「ひとりが好き」はダメですか?おひとり様限定“ソロ活”の楽しみ方

「ひとりが好き」はダメですか?

ひとりは、好きですか? 友達と居ると気ばかり使ってしまって、落ち着かない。目の前の食事や芸術、風景を存分に楽しみたいのに、どうして他人の会話や予定に付き合わなくてはならないの?

インターネットを通じて誰とでも繋がれる環境。和を重んじる日本人の国民性。それらに背を向けて、「ひとり」の時間を楽しむことは、責められるべきことではありません。

この記事では、蛭子論語の記事でも紹介した、“自由な漫画家”蛭子能収さんと、ネットで話題の“ひとり遊びのプロ”、朝井麻由美さん。「ひとり」が好きなお二方の著書を参考に、「おひとりさま」ならではの“ソロ活”の楽しみ方をお伝えします。

蛭子能収は考える。“ソロ活”は個人の自由の尊重だ

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近年、「ひとりカラオケ」や「ひとり焼肉」などの“おひとり様専門店”ができたり、『孤独のグルメ』や『ワカコ酒』など、登場人物がひとりで外食する作品が人気を集めたりと、おひとり様向けのコンテンツが多くなってきた印象です。これは、つながりは増えてもひとりで行動したい人も増えているという世相を反映したものでしょう。

そんな人々の気持ちを代弁するのが、他人を気にしない、自由気ままなイメージで知られる漫画家、蛭子能収さん。自らを内向的人間と称し、著書『ひとりぼっちを笑うな』で、「人間の魅力は集団ではなくその人自身から生まれるもの」「安心感を求めるための友だち作りなんてやってもしょうがない」と述べた上で、休日の過ごし方について、次のように語ります。

僕にとっての最高の楽しみはオフの日です。だから、休日になにをしようか真剣に考えて、それを自由に実行に移すことが一番楽しい。考え過ぎかもしれないけれど、僕が自由や時間を奪われるのを嫌うように、逆に誰かを誘うということは、その人の自由や時間を奪ってしまうことになるかもしれない。(中略)自分が自由でありたいのなら、他人の自由も同じく尊重すべきだというのが持論です。

いつでも繋がれるがゆえに、個人の時間の自由が失われる。そんな事態を蛭子さんは避けるため、ひとりで行動しているのです。他人の自由、そして何より自分自身の自由を尊重するという点でも、私たちがソロ活動をする理由はあるのではないでしょうか。

カラオケ、焼肉、居酒屋……まずは定番“ソロ活”の紹介

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では、ここからは具体的にどのようなソロ活動があるか、紹介していきましょう。まずは比較的世間に浸透している定番“ソロ活”から。

1.ひとりカラオケ

ヒトカラの愛称で2000年代中頃から徐々に浸透してきた、ひとりカラオケ。マイナーすぎて友人と一緒だと歌いにくい曲に挑戦したり、歌の練習として使うこともできるでしょう。

密室なので、店員さえ気にしなければ、ひとり行動で気にしがちな他人の目を感じずに楽しむことができるため、初心者向けの“ソロ活”と言えます。

2.ひとり焼肉

うおォン 俺はまるで人間火力発電所だ

松重豊演じる大食のサラリーマン、井之頭五郎がひとり外食を楽しむドラマ、『孤独のグルメ』。その原作の一コマ、五郎がひとりで焼肉を食べる時のモノローグが上のセリフです。

この『孤独のグルメ』の人気に影響されてか、近年はひとり焼肉専門店もでき、以前よりもひとりで焼肉を楽しむ人が増えてきました。

カルビにロース、バラ、ハツ、レバーやタンにミノ……。食べ放題に行き、そのすべてを思う存分味わうには、友人と会話をする時間がもったいなく感じてしまうことがあるかもしれません。

3.ひとり居酒屋

仕事が終わり、ひとりで歩く帰り道。家にまっすぐ戻る気分にもなれず、ふらっと立ち寄った店で一杯。ひとり居酒屋の魅力は多くありますが、その魅力の一つが、人との出会いでしょう。

偶然隣合った人と、仕事も、人間関係も、余計なしがらみは全て捨てて、グラスを傾けながら会話を味わう……。仕事での付き合いや、普段の交友関係からは絶対にたどり着けない人と話し、世界の広さを知る。いつものメンバーや大勢の宴席に飽きたら、このような楽しみ方もいいかもしれません。

「達人」、朝井麻由美が切り開く“ソロ活”の可能性

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自他ともに認める「ソロ活」の達人、朝井麻由美さんは、おおよそひとりでやるものとは考えつかないものに挑戦し、“ソロ活”の世界を開拓して行っており、その活動をブログや著書『「ぼっち」の歩き方』で紹介しています。

プラネタリウム、梨狩り、ボウリング、ボート、プリクラ、バーベキュー、潮干狩り、ウェディングフェア、納涼船、花火大会、ペアリング作り、人力車、流しそうめん、スイカ割り、フレンチのフルコース、誕生日パーティー、豆まき……。

集団行動や人とのコミュニケーションが苦手で今のライフスタイルにたどり着いたという朝井さんですが、彼女の精力的な活動は、「ここまでひとりで楽しめるのか!」という驚きと発見を与えてくれます。

自分の収穫物を誇示することもなく、他人の収穫物を羨むこともない。全てが自分のペースで執り行われる……。競争社会からの解放を悟った、ひとり梨狩り

マナーや、ペースを気にしなくて良いため精神的コストを削減できる、ひとりフルコース料理

船内の人間模様やロマンスをじっくり観察する、ひとり納涼船

朝井さんの活動は、どんなものにもおひとり様ならではの楽しみ方があることを気づかせてくれ、“ソロ活”の可能性を示唆するものなのです。朝井さんの活動に学び、「たとえ常識はずれに思えてもひとりでやってみる」という試みをしてみてはいかがでしょうか。

「ひとり=恥ずかしい」ではない!

ソロ活の一番の障害は、やってる本人が「ひとりで恥ずかしい」「惨めだ」と思ってしまうことです。しかし、蛭子さんのように自分と他人の自由を尊重する考え方をし、朝井さんのように一人だからこそ楽しいのだと割り切れば、「ひとり=恥ずかしい」という意識もなくなり、十分に“ソロ活”をエンジョイできるのではないでしょうか。

参考文献『ひとりぼっちを笑うな』『「ぼっち」の歩き方
Career Supli
「ぼっち充」(ひとりでも充実している人のこと)という言葉が生まれたように、以前より、おひとり様への世間の寛容度が上がっているように感じます。協調性は必要ですが、それとは関係ない「しがらみ」のようなものが気にされなくなる時代も近いのでしょうか。
[文・編集] サムライト編集部