「黒は無難な色」は間違い?正しい冬のビジネスファッションをスタイリストに教わってきた

真っ黒はもう卒業!ビジネスファッションのコツを、プロスタイリスト大山旬さんが解説

寒さがいよいよ本格的になり、コートやマフラーが欠かせない季節になりました。しかし、電車やオフィスを見渡すと、黒、黒、黒!!どれもみんな同じような黒いコートを着たビジネスマンばかりです。

そこで今回は、プロスタイリストの大山旬さんに、黒以外の冬ファッションを解説していただきました。脱・没個性して仕事を円滑に進めるためには、どうしたらいいのでしょうか?

【プロフィール】
大山 旬
ファッションスタイリスト / SO styling代表アパレル販売職、転職アドバイザーを経て2009年に独立。これまで著名人を含む3,000名以上のスタイリングを担当。近年は経営者・専門家に向けたスタイリングアドバイス、およびブランディングを目的としたスタイリングを提供している。自信を高めるためのファッションをモットーにファッションの悩みの解決に取り組んでいる。

著書に「おしゃれが苦手でもセンスよく見せる 最強の「服選び」」(大和書房)他3冊がある。「めざましテレビ」(フジテレビ)、「おはよう日本」(NHK)、「読売新聞」、「AERA」(朝日新聞社)など、メディアへの出演も多数。

「黒=無難」は間違い?意外と知らないファッションの常識

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―もう寒くてコートが欠かせない季節ですが、電車を見渡すと黒いコートを着たビジネスマンばかりですよね。そもそもなぜ、冬になるとこんなに黒い格好をした人が多くなるのでしょうか?

大山旬さん(以下、大山):それは「黒=ベーシック」という考え方が根強く残っているからだと思われます。

―ということは、黒はベーシックな色ではない、と…?

大山:はい。本来、黒はそこまでベーシックな色合いではありません。海外へ行くとわかりやすいのですが、元々黒はとてもドレッシーな色なんです。いわば冠婚葬祭などで着るような、極めてフォーマルな場面で使用するような色なんです。

―いきなり驚きました。ベーシックでないということは、あまり日常的に黒を多用するのは避けた方がいいのでしょうか?

大山:そうですね。普段から黒を使い続けるのは、そうした意味合いからも正直あまりおすすめできません。

日本では新卒採用のときに黒いリクルートスーツを着る習慣があるほど、黒いスーツを着ることが当たり前になっています。そのあたりから”黒はベーシック、無難、安牌”という認識が広く知られているように感じます。

そしてスーツにせよコートにせよ、真っ黒だと暗くなりすぎて、全体的に重苦しい雰囲気になってしまうので、ファッション的な観点からもあまりおすすめできません。

―なぜ黒を多用して、同じようなスーツやコートばかり着てしまうのでしょうか?

大山:世の中の人の多くは、ビジネスにおけるスーツウェアを”ユニフォーム”として考えているからだと思います。

つまり、仕事をする上で「着なければならないからスーツを着ている」という人が大半なんです。すると当然、”ユニフォーム“であるスーツにわざわざお金も時間もかけたくない、という考え方を持つ人が多くなってしまうのです。

でもそれって、とてももったいないことなんですよね。

今、仕事ができる経営者たちがこぞってスタイリストをつけているワケ

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―つまり、仕事着であるスーツやコートにもファッション性が必要であると?

大山:はい。私はビジネスでもファッションを意識するべきだと思います。

そもそもファッションというと、趣味としての側面が大きいと思います。そして趣味としてのファッションなら、何を着ても個人の自由なので、どんな格好をしていても問題はありません。

つまりどんなにおしゃれでも、逆にファッションにどんなに無頓着で構わないということです。

しかしこれがビジネスのシーンで何を着るのか、という話になると話は全く異なってきます。ビジネスにおけるファッションというのは、仕事を円滑に進めていく上でとても重要なひとつのツールとして考えるべきであると、私は考えます。

―仕事を円滑に進める上で、ファッションが重要なツールであるとお考えになるのはなぜでしょうか?

大山:それはファッションが自分の印象を決める際にとても重要だからです。仕事をする上では社内でも社外でも様々な人と接します。その時の自分の印象をある程度整えておいた方が、ビジネスが円滑に進むことがあります。

例えば営業の方であれば、その方が信頼に足る人物なのかどうか、初対面のパット見の見た目で判断されてしまうわけです。

その時に、何か不潔そうだったり、仕事ができなそうだったりすると、それだけで「この人にお願いして大丈夫かな?」と、人を不安にさせてしまうことがあります。

そういう側面がある以上、ファッションというものを上手く取り入れていった方がいいと思っています。

―大山さんはプロのスタイリストとしてご活躍されていますが、実際にそうしたビジネスマンの方のスタイリングも担当されたりするのですか?

