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『新世代CEOの本棚』出版記念トークショー
先日『新世代CEOの本棚』の出版を記念したトークショーに参加してきました。ゲストはコルク代表の佐渡島庸平さんと、メタップス代表の佐藤航陽さん。筆者が普段からその発言に注目しているお二人のトークが聞けるということで、かなりハードルがあがっていたのですが、期待どおりの面白いお話を聞くことができましたのでご紹介します。
佐渡島庸平さんの読書術
最初は佐渡島さんのトークからスタートしました。佐渡島さんの読書は面白い本があったら、その本を基点にして樹形図のようにその著書や作家に関連のある本を辿りながら、読み進めていくそうです。
例えば村上春樹の本を読んで面白いと思えば、村上春樹が影響を受けたと言われているフィッツジェラルドやレイモンド・チャンドラー、ポール・オースターなどを辿って読んでいきます。そうすることで自分がよいと思った作品が生まれた背景をより深く知ることができるのです。
最近は仕事関連で読む原稿以外は、あまり本を読む時間が取れていないそうですが、その分多くの人に会って、人との会話からインプットするように心がけているそうです。新しい漫画に関する情報は逆に、堀江さんに教えてもらうことがあるそうです。
SNSができる前は、本という媒体を通じてしか他人が考えていることを知る機会はなかったが、SNSが普及してからは、ネット上でいろんな人の考えに触れることができるようになり、面白い人を見つけやすくなったといいます。
気になる分野やカテゴリーがあれば、それについて詳しい人を見つけて、共通の知人がいないか探して、いればその人を通じてアポイントを取り、話を聞きに行くそうです。
情報のインプットに関しては、各ジャンルの目利きを見つけておき、全部で20〜30人のアウトプットを随時チェックしているといいます。どんな目利きの人をフォローするかが、その人の情報取得におけるセンスで、質の高いインプットに重要な部分なのだといいます。
佐藤航陽さんの読書術
とても意外だったのですが、佐藤さんは子どもの頃ほとんど本を読む習慣がなかったそうです。社会人になって自分で会社経営をするようになってから必要に迫られて、本を読むようになったといいます。
佐藤さんはその時に必要な知識や、仕事のヒントになるような情報を探すために読書をするため、自分に必要な箇所だけを読むつまみ食いのような読書の仕方をしているそうです。逆に知りたいことがない時は、本から得た仮説を実際にためしてみるのに忙しくて、一切本は読まないのです。仕入れの時期とアウトプットの時期が交互にやってくるそうです。
どんな本を読んでいるかという質問に対しては「テクノロジー」、「経済」、「政治(感情)」についての本を読むと回答。未来を見通すためにテクノロジーにかんする本を読み、今後どんなことが起こるのかを予想して、ビジネスの戦略をたてているそうです。経済についてはジョージ・ソロスやウォーレン・バフェットなどの投資家の本をオススメしていました。
そして人間という生き物を知るためには、「嫉妬」を理解する必要があるという発想から政治についての本、例えば田中角栄について書かれた本などを読み勉強しているそうです。
佐渡島さんと佐藤さんの対談
それぞれのトークの後は、お二人での対談が行われました。まず「新世代のCEOの本棚」を読んでの感想を聞かれると、それぞれの人が読んでいる本がまったく違うのが面白く、その人らしい本を選んでいるという点が興味深いとのこと。
情報のインプットに関して佐渡島さんが積極的に人に会いに行くのに対して、佐藤さんはもっぱら本からのインプットをメインにしているという違いがありました。
佐藤さんは考え事をしている時間が非常に多いようで、仕事の多くの時間を考える時間にあてているそうです。そうして考えぬいて出てきた仮説を元に次の事業を展開して、その仮説が正しいかどうかを検証しているのです。
佐藤さんの考えが先進的すぎて、社員がすぐに理解できないこともしばしばあるようですが、過去に佐藤さんの仮説でうまくいったこれまでの経験があるのでその信頼関係で、よくわからないけれど、とりあえず言うとおりにやってみるかと社員の人たちが動いてくれるそうです。
ちなみに佐藤さんは電子書籍ではなく、紙の本しか読まないそうです。理由は飛ばし読みができるからで、書店には行かずAmazonで購入しているそうです。佐渡島さんはほぼ電子書籍で購入しており、最近は書店の営業周り以外、書店に行く時間が取れていないそうです。最後にお二人がおすすめしていた本を何冊か、ご紹介します。
佐渡島庸平さんオススメの本
『風の歌を聴け』 村上 春樹
画像出典:Amazon
村上春樹のデビュー作1970年夏、あの日の風は、ものうく、ほろ苦く通りすぎていった。僕たちの夢は、もう戻りはしない――。群像新人賞を受賞したデビュー作
『本当の戦争の話をしよう』 ティム・オブライエン
ヘンリー賞を受賞した「ゴースト・ソルジャーズ」をはじめ、心を揺さぶる、衝撃の短編小説集。胸の内に「戦争」を抱えたすべての人におくる22の物語。
画像出典:Amazon
『私とは何か「個人」から「分人」へ』平野 啓一郎

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嫌いな自分を肯定するには? 自分らしさはどう生まれるのか? 他者との距離をいかに取るか? 恋愛・職場・家族……人間関係に悩むすべての人へ。
『生き方 人間として一番大切なこと』 稲盛 和夫

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二つの世界的大企業・京セラとKDDIを創業した著者が、その成功の礎となった「人生哲学」をあますところなく語りつくした名著
佐藤航陽さんオススメの本
『ブラック・スワン』 ナシーム・ニコラス・タレブ

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人間の思考プロセスに潜む根本的な欠陥を、不確実性やリスクとの関係から明らかにして、経済・金融関係者の話題をさらった全米ベストセラー。
『ソロス』 マイケル・T・カウフマン

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稀代の投機家にして巨万の富を築いた男、ヘッジファンドの帝王にして、アジア金融危機の原因を作った男――ジョージ・ソロス。その男の知られざる真実が明らかになる一冊。
『スノーボール ウォーレン・バフェット』 アリス・シュローダー

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世界で最も有名な投資会社バークシャー・ハザウェイの会長兼CEOにして、世界で最も尊敬される大投資家ウォーレン・バフェット。本人が認めて5年以上の取材を元に執筆された伝記。
『田中角榮 』 佐藤 昭子

画像出典:Amazon
著者は1952(昭和27)年より田中角榮秘書となり、その後、越山会をはじめとする政治団体、関係事務所の統括責任者を務めた方。不世出の政治家の素顔を垣間見ることができる一冊。
