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習慣が身につかないのは「合ってない」から
朝活や、1日を振り返る日記、締め切りの設定、定期的な運動、読書時間の確保やデジタルデトックス……世の中にはいわゆる「一流の人の習慣」が溢れかえっています。
自分も成長したいからとそれらの習慣を取り入れてみても、なぜか身につかないという人も多いのではないでしょうか。そこで「自分がダメな人間だからだ」と諦めてしまう人もいるかもしれません。
しかしそれは、単にその習慣が自分に合っていないだけのこと。ジョブズがクリエイティブになるには瞑想が合っていたのかもしれませんが、クリエイティブになるための習慣が瞑想しかないわけではありません。瞑想より、ジョギングの方がよりクリエイティブになれる人がいてもいいのです。
そこで、ここでは自分に合った習慣を見つける3つの考え方、すなわち「数打ちゃ当たる」「1%改善」「マイナーチェンジ」を紹介します。
「自分に合った習慣」を見つける3つの考え方

下手ならまずは「数打ちゃ当たる」
事業で成功した人の多くは、成功の秘訣として「成功するまでやり続けること」を挙げます。
コーネル大学ジョンソンスクール経済学教授ロバート・H・フランクさんは著書『成功する人は偶然を味方にする 運と成功の経済学』のなかで、成功のためには運が不可欠だと書いています。そして、運をつかむためには何度も諦めずにチャレンジを繰り返すことが必要だと説いています。
たとえば10%の確率で運をつかめるのだとしたら、10回やれば1回、100回やれば10回は幸運に恵まれます。5%なら20回で1回、200回で10回です。
こうやって何度も諦めずに挑戦し続けるからこそ、成功者は成功者になるのです。習慣を身につけることに成功する人と失敗する人の違いも、ここにあります。
しかし、世の中には無数の「習慣」と呼ばれるものがあります。このすべてが自分にとって何の苦もなく、簡単に取り入れられるものであるはずがありません。
そのなかから自分に合ったものを選ばなければ、前述したような「ジョブズが瞑想やっているから、自分も瞑想を習慣にしよう」→「身につかなかった。自分はダメな人間なんだ」という道をたどってしまいます。
そもそも自分にどんな習慣が合っているかがわかっていないうちは、自分に合う習慣を狙い撃ちできません。そのため、まずは自分に合う習慣にめぐり逢うまで「下手の鉄砲も数打ちゃ当たる」の精神で、あれこれ試してみる必要があるのです。
そうして巡り合った習慣を分析し、自分に合う習慣の傾向がわかってくれば、すぐに新しい習慣を身につけられるようになるでしょう。
「1%改善」の積み重ねが結果を生む
習慣化コンサルティング株式会社の代表を務める古川武士さんは著書『理想の人生をつくる 習慣化大全』の中で、次のように書いています。
魔法の解決策や正解にこだわってなにも手につかないならば、「1%改善」の行動を積み重ねて最適化を続けた方が有益です。
引用:前掲書p179
例えば「もっと仕事の能率を上げたい」と思い、そのための習慣を身につけようと考えたとします。人間の脳は起きてからの2〜3時間が最もパフォーマンスが高く、その時間は「脳のゴールデンタイム」と呼ばれています。
起きてからの2〜3時間で1日の重要な仕事をこなす習慣を身につければ、仕事の能率は上がりそうです。しかしいきなり「じゃあ1日の重要な仕事は、朝食後すぐにやる習慣を身につけよう!」と尚早に行ってしまうと、よほどそのスタイルが自分に合っていない限りは失敗します。
ここで「1%改善」の考え方を利用します。
「起きてからの2〜3時間で1日の重要な仕事をこなす」という目的を達成するために、どんなことができるのかを考えていくのです。
・起きてすぐ食事が食べられるように、就寝前に準備しておく。
・食後すぐに仕事にとりかかれるように、就寝前に翌朝何をするかを準備しておく。
・脳のゴールデンタイムに邪魔が入らないように、スマホの通知は切っておく。
・脳のゴールデンタイムにやるべき仕事を見分けるために、優先順位のつけ方を勉強する。
・ゴールデンタイムの脳のパフォーマンスを上げるために、眠りの質を上げる方法を調べる。
など最初はブレーンストーミングの要領で思いつく限り上げ、そこから「これなら余裕でできそうだ」というものをいくつか選びます(古川さんは「カンタンな10の行動」を上げ、そこから「やってみようと思える3つの行動」を選ぶようにと書いています)。あとはそれを実行するだけです。
そうやってたとえ小さなものでも、「自分が苦もなくできる行動習慣=自分に合った行動習慣」を1つクリアできれば、もう一つ、それができれば少し難しいものにも挑戦できるようになっていきます。
すると、いつのまにか当初の最終目標である「起きてからの2〜3時間で1日の重要な仕事をこなす」という習慣が身についているはずです。
マイナーチェンジが継続のキモ

「習慣」という言葉には、「まったく同じことをずっと変わらず繰り返す」というイメージがつきまといます。しかし新しい習慣を身につけるときは、こうしたイメージは邪魔になります。
なぜなら人は飽きる生き物であり、まったく同じことをずっと変わらず繰り返していると確実につまらなくなるからです。そうなれば習慣として定着する前に止めてしまうことでしょう。
この問題を解決するのがマイナーチェンジです。取り入れた習慣に自分が楽しいと思えるような小さな変化を加えるのです。
たとえば「運動を習慣化して、筋肉をつけたい」と思うのであれば筋トレを習慣にするのが最短ルートですが、筋トレにも種類はたくさんあります。
ジムで黙々とダンベルやバーベルを扱う筋トレもあれば、自宅や公園で自分の体重を使って行う筋トレもあります。
モデルの中村アンさんがやっている「クロスフィット」も筋トレの一種ですし、最近は「暗闇ワークアウト」「暗闇フィットネス」といった変わり種の筋トレを行うジムもあります。
同じダンベルやバーベルを扱う筋トレでも、腕を鍛えるのか、胸を鍛えるのか、腹筋を鍛えるのかで変化を加えられますし、同じ腕を鍛えるにしてもいろいろなやり方があります。
そういったマイナーチェンジを繰り返していけば飽きずに続けることができます。こうして継続は習慣となり、「やらないと気持ち悪い」レベルにまで到達するというわけです。
新しく取り入れた習慣は、変なこだわりを持たずに自分なりのアレンジを加えていけばいいのです。
自分に合った習慣を見つけよう

習慣が身につかないのは、ダメな人間だからではなく、その習慣が自分に合っていないからです。習慣についての考え方を変えて、自分に合った習慣が見つかれば、新しい習慣を身につけることは十分可能です。
自分のことを諦めずに、「数打ちゃ当たる」「1%改善」「マイナーチェンジ」の精神で自分に合った習慣を見つけていきましょう。
