なりたい自分に近づくためにさまざまな努力を重ねるものの、理想と現実のギャップに苦悩し、立ち止まってしまう方は少なくありません。本記事では、理想とする自分になるための方法や注意すべきポイントなどについて解説します。自分を変えたいと願う自己変革への欲求をもつ方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
なぜ「なりたい自分」になれないのか?
自己変革への強い欲求は高い向上心の証であり、よりよい人生を追求するうえで大切な心の在り方です。
しかし、なりたい自分になるために試行錯誤しても、現実は一向に変化しないと嘆く方も多いかもしれません。そのような場合、まずは「なぜ、なりたい自分になれないのか?」を深く掘り下げる自己分析が不可欠です。
そして、自己分析を通して自己変革への志を立て、後述する「なりたい自分になる方法」をひとつずつ実践していく必要があります。
志を立てるのに、老いも若きもない。
そして志あるところ、老いも若きも道は必ずひらけるのである。
松下幸之助
【引用元】「道をひらく(p.14)」|松下幸之助(PHP研究所)
「なりたい自分」がわからない
自己変革への強い欲求を抱きつつも、理想とする自分になれない方に多いのが「なりたい自分が漠然としている」という事例です。
理想とする自分像が曖昧ではゴールへ到達するための道筋が見えず、実現するための具体的なプロセスを描けません。
なりたい自分になるためには、「どんな自分になりたいのか」「なぜ自分を変えたいのか」といった深層心理を深く掘り下げ、理想とする己の自己像を明確化するプロセスが求められます。
理想的な自分が遠すぎる
自己変革への意識が強い方はその向上心の高さゆえに、理想像が現状とかけ離れているケースが少なくありません。
志の高さは人生を切りひらくうえで重要な資質ですが、目標が遠すぎる場合は行動と実績が追いつかず、それがストレスとなって心身の疲弊を招きます。
たしかに、なりたい自分になるためには、高い志と目標設定が不可欠です。
しかし、高すぎる目標設定は自己評価の低下と成長意欲の減退につながりかねないため、短期的な目標と中長期的な目的を分類し、それぞれを段階的に踏破していく必要があります。
ずっと同じ環境にいる
人間には未知のものを避ける「現状維持バイアス」という心理作用が備わっており、本能的に環境の変化を嫌います。
しかし、なりたい自分になるためには変化を恐れる心理ブロックを打破し、未知なる体験や新しい環境に飛び込む勇気が必要です。これまでと同じ環境で同じ友人に囲まれ、同じ価値観を共有していては自己変革は望めません。
理想とする自分ならどのように時間を使い、どこに住み、どんな友人と関わっているのかなどを客観的に診断する必要があります。
人間が変わる方法は三つしかない。
一つは時間配分を変える、二番目は住む場所を変える、三番目は付き合う人を変える。この三つの要素でしか人間は変わらない。
もっとも無意味なのは、「決意を新たにする」ことだ。
大前研一
【引用元】「時間とムダの科学(p.95)」|大前研一(プレジデント社)
「なりたい自分」になる方法10選!

現在をつくっているのは過去の自分であり、未来の自分を変えたいと望むのであれば、昨日までの己と同じであってはなりません。
自己変革を推進するためには、今までの自分であれば疎ましく思えることでも、実践することでよりよい未来につながると期待できる行動を実行しましょう。
具体的な施策は数多くありますが、代表的なものとして挙げられるのが以下の方法です。
やりたいことのリストを作る
なりたい自分になるためには、人生に求めているものを明確化することが重要です。
理想とする自分像はどのような姿か、どんな生活を望んでいるのか、人生で成し遂げたい夢は何かなど、やりたいことのリストを作成し、逆算的に何をすべきかを意識しましょう。
この段階で熟慮しすぎると行動が止まってしまうため、深く悩まず心の赴くままに作成することがポイントです。
小さな目標設定をする
大きな目標を描くのは大切ですが、遠くばかりを見ていては足をすくわれかねません。
大きすぎる目標は達成に至る過程をイメージできず、絵に描いた餅となる可能性があります。そのため、中長期的な目標を設定すると同時に短期的な目標を掲げ、それを段階的にクリアしていくことが大切です。
また、目標を紙に書き出すことで、達成への意識が深層意識にインプットされやすくなります。
自分を理解する
理想とする自分になるためには、自己理解を深めるプロセスが不可欠です。
自分の長所と短所、性格的な特性、重視している価値観、日常的に意識している志向性などを分析し、自分という存在を客観的な視点から捉えてみましょう。
