脳はランニングで鍛えろ!「脳力」を鍛えるとっておきの走り方

Marathon runner running on city road

ランニングは体も脳も鍛える

これまで体力アップやダイエットなどを目的にランニングを始めたものの、「まあ別にそこまで頑張らなくてもいいかな」と元の生活に戻っている人も多いのではないでしょうか。

しかし日常生活でほとんど歩かず、暇つぶしといえばスマホやPC……そんな運動不足の生活を続けていると、体はもちろん脳までもがどんどん退化してしまいます。

これを防ぐために必要なのが「走ること」です。ここではランニングが脳にもたらす科学的な効果と、その効果を最大限引き出すための走り方について解説します。

走ると記憶力・思考力がアップする!

筋肉を動かすと、その動作を処理するために脳も活動します。人間の筋肉の大部分は下半身にあるため、走るために下半身を使うと上半身だけを使った場合よりも脳の活動量が増加し、結果的に脳が鍛えられます。

特に記憶を司る「海馬」、集中力・計画力・発想力・判断力・思考力・感情など様々な機能を持つ「前頭葉」は、ランニングによって最も鍛えられる脳部位だとされています。

またランニングによって血行が良くなると、脳に酸素や栄養が行きわたりやすくなります。すると「ニューロン新生」と呼ばれる、脳細胞が増える現象が起こります。脳細胞が増えれば、脳のパフォーマンスがアップすることは言うまでもありません。

さらにランニングには抗不安剤などに使われる「ガンマアミノ酸(GABA)」の分泌を促進するなど、うつ症状の改善にも効果を発揮したり、心身のバランスをコントロールする「視床下部」という脳部位のはたらきを強化する効果もあります。

これだけどっさりメリットがあるランニングですが、ただ何も考えずに走っているだけではその効果を最大限引き出すことができません。以下では脳力強化のための「正しい走り方」を解説していきます。

脳力強化のキモは「運動強度」にあり

Running Together at Dusk
英ケンブリッジ大学、キャロル・ブレイン博士の研究によると、脳のパフォーマンスアップのためには「運動強度60%〜80%のランニングを1日20分〜30分×週3回×3ヶ月」を基準に行う必要があります。

この運動強度は主観的な感覚で言うと「きつい」〜「かなりきつい」程度。つまり軽く流して走ったり、倒れこむようなレベルで走っても、ランニングによる脳力強化はできないのです。

ではこの「運動強度60%〜80%」というのは、何を目安にすれば良いのでしょうか。答えは「心拍数」です。日本健康運動研究所によれば、設定した運動強度に対応する目標心拍数は次の計算式で求められます。

(220−年齢-安静時心拍数)×目標係数+安静時心拍数=目標心拍数

「安静時心拍数」とは運動していない時の心拍数のこと。測定するときは横たわったり、座った状態で5分以上過ごしたあと測定します。専用の機械があればそれを使っても構いませんし、ない場合も10秒間の脈拍を6倍すればOKです。

「目標係数」とは「運動強度60%~80%」といった、目標とする強度を指します。30歳、安静時心拍数が60の人が運動強度60%でランニングしたい場合の目標心拍数は次の通り。

(220-30-60)×0.6+60=138

ランニング時に目標の心拍数に達しているかはランニング直後に脈拍を測ることでも確認できますが、正確性や手間の点でやや現実的ではありません。そこでオススメなのが市販の活動量計の活用です。

商品によっては手首につけているだけで運動中の心拍数やルート、高度変化、消費カロリーなど様々な情報を記録してくれるものもあります。予算に応じて選んでみてください。

ランニングを充実させるための3つの心得

Close up shot of runner's shoes
脳力強化以外にもランニングには体力強化・体型維持など様々なメリットがあります。以下では脳力強化を含むそれらのメリットを最大限引き出すための3つのポイントをピックアップして紹介します。

●朝ランと夜ランの違いを知るべし

朝はランニングで脳を朝一番から覚醒させ、1日のパフォーマンスを最大化するために最適な時間帯です。海馬や前頭葉の活性化により、記憶力や集中力も高まります。一方で夜のランニングには成長ホルモンの分泌を促進するため、疲労回復や筋力増強に効果があります。

また朝よりも体が柔軟になっているので、怪我のリスクも抑えられます。自身の目的に応じて、走る時間帯を臨機応変に変える必要があるでしょう。

●食前ランと食後ランの違いを知るべし

食前の空腹状態でランニングをすると、運動のためのエネルギーを糖分ではなく脂質から供給するため、脂肪燃焼効果が高まります。

しかしその分、めまいや貧血などのリスク、集中力低下によってトレーニングの質が低下する可能性もあります(目標の運動強度を保てない、途中でやる気をなくすなど)。一方、食後ランは栄養が充実しているので脂肪燃焼効果はありませんが、充実したトレーニングを行うことができます。

●1人で走るべし

誰かと一緒に走ると、速くなるにしろ遅くなるにしろ、ペースが乱れます。すると設定した運動強度が維持できなくなり、効果的なランニングになりません。「誰かと走らないとやる気が出ない」「走る目的がない」という場合以外は、極力1人で走るようにしましょう。

「走れない人」のためのウォーキングのススメ

一般的に1kmを5分以内で走る行為を「ランニング」、5分以上かけて走る行為を「ジョギング」と言います。ジョギングよりもさらに運動強度の低い運動が「ウォーキング」です。

ランニングやジョギングなど「走る」場合は、運動する過程で両足が地面から離れる瞬間がありますが、ウォーキングすなわち「歩く」とは常に左右どちらかの足が地面に着いている場合を指します。

体重やスピードによる負荷が小さくなるため、体力や筋力がまだない人はこのウォーキングから始めることをオススメします。

この場合でもポイントは運動強度・心拍数です。運動に慣れていない頃は体が「きつい」「かなりきつい」と感じる前に、頭で「もう無理、きつい」と考えてしまいます。

これでは一向に目標の「60%〜80%の運動強度」を達成することができません。体力や筋力、あるいは関節などの問題で走れない場合でも速く歩くなどして心拍数を高めるように意識しましょう。

「正しい走り方」でパフォーマンスアップ!

走る楽しさを覚えるまでは、ランニングは誰にとっても辛いものです。しかしどうせ辛い思いをするのであれば、確実に効果を実感したいはず。

効果が実感できれば、それはモチベーションに繋がり、ランニングの習慣化にも繋がります。そのための「正しい走り方」はここに書いた通り。ぜひ今日から、走る脳トレ習慣を始めてみましょう。

参考文献『走れば脳は強くなる』
Career Supli
脳科学者の茂木健一郎さんも積極的にランニングをしていますね。
[文]鈴木 直人 [編集]サムライト編集部

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