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「テレビがつまらなくなったのは本当か!?」
ここ数年、テレビがつまらなくなったという言葉をよく耳にします。「規制が厳しくなり、昔のようなハチャメチャな企画はできなくなった」とか「予算削減で、スタッフもタレントの数も削減しなければいけなくなった」など、様々な理由が言われています。
確かに、「お笑いウルトラクイズ」や「8時だヨ!全員集合」のような莫大な予算がかかったり、時間のかかる番組は減っているかもしれません。
でも、予算や時間をかける=おもしろいというわけではありません。かつてのテレビ番組を、手間暇かけて作られた一流シェフの料理と考えるならば、現在のテレビ番組は、冷蔵庫の残り物で、ササッと作ったおふくろの味。
ただし、おふくろの味と一口にいっても、作る人によって、その味わいは千差万別。そこで今回は、料理が得意なお母さんが作ったおふくろの味のように、予算はかかっていないけどおもしろい、いま観るべき番組をご紹介します。
『水曜どうでしょう』は、テレビの未来の形

出典:Amazon
北海道のHTBで放送されていたローカル番組「水曜どうでしょう」、今では、全国区の俳優となった大泉洋、その事務所の社長(現在は会長)の鈴井貴之、ディレクターの藤村忠寿、嬉野雅道の4人が、世界各地を旅するだけの番組です。
細かな内容については、多く語られているので、省略いたしますが、ポイントは、今も番組が継続するビジネスモデル。
番組は2002年に終了していますが、いまなお多くの地方局で再放送が繰り返され、新たなファン層を掘り起こし、今では親子でファンという人もいるほど。
さらに、数年に1度4人で旅に出て、新作を発表するというスタイルは、まるでミュージシャンそのものです。そのビジネススタイルもミュージシャンと同じで、近年はDVDやグッズ販売などで、収益を上げて、そのお金で新作を作っています。物販で稼いでいるわけです。
一定数以上の固定ファンがいるから成立するわけですが、こうなると、番組は半永久的に続きますね。新作が観たいからファンは物販に投資する。生まれたお金で新作が作られる。また物販で…という流れです。
こうした循環が生まれると、視聴率という概念から切り離されるので、制作側もファンに向かって番組作りが行いやすくなるので、どちらにとってもいい形でしょう。
今後、テレビは自分たちのコンテンツだけで制作費を稼げるような番組でないと、長くは続かないのではないかと思います。
放送日:毎週水曜深夜24:15〜(HTB)、毎週日曜21:00〜(東京MXTV)他、14局でオンエア中
ヒット企画の宝庫 『ゴッドタン』

出典:Amazon
「水曜どうでしょう」と同じく、コチラも独自のコンテンツで、視聴率では測れない熱狂的ファンを獲得しているTV東京の人気番組『ゴッドタン』。
レギュラーは、おぎやはぎ、劇団ひとり、松丸友紀アナウンサーの4人ですが、毎週行う独自の企画が売りです。芸人が、セクシー美女からのキスの誘惑に耐えるだけの「キス我慢選手権」、芸人が、マジで作ったオリジナルの曲を歌う「マジ歌選手権」などが有名です。
「キス我慢選手権」は、劇団ひとり主演で2度の映画化、「マジ歌選手権」は、中野サンプラザや渋谷公会堂でライブが行われ、チケット完売と、深夜番組とは思えないカルトな人気を誇っています。
その魅力は、出演者に頼り過ぎない絶妙な企画のバランス。予算もさほどかけず、芸人さんのトークメインでもない。独自のコンテンツを生み出している唯一無二の番組でしょう。
番組スタートから今年で10年目。似たようなバラエティ番組が多い中、『ゴッドタン』のように、独自コンテンツで勝負する番組の強さが、10年という数字に現れていますね。
放送局:テレビ東京 放送日:毎週土曜25:45〜
ガチンコ取材が魅力の『Youは何しに日本へ?』

画像出典:TV東京
タイトルそのまま、日本を訪れた外国人を空港で捕まえて、滞在目的をインタビュー。気になる人には密着取材を行う番組です。
文字にしてしまうと、たったこれだけのことですが、映像にするとこれがおもしろい。ヒッチハイクで北海道から沖縄まで旅をしにきたイスラエルの若者に密着したり、ハンバーガーを食べにきたオーストラリア人に密着したりと様々。
ヒッチハイクの旅は、道中で出会った日本人との交流に涙し、ハンバーガーの旅は、最終的に佐世保バーガーを食べに長崎まで行くバカバカしさ。
そんな「Youは何しに日本へ?」最大の魅力は、ガチンコ取材だからこそ生まれる、突然の密着終了。ガチンコ取材だからこそ、取材相手から「ここから先は取材はやめて欲しい」と言われ、急に終わることもしばしば。
「えっ!?ここで!?」と思わず、テレビにツッコミたくなることも多いですが、密着が決まってからも、何が起こるか分からないのが、この番組のおもしろさでしょう。
放送局:テレビ東京系 放送日:毎週月曜よる6時57分〜
街ぶら番組の新機軸『夜の巷を徘徊する』

