続ける必要があります。なぜなら現状に満足しているだけでは既存の考え方に囚われてしまいますし、自分が世界に対して与えられる価値も陳腐化してしまいます。

そもそも目の前の世界を「自分が見たい世界」にするには、現状を変えなければ始まりません。だから変わり続けなければならないのです。

ピョートルさんは著書の中で様々な方法を提示していますが、そのうち最も本質的な方法は「学び続けること」「決断し続けること」の2つです。以下ではこの2つを実践するための具体的な方法を紹介します。

学び続けるための4つの方法

仕事に関する専門知識にしろ、趣味にしろ、ボランティアにしろ、学び続けることは難しいものです。「今で精一杯だ」という人も多いでしょう。しかしピョートルさんは「学び続ける人しかチャンスを掴めない」とはっきり言います。

ニューエリートとして成功を掴むには、学び続けるしかないのです。とはいえ闇雲に何かを学ぼうとしても時間やお金に限界があります。そこでまずは以下の3つを実践するところから始めて見ましょう。

1.「インパクト」と「学び」で仕事を選ぶ

ここでいうインパクトとは、同じ時間で生み出す価値を指します。抱えている仕事をこのインパクトの大小と学びの大小で、「インパクト大・学び大」「インパクト大・学び小」「インパクト小・学び大」「インパクト小・学び小」の4つに分類します。

そしてそれぞれに以下のように対応していきます。

「インパクト大・学び大」…優先的に力を注ぐ。
「インパクト大・学び小」…極力人の力を借りて行う。
「インパクト小・学び大」…自分への投資だと考えて、一定の割合で行う。
「インパクト小・学び小」…アウトソーシング、自動化する。

こうして良い意味での仕事の選り好みをすれば、自然と仕事の中で学び続けられるようになります。

2.「その道のプロ」に会うためにお金を使う

どんな人と接するかは、自分がどんな人間になるかに直結します。そのため自分がプロになりたいと思っている分野のプロとどれだけ多く会って話しているかは、ニューエリートになるための大きなポイントになります。

だからもし「その道のプロ」に会うチャンスがあったなら、交通費や飲食費などは厭わず、是が非にでも会いにいくべきです。

また会ってからも物怖じせず、その人の価値観や成功の要因、失敗経験やその際に学んだことなどを徹底的に質問すること。それが確実に自分の学びになっていきます。

3.「グーグルアラート」と「グーグルトレンド」で情報収集する

ピョートルさんは「イノベーション」「エアビーアンドビー」「テスラ」といったキーワードをグーグルアラートに設定して、関連する最新情報についての通知が毎朝メールで届くように設定している他、グーグルトレンドで多くの人が関心を寄せているトピックが何かをチェックしているそうです。

続いてピョートルさんは、得た情報をもとに詳しそうな人を見つけて「これってどう思います?」「詳しく教えてください」と質問していくそうです。

これにより自分で集めた情報が立体的になり、+αの学びを得ることができます。その+αをもとにさらに詳しい人に話を聞くことができれば、学びの速度は一気に加速します。

こうして手に入れた情報をメモアプリなどを使ってストックし、「自分はなぜこの情報が気になったのか」「自分の価値観や理論にどんな関係があるか」と自問自答しておくと、学んだ内容が自分ごとになり、定着しやすくなります。

ここまでの一連の情報収集を習慣化すれば、自ずと学び続けるのが当たり前になっていくでしょう。

決断し続けるためにやるべき3つのこと


決断しなければ行動につながりません。行動につながらなければ変化はもたらされません。だからこそ変化し続けるニューエリートには、決断し続けることが必要なのです。

しかも単に決断をするだけでは不十分で、できるだけ素早く決断を下す必要があります。なぜなら大きな変化のきっかけはいつも偶然にやってくるからです。そのためきっかけをつかむには決断の速度が求められるのです。

決断の速度をあげるには論理ではなく、直感を使います。そうすれば素早く行動につなげられるほか、自分の価値観に近い判断を下すことが可能です。

ただしやみくもに直感で判断していては、いつまでたっても「一か八か」の域を出ません。直感的な判断をする場合には、以下の3つのことを実践しましょう。

1.自分の決断の間違いを裏付けるエビデンスを探す

人間は決断を下した瞬間から、その決断を正当化しようとして自分に都合のいい事実だけを見るようになります。このバイアスによる致命的な決断ミスを防ぐためには、自分の決断の間違いを裏付けるエビデンスを探すのが一番です。もし間違っていたら、すぐに戻って修正すればいいだけです。

2.小さな失敗・環境変化で直感を磨く

小さな失敗を繰り返して、その都度学びを得ていれば次第に直感が磨かれていきます。また仕事の環境を変えるなどして脳に刺激を与えてやると、これもまた直感を磨いてくれます。

3.ポジティブなフィードバックで失敗を修正する

直感で決断を下した結果、失敗をしたとします。その際は「何がダメだったんでしょうか」などとネガティブなフィードバックを求めるのではなく、「どうすればもっとわかりやすく話せたんでしょうか」「次のためにできることを教えてください」といったポジティブなフィードバックを求めるようにしましょう。

ポジティブな方が自分もフィードバックを求めやすくなりますし、相手も悪いところを指摘するより気分良くフィードバックができるからです。

ニューエリートにスタートラインは関係ない

ピョートルさんの「ニューエリート」という概念が面白いのは、その人の価値を現在のスタートラインとは無関係に「一定期間での成長度合い」で考えるところです。

そのため中学生でも、主婦でも、平社員でも、あるいは定年退職を迎えた人でも、みんながニューエリートになれる可能性を秘めているということになります。問題は「これまで」ではなく「これから」なのです。

まずは行動しましょう。ここで紹介した「学び続けること」「決断し続けること」を実践してもいいでしょうし、ピョートルさんの本を買って読んでもいいでしょう。とにもかくにも、まず行動することが肝心です。

参考文献『ニューエリート グーグル流・新しい価値を生み出し世界を変える人たち』
Career Supli
ニューエリートの概念は日本でも広がっていくと思います。このタイミングで一読しておくべき著書だと思います。
[文]鈴木 直人 [編集]サムライト編集部