自己分析を通じて人生に求めているものが明確になれば、無理のない目標設定が可能となります。
過去を振り返る
自分の理想的な在り方を追求する際は、未来志向だけでなく過去の自分を俯瞰的に分析するプロセスが必要です。
幼少期から壮年期に至る過程で夢や目標を見失い、心の奥底にしまい込んでいる人は少なくありません。
過去の自分が好きだったものや、目指していた姿を思い出すことで新たな発見につながり、なりたい自分になれる糸口をつかめる可能性が高まります。
たくさんの経験を積む
人生に豊かな彩りと奥深さを与えるのは経験であり、さまざまな体験を経ることで価値観や志向性の幅が大きく広がります。
たとえば、人との出会いは多様な考え方を学ぶ機会を生み、これまでにない体験はものの見方に柔軟性をもたらし、新しい挑戦は人生の可能性を育みます。
理想的な人生が訪れるのを座して待つのではなく、自らの行動によってチャンスをつかむという意識が大切です。
自分磨きをする
幸福な人生に欠かせない要素のひとつに「自己肯定感」が挙げられます。
夢や目標を実現したいという心理の裏には承認欲求と自己実現欲求があるとされ、それらを満たすには自分で自分を好きになるプロセスが必要です。
そのためには理想の自分を追求する努力を惜しまない姿勢が不可欠であり、自分磨きの過程で己の新たな可能性を発見できるかもしれません。
無駄な時間を削る
時間はすべての人間に対して平等に与えられたリソースであり、その使い方が人生の質を左右します。
時間を有効に使うためには、目的のないネットサーフィンや愚痴を言い合うだけの飲み会といった無駄な時間を削減しなくてはなりません。
人生の向上につながらない非生産的な時間は可能な限りカットし、24時間という貴重なリソースを効果的かつ効率的に使う方法を模索しましょう。
生活リズムを整える
「健全な精神は健全な肉体に宿る」という言葉があるように、規則正しい生活は心身の安定に欠かせない重要な要素です。
不規則な生活習慣は心身にストレスを与え、自律神経のバランスが乱れる要因となります。
理想とする人生を追求するには心身の健康が不可欠であり、なりたい自分になる方法としてストレスのない生活を心がけることが大切です。
ネガティブになったことを思い出す
人生は無意識下の心理作用や思い込みによって形成されているといっても過言ではなく、自己変革を実現するためには現状維持バイアスやメンタルブロックなどを取り除く必要があります。
新しい自分になるためには、こうした無意識による思考パターンの把握が重要です。
過去にネガティブな気持ちに陥った出来事を探ることで、これまでの自分が抱えていた思い込みを認識する一助となります。
ポジティブ思考になる
過去のネガティブな経験から思い込みを把握できたなら、次はそこから得たプラスの面を発掘します。
あらゆる物事には二面性があり、人生の禍福はコインのように表裏一体の性質をもちます。失敗や挫折を学びの機会と捉えるか、無駄な時間と考えるかは自分次第です。
自分を変えたいと望むのであれば禍福の二面性を認識し、そのうえでポジティブな側面に意識を向けることが大切です。
生き残ることのできる生きものは、最も優れた生態能力を持った種族ではなく、環境の変化に順応できる種族である。
チャールズ・ダーウィン
【引用元】「人生を動かす 賢者の名言(p.21)」|池田書店編集部(池田書店)
「なりたい自分」になるための注意点

なりたい自分になるために努力を惜しまない方は向上心が高く、先述した10の方法を実践するのも難しくないかもしれません。
しかし、自己変革に取り組む際に間違えがちなポイントがいくつかあります。とくに以下に挙げる3つのポイントには注意が必要です。
- 達成不可能な目標を立てない
- 自分の個性を否定しない
- お金をかけることが理想の自分になるとは限らない
達成不可能な目標を立てない
先述したように、自分を変えたいという意識が強い方は向上心の高さから、あまりにも高すぎる目標を設定するケースが多々あります。
現実離れした目標設定は現状と理想のギャップが大きすぎて自己評価の低下を招き、成長したいと望むモチベーションそのものを奪いかねません。
高い志は重要ですが、自己肯定感を高く保つためには、自己変革や成長への意欲を維持できる適切な目標設定が求められます。
自分の個性を否定しない
理想の自分になりたいという思いの裏には、現状の自分を否定する心理が隠れている場合が少なくありません。こうした満たされない空白を埋めようとする心理的な作用を「欠乏欲求」と呼びます。