大山:そうですね。私のお客さまの中には、誰もが知っている企業の社長を務めている方もいらっしゃいます。その他にも普通のビジネスマンの方から弁護士、医者、政治家、教師など様々なご職業の方のスタイリングを担当しています。

―一見、ファッションと関係のない業界の方が並んでいますね。

大山:たしかにファッションとあまり関係のなさそうな方たちですが、共通しているのは、みなさん何かしら人前に出たり人と接する仕事をされています。

最近では、経営者の方が専属のスタイリストをつけて、仕事のシーンに応じてスタイリストと相談する、という場面が増えてきました。

ファッションを使って、自己のブランディングを強化していく。こうした流れからも、これからはファッションにより一層気を使っていくべき時代になっているんだなと、ひしひしと感じます。

黒がダメなら何色を着ればいいの?大山さんおすすめのセレクトショップについて行ってみた

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ここからは、大山さんが実際にスタイリングのお仕事で使われているお店に足を運んで、冬のビジネスファッションのおすすめを聞いていきます。今回は、六本木にある大人の男性向けセレクトショップ「ring」(http://www.ring-store.jp/)さんにお邪魔してきました。

―ここからは、こちらのお店にあるものの中から、大山さんおすすめの冬のビジネスファッションについて聞いていこうと思います。まずはコートからお聞きしたいのですが、黒以外だと何色を選べば良いのでしょうか?

大山:働いている業界や職種にもよりますが、色合いで言えば、とりあえずグレーやネイビーを選んでみると良いでしょう。黒と比べればそれだけでも十分、暗さは緩和できます。

あちらにあるグレーのコートなんかはおしゃれですよね。

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―たしかにかっこいいです!あの、私はキャメルのコートが好きでよく着ているのですが、キャメルだと派手すぎてしまうのでしょうか?

大山:そうですね…。ものによっても違うと思いますが、やはりキャメルだと目立ってしまうので職種を選んでしまうかもしれませんね。

なのでコートの選び方は、周りと「少しだけ」違うというところがポイントです。やはり黒いコートの人が多いので、その中でグレーや紺を選んで、その中で形が自分に合うものを選んでいくといいでしょう。

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ブランド:DREW&CO.(ドリューアンドコー)
商品名:ウール ナイロン ジャガード シングル ニットコート
価格(税抜き):89000円
URL:http://www.ring-store.jp/fs/ringstore/DREWandCO/34162003054
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ブランド:RING JACKET(リングヂャケット)
商品名:ウール シルク ナイロン メランジ ヘリンボーン バルカラーコート
価格(税抜き):120,000円
商品URL:http://www.ring-store.jp/fs/ringstore/RING_JACKET/34162001028

色はあまり派手すぎてしまうのもよくなかったりするので、色というよりは形や材質の違いから自分の好きなものを選んでみてもいいでしょう。

また冬なら小物で個性を出す、というのもありだと思います。全体が抑えめな分、小物で色であったり柄ものであっても問題はないと思います。

ただし、赤やオレンジなどあまりに派手すぎると浮いてしまうので、アウターよりワントーン色が明るいくらいがちょうどいいかもしれません。

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ブランド:Johnstons(ジョンストンズ)
商品名:カシミア グレンチェック 大判 ストール
価格(税抜き):62,000円
URL:http://www.ring-store.jp/fs/ringstore/Johnstons/38362005030
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ブランド:Johnstons(ジョンストンズ)
商品名:カシミア タータンチェック 大判 ストール
価格(税抜き):62,000円
URL:http://www.ring-store.jp/fs/ringstore/Johnstons/38362003030

例えばこちらの2点のマフラーはグレーと紺ですが、それぞれ模様が入っていますよね。先程のグレーのコートと合わせても、上品で締りのあるスタイルになると思いますよ。

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ブランド:DREW&CO.(ドリューアンドコー)
商品名:ウール ナイロン ジャガード シングル ニットコート
価格(税抜き):89,000円
URL:http://www.ring-store.jp/fs/ringstore/DREWandCO/34162003054

―マフラーがほどよくアクセントになっていますね!他の小物はどうでしょうか?

大山:あとは手袋とかですね。こちらも黒ではなく、やはりダークブラウンなどでまとめるといいでしょう。

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ブランド:DENTS(デンツ)
商品名:ラビットファーライニング ディアスキン グローブ
価格(税抜き):29,000円
URL:http://www.ring-store.jp/fs/ringstore/DENTS/38762001030

―ありがとうございます!こうした色合いから始めてみて、徐々に自分なりのビジネスファッションのスタイルを確立していけばいいのでしょうか?

大山:そうですね。まずはこうした使い勝手のよいものから購入していくと、ファッション初心者の方も入りやすいのではないかと思います。

また、今回は私がよく仕事で使うお店ということで、比較的価格の高いものをセレクトしましたが、スーツカンパニーやスーツセレクトなど安心できる価格帯でビジネスウェアを提供しているブランドでも十分おしゃれなものが手に入りますので、ぜひ探してみてください。

―最後に、ビジネスファッション初心者やファッションが苦手という方に対してアドバイスをいただけたらと思います。

大山:ファッションが得意な人と苦手な人の差は、知識の差に比例します。

例えばいつもユニクロやGU、洋服の青山などでしか買わない人と、そうしたお店はもちろん様々なセレクトショップで服を買っている人とでは、商品の良し悪しから、ブランド、ショップの知識量が全然違いますし、当然選択肢も違います。

まずは買わなくてもいいので、普段行かないお店に足を運んでみて、ファッションを知ることから始めてみてください。

Point!冬のビジネスファッションを選ぶときの3つのコツ

①周りと「少しだけ違う」を意識せよ!
②コートはグレーか紺がベタ、自分の好みや雰囲気に合わせて形や材質で違いを見せよ!
③小物は個性を出しやすい!アウターになじませすぎず、色や柄で冒険するのもよし!
Career Supli
着ている服や身につけている小物から、人の印象は決まってしまうんですね。ビジネスシーンでも、ファッションを上手に取り入れてみたいと思います。大山さん、ありがとうございました!
[インタビュー・文] 内藤 祐介 [編集] サムライト編集部