センスは手に入れられる!スキルもアップするセンスアップのすすめ

センスは「生まれ持った才能」か?

今までの人生の中で「いやあ、自分はセンスがないんでこういうことはわからなくて」というセリフを言ったことのある人はどれくらいいるでしょうか。特に美術や音楽など芸術系の分野ではこの「センス」が必要とされ、同時にそれは「どこからか降ってくるもの」「ひらめくもの」と考えられがちです。

しかしグッドデザインカンパニー代表・水野学さんはこれを否定します。そして「センスの源泉は知識だ」と言うのです。ここでは著書『センスは知識から始まる』を参考に、第一線で活躍するクリエティブディレクターの「センス論」を紹介します。

センスは知識の集積から生まれる

水野さんは「センスとは、知識にもとづく予測である」と言います。つまり普通のもの、良いもの、悪いものについての知識を集め尽くした結果、その中から導かれる直感的な答え、それこそが「センスのある答え」というわけです。

しかしこんなことを言われても、どこから知識を集め始めればいいのかわからない人も多いはず。そういう人はまず「普通のもの」を知る努力を積み重ねましょう。普通のものを知っていれば普通でないもの、すなわち良いものと悪いものの違いもわかるようになるからです。

「普通」を知るにしても、ある程度の知識量は必要です。例えばW杯シーズンしかサッカーを観ない人が「普通のサッカー選手はこんなプレイはできないよ!」と言っていても説得力がありません。

一方であらゆるサッカーの試合を観たり、解説を聞いたりしている人が同じことを言うと説得力があります。なぜならその人は「サッカー選手の普通を知っている人」だからです。これこそが水野さんが「センスの源泉は知識だ」と言う所以なのです。

センスがなければ生き残っていけない?

Fashion Magazines

「わざわざ知識を集めるのは大変そうだなあ。どうせ自分にセンスはないし、今はいいかな」と思った人は、即座にその考えを改めましょう。というのも現代はセンスの時代だからです。

水野さんは戦闘技術の向上に全力を注いだ日本の戦国時代から、茶の湯や芸能に多くの大名が夢中になった桃山時代への変化など、歴史的に「技術がピークを迎えるとセンスの時代がやってくる」と言います。そして今の日本もセンスの時代に突入していると言うのです。

これは現実に既存技術を集めて作られたiPhoneのようなセンスのある製品が求められたり、ただ勤勉で効率の良い経営ではなく「センスの良い経営」が求められるといった状況として現れています。

何もこれは経営者レベルに限った話ではありません。終身雇用や年功序列などの日本的経営が崩壊した今では、勤勉で真面目なだけのビジネスパーソンは企業のお荷物になってしまいます。つまりセンスがなければこれからの時代は生き残っていけない、というわけ。「今良いかな」なんて言っている場合ではないのです。

センスが欲しけりゃ本屋に行け!

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センスをつけるためには知識が必要です。ではその知識をどこで集めるのかといえば、本屋です。

水野さんは「1日1回、通勤途中にある本屋に入り、できるだけ高速で店内を回り(5分程度)、『あれっ』と思った本を手に取る」方法をすすめています。一瞬でも気になったものには何かしらの理由があるものです。それを見逃さずに知識として取り込んでいけば、1日1冊としても1年で365ものセンスの源泉を手に入れられる計算になります。

また「あれっ」と思った本以外にも、「ああ、これは絶対に読まないな」と思った本を手に取るのもおすすめです。こうすれば手軽に自分とは全くつながりのない世界の入り口を垣間見ることができます。

地道な努力に思えるかもしれませんが、これを繰り返していると徐々に知的好奇心が湧き上がってきて、いろんなことを知るのが楽しくなってくるはず。そうすれば知識の収集スピードは格段に上がります。

知識集めに「辛さ」は要らない

Female student using laptop for taking notes to study
センスのために知的好奇心は必須と言っていいほど重要です。というのも苦行のように知識を集めていても、長続きしないからです。長続きさせるためには楽しんだり、面白がる気持ちがなくてはなりません。

「そんな気持ち、学生時代に置いてきちゃったよ」という人は、「感じる力=感受性」が低くなっている証拠です。これを高める方法として水野さんは「幼児性を取り戻せ」と言います。簡単に言えば子供の頃の気持ちを思い出して、何にでも驚き、感動せよというわけです。

こうすれば知識を楽しみながら蓄えられるだけでなく、思い込みや常識にとらわれず自由な発想もできるようになります。

「好き嫌い」で考えるからセンスがない

例えば新しい香水瓶の企画していて、瓶のサンプルが届いたとします。その時に決まって交わされるのは「この瓶のここが良いね。すごく好きだ」「この瓶はちょっと違うと思うな。僕は苦手だね」といった好き嫌いを基準にした会話です。

しかしこれではその人のセンス、つまりは知識の範囲内でしか会話が成立しません。議論というよりそれぞれがそれぞれの文脈でtweetしているのと同じです。もちろん結論は出ず、時間は過ぎていく一方でしょう。

センスは知識、すなわち客観的な情報から生まれます。好き嫌いのような主観的な情報からはセンスのない結論しか導けません。客観的な情報とはこの場合、「ペルソナ」です。

新しい香水瓶を使う消費者を、「20代後半女性、12月生まれで暑いのが苦手、趣味は水泳で毎日のようにジムのプールで泳いでいる。休日は○○な服を着て、○○で食事をする。憧れの芸能人は……」といったようにできるだけ具体的に設定し、そのペルソナの目から香水瓶を眺めるのです。

もちろんペルソナの設定は膨大なデータから製品のターゲットに見合ったものを選ばなくてはなりません。したがって時間もかかります。しかしこれを時間をかけずに自分の知識から引き出せる人こそが、「センスのある人」です。ちなみに水野さんはこうした時のために複数の女性誌を読み込み、知識を収集しているのだそうです。

センスを磨けばスキルも上がる

「センスがある人」で仕事ができない人は稀です。なぜならばセンスを磨ける人というのは、几帳面で色々なところに気がつき、積極的に様々な知識を得ようとしている人だからです。

つまりセンスを磨くために努力していれば、自ずとスキルもアップしていくというわけです。いつまでも「センスがないから」なんて言い訳をしていないで、まずは本屋で知識を集めるところから始めてみませんか?

参考文献『センスは知識から始める』
Career Supli
例えば、デザインはベーシックな決まり事がたくさんあるのでそれを学ぶだけでもデザインセンスは大きく向上します。その程度のことをやらない人は生き残っていけない時代になりつつあります。
[文]鈴木 直人 [編集]サムライト編集部