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知らないと生き残れない「これからのビジネスモデル」
タケコプターのようにドローンで移動できるのは何年後ぐらいになるのでしょうか。技術的には10年あればクリアできそうな気がします。インターネットの急速な発達、ロボット技術やクラウドコンピューティングなどの技術面での大幅な確信、スマートフォンを始めとする情報端末の普及……私たちは今「次の時代」への入り口に立たされています。
オックスフォード大の研究者が発表した『雇用の未来—コンピューター化によって仕事は失われるのか』に掲載されたコンピューターに取って代わられる職業などからもわかるように、既存のビジネスモデルはまもなく音を立てて崩れていきます。
ここではそんな現代を生き抜くために知っておくべき4つの「これからのビジネスモデル」を紹介。生き残りたい人は、必読です。
言わずもがなのロボットビジネス

画像出典:photo蔵
●続々と姿を表す各社ロボット製品
ソフトバンクが発表した家庭用ロボット「pepper」は、人の表情や声色などから対象の感情を察知する「感情認識機能」が備わっているほか、自身の「感情」に基づいて行動を起こします。アプリケーションをダウンロードすればできることも拡張できる仕組みになっています。
シリコンバレーのスタートアップ「Knightscope」が開発した自立走行型警備ロボット「K5」は周囲の人間の挙動をリアルタイムに監視し、攻撃的なしぐさや怪しい動きを察知すると使用者に対し通報する機能を備えています。オフィスや商業施設の清掃ロボットの開発も進めているのは、「ARS-2」などを開発するカナダの企業「Avidbots」。掃き掃除をするだけのロボット、床磨きまでしっかりするロボットなど、顧客の要望に応じて提供出来るラインナップを揃えています。
●これからのロボットは課金だ!
少し前の時代なら「ロボット=高額」というイメージが付きまとい、現実的なビジネスにはつながってきませんでした。しかしこの問題は「課金モデル」が解決してくれます。
Avidbotsが提供する清掃ロボットは購入しても7,500ドルや13,500ドルとお手頃ですが、時給制サービスを利用すれば時給4ドルから6ドルと、人間の清掃員よりも圧倒的に安く雇用できるのです。Knightscopeは月額4,500ドル(24時間体制で時給6.25ドル)で利用できますし、ソフトバンクのpepperは月額25,000円の料金システムを採用しています。これならば十分導入可能です。
AI技術をはじめ、ロボット技術の発展は今後とどまることはないでしょう。自分達が日頃行っている業務をロボット化すれば大幅な人件費の削減も可能です。ロボット化可能でまだその分野のロボットが開発されていないのであれば、新たなビジネスチャンスにもなり得ます。ロボットを活用したビジネスモデルは決して見逃してはいけない分野なのです。
物流ビジネスの概念が変わる

●規制がカギになるドローンビジネス
モノを扱う限り、ビジネスは常に「物流コスト」との戦いを強いられます。しかしこれも技術革新とネットワーク化によって大きな転換点を迎えているのです。
例えばドローンの登場。日本ではすでに規制問題が持ち上がっていますが、世界ではあっという間に物流システムにドローンを組み込もうというビジネスが企てられています。サンフランシスコで展開が予定されているのが、ドローンによる薬の配達を24時間15分以内(サンフランシスコ内)に行うサービス「QuiQui」です。高齢化が進む日本でも、こういったサービスは、規制をなくしてでも実現される必要があるでしょう。
●「物流コストゼロ」社会へ
「Knyttan」の「UNMADE」はすでにイギリスで展開されているサービスです。顧客自らサイト上でデザインした洋服を、高性能編み機で出力する「オンデマンドアパレル」を実現しています。現在開発中の「Electroloom」の「the 3D Fabric Printer」はその名の通り、服の3Dプリンター。データから服を作り出すため、そこには「裁断」も「縫製」も不要です。
これらはオンデマンドなので必要以上の物流コストはかかりません。もちろん全ての事業の物流コストを、こういった形でまかなうのは難しいでしょう。しかし事業の一部に取り入れることができれば、大幅な物流コストのカットにつながるはずです。
シェアリングエコノミーの台頭