欠乏欲求は基本的に満たされない性質をもっており、仮に望みが実現しても幸福感を得られない可能性があります。
したがって、本当の意味での自己変革を望むのであれば、人と比較して自分を否定するのではなく、自分らしさを大切にしながら理想を追求する「成長欲求」に基づく心の在り方が大切です。
お金をかけることが理想の自分になるとは限らない
向上心の高い方は基本的に自己投資を惜しみません。それは理想とする人生を追求するうえで必須の特性ですが、多額の自己投資が必ずしも成長につながるとは限りません。
たとえば、語学力を高めたいのなら、英語の早期習得を謳う高額な教材に飛びつくのではなく、英会話スクールで地道に学習するという一見遠回りの道が最短ルートにつながる可能性があります。
このように、高すぎる目標設定や欠乏欲求に基づく成長意欲、過剰な自己投資などは向上心の高い方が陥りやすいポイントのため、自己変革を進める際は注意しましょう。
私たちはみな間違える。
しかし、ここで大切なのは、間違いは修正できるということだ。
アルフレッド・アドラー
【引用元】「生きるために大切なこと(p.表2)」|アルフレッド・アドラー, 桜田直美(方丈社)
理想の自分がわからないときは? 見つけ方の例
ここまで、なりたい自分になる方法や注意点について解説してきましたが、そもそも理想の自分像がわからない方が多いかもしれません。
理想の自分像を発掘する際は「偶然によって見つかるもの」と捉えるのではなく、「自らの心が創るもの」というニュアンスを意識することが重要です。
なりたい自分がわからない方は、理想の自分は己の心が創るものという意識をもちつつ、以下に挙げる3つの方法を実践してみてください。
- 自分のライフプランを決める
- 憧れている人を想像する
- 人に相談する
自分のライフプランを決める
なりたい自分がわからないという方は、中長期的なライフプランが曖昧なケースが少なくありません。
理想の自分を見つけるためには、こうありたいと願う自分像を思い描き、大局的な視点からライフプランを設計するプロセスが必要です。
ライフプランの設計によって具体的な未来像がイメージしやすくなり、今の自分が成すべきことを逆算的に捉えられます。
憧れている人を想像する
理想とする自分像を見つけられない場合、有効な方法として挙げられるのが「モデリング」です。
モデリングとは、お手本となるロールモデルを設定し、その行動特性や志向性などを模倣する手法を指します。
単に憧れの人物を真似るのではなく、ロールモデルならどのように行動するのかを意識することで、効率的なアクションプランや目標設定に寄与します。
人に相談する
自分で悩んでも答えが見つからない場合は、信頼できる人物に相談するのも効果的な方法です。
家族や友人、または上司などは自分では把握できなかった気付きをもたらしてくれるかもしれません。
そして、肯定的な意見のみを取り入れるのではなく、否定的な評価にも真摯に耳を傾け、客観的な視点から自己分析を進めることで、理想とする自分像を発見できる可能性が高まります。
人生とは自分を見つけることではない。
人生とは自分を創ることである。
ジョージ・バーナード・ショー
【引用元】「必ず出会える! 人生を変える言葉2000(p.63)」|西東社編集部(西東社)
転職も「なりたい自分」の見つけ方のひとつ
人間に現状維持バイアスという心理作用が備わっている理由のひとつは、環境の変化には相応のリスクが伴うためです。
しかし、変化を恐れていては現状の変革は困難であり、なりたい自分になるためには、自分の殻を打ち破って新しい環境へ飛び込む勇気が求められます。
その方法のひとつが転職であり、新たな環境に身を置くことで理想の自分になるための道を発見できるかもしれません。
夢の実現を不可能にするものが、たった一つだけある。
それは失敗するのではないかという恐れだ。
パウロ・コエーリョ
【引用元】「アルケミスト(p.170)」|パウロ・コエーリョ, 山川紘矢, 山川亜希子(地湧社)
まとめ
理想とする自分になりたいという欲求は高い向上心をもつ証拠であり、自分らしい人生を謳歌するために欠かせない資質です。
なりたい自分像が把握できない場合は、自己分析を通して理想とする生き方や心の在り方を明確化しなくてはなりません。
理想の自分は偶然見つかるものではなく、日々の経験や学びを通して自らの心が創るものです。そして、なりたい自分になるためには、未知なる体験や新しい環境に臆することなく飛び込む勇気が求められます。
自分の殻を打ち破り、理想とする未来への到達を目指す方は、転職を検討してみるのもおすすめです。
[文]CareerSupli編集部 [編集]CareerSupli編集部