画像出典:TV朝日
現在、テレビに引っ張りだこのマツコデラックス。2015年4月の時点でレギュラー9本。日曜以外、毎日、マツコデラックスが出演する番組があります。
その中で、個人的にオススメなのが『夜の巷を徘徊する』マツコデラックスが、1人で夜の東京をぶらりと歩くだけの番組です。
「モヤモヤさまぁ〜ず」のヒット以降、急に増えた印象のある、タレントが街を歩いてその街の人々と触れ合ったり、地元の美味しいものを食べる、通称、街ぶら番組。
「ちぃ散歩(若大将のゆうゆう散歩)」「ぶらり途中下車の旅」といった、おなじみの街ぶら番組から、「有吉くんの正直さんぽ」「ブラタモリ」「タカトシ・温水のぶらり旅」など新しい街ブラ番組も増加。
街ぶら番組が増える背景には、低予算で番組が成立することと、「モヤモヤさまぁ〜ず2」などの街ぶら番組が好視聴率なことがあります。
そんな中、スタートした「夜の巷を徘徊する」ですが、他の街ぶら番組との決定的な違いは、ロケの時間が夜だということ。
街ぶら番組といえば、昼間が当たり前。人も多いし、店も空いてますからね。夜は人がいないし、店も閉まっていることが多い。街ぶら番組には向いていない時間帯というわけです。
それにもかかわらず、この番組がおもしろいのは、マツコ・デラックスと夜の街の相性がいいことはもちろん、ロケのガチンコ感。
通常、街ぶら番組は、事前に行くお店をある程度決めておいたうえで、その時の気になったお店に飛び込みで入るものが多いですが、恐らく「夜の巷を徘徊する」は、マツコ・デラックスの気の向くままにお店選びをしています。
マツコ・デラックスが少しでも興味を持った店だからこそ、聞きたいことがあるし、トークも膨らむということでしょう。
放送局:テレビ朝日 放送日:毎週木曜深夜0:15〜
右脳を直撃する映像体験!『2355』

出典:NHK ONLINE
NHK Eテレの深夜24時直前に放送される「2355」。おやすみ前の5分間に「ピタゴラスイッチ」のような、右脳を刺激する映像や、ネコの歌など、子供から大人まで楽しめるEテレらしい番組です。
この番組のスゴイところは、5分間、つい観てしまうところ。短い間に、様々なシーンが展開されるので、飽きずに観てしまうんですね。
かといって、別に観なくてもいいんです。観なかったところで、私たちの人生に何かが起こるわけではありません。
たまたまその時間に起きていて、たまたま思い出して、5分間、ただテレビを観る。それぐらいいいかげんに観るのに、ちょうど良い番組です。録画して観るのではなく、生で観ましょう。
放送局:Eテレ 放送日:毎週月〜金 23:55〜
低予算を逆手にとった街ぶら番組『いろはに千鳥』

出典:テレビ埼玉
お笑いコンビ・千鳥の街ぶら番組。テレビ埼玉の番組なので、埼玉のローカルなスポットを毎週巡っています。ここまではよくある地方局制作の街ぶら番組ですが、ポイントは、低予算を逆手にとった番組演出。
「本当にそこまで予算がないの?」と疑いたくなるほど、お金を使っていません。
番組内で千鳥が使えるお金は2000円以内。最近は、それさえもないのか、飲食店で試食する時も、無料に持って行こうと千鳥が交渉しています。
さらに、TVの常識を覆す8本撮り。通常TVの場合、1回のロケで1〜2本分の収録が普通のところ、この番組は、1日のロケで30分番組を8本収録!
8本収録になると、どうなるのか。普通は使わないようなシーンも全部使われ、タレントが荒れ始めます。
8本撮りに対する愚痴、番組ディレクターへの文句など、冗談めいて言い始めるわけですが、これがおもしろい。制作陣は、8本撮りという無茶をすることで、千鳥の魅力を引き出しています。
低予算というフリがあるからこそ出来る演出。テレビ埼玉という地方局だからこそ、低予算にリアリティがあるわけです。地方局の魅力はこういうところにありますね。
放送局:テレビ埼玉(他、全国7局ネット) 放送日:毎週火曜夜11時〜11時30分