●「ご近所付き合い」をビジネスにする
オランダのアムステルダムに拠点を置くスタートアップが開発したiPhoneアプリ「Peerby」は、いわば「ご近所付き合い」をビジネス化したもの。ペンチやドライバー、アウトドアグッズにスポーツ用品などにおいて、「貸手」「借り手」をご近所同士でマッチングさせるサービスなのです。近年台頭してきている「シェアリングエコノミー(共有経済)」を象徴するビジネスモデルと言えるでしょう。
Peerbyは生活用品全般の共同消費を促進するサービスでしたが、「Pley」のようにおもちゃのレゴに特化したレンタルサービスも展開されています。これも登録者全体でレゴを共有するシェアリングエコノミーのカタチです。
●BtoB共有ビジネスに眠るチャンス
「BtoB共有ビジネス」に着目すれば、新規事業や企業のチャンスも見えてきます。2012年にオランダでスタートした「Floow2」は、BtoBに特化した資産共有プラットフォームです。取引資産はオフィススペースや会議室にはじまり、重機や農機などにも及びます。設備投資のコストをできるだけカットしたい企業や、逆に余分に設備投資しすぎた企業をマッチングすることで、資産の有効活用が可能です。
アメリカはニューヨークに本拠地を置く「cohero」は医療機器の共有・配送サービスを展開している企業。広がるネットワークの網は病院経営の低コスト化とともに、社会全体の医療機会増大にも一役買っているというわけです。
これらのサービスに共通するポイントは「ローカルマーケットの発掘」。ペンチを共有するにしろ、重機や医療機器を共有するにしろ、それをするために輸送コストがかかりすぎたり、顧客同士が物理的に離れすぎていればビジネスは成立しません。「シェアリングエコノミー」が成立する経済圏を見極めることが重要なのです。
従来ビジネスモデルでは新規事業の立ち上げや企業が難しくても、シェアリングエコノミーに着目すれば、ビジネスチャンスがあちこちに見つかるかもしれません。
クラウドソーシングで「スキル」をネット化する
●クラウドソーシングが生み出すビジネス
日本では「ランサーズ」や「クラウドワークス」などのサービスで有名なクラウドソーシングの分野。しかし他にも様々な形でこのビジネスモデルは台頭し始めています。
遺伝子検査に基づいたダイエット指導を行う「FiNC」はクラウドワーカーの栄養士やトレーナーを活用して、顧客に応じたパーソナルトレーニングをネット経由で提供するサービス。2ヶ月で29万8,000円とかなり高額ではあるものの、確実な実績で人気を博しています。
顧客が撮影した動画を一律40ドルで2分から3分のハイセンスな動画に編集してくれるのは、「Riffreel」というクラウドソーシングプラットフォームです。動画編集者が多数登録しているため、スピーディかつリーズナブルな価格でサービスの提供が可能となっています。
他にもデザイン特化型のクラウドソーシングサービス「Undulify」など、インターネットのプラットフォームを利用して「スキル」をネット化することでビジネスを展開する例は数多く存在します。
●「ディレクション」がキーワード
クラウドソーシングというビジネスモデルを活用するためのキーワードとなるのが「ディレクション」です。
1つの企業の中でプロジェクトを進行させていると、チームの方向性をすり合わせるのはさして難しいことではありません。会議の場を設ければよく、必要であれば飲みに行くこともできるからです。しかしネットワーク上で仕事をしている場合はそうはいきません。いかに方向性を示し、それをチームに伝達していくかが重要になるのです。
これはランサーズが2014年に発表した「ランサーズ オープン プラットフォーム」に表れています。同社はランサーズの保有する会員データベースを外部パートナーに対し公開することで、パートナー企業によるディレクションを可能にしたものです。これによりランサーズ自身は「プラットフォーム」としての性質を強め、そこで多様かつ高品質なディレクションをパートナー企業が行っていくという形へのシフトが起きています。
「変革しろ、さもなくば、死だ」
この言葉はファーストリテイリング社の柳井正氏の言葉です。この言葉がまさに今、続々と立ち上がる新しいビジネスモデルを見ていると思い出されます。
これらのビジネスモデルが経済を席巻していく中で、これまで通りのやり方で生き残れるのは本当の大手だけでしょう。それ以外の企業やビジネスパーソンは、しっかりと時勢を見定め、次の一手を打たなければ生き残ることはできません。まずはここで挙げたようなビジネスモデルに、参画できるかどうか。それを検討することから始めてみましょう。
参考一覧
『Business Model 2025』
