毎日の生活に「自分ルール」を設定して快適に生きよう

なぜ私たちは「自分ルール」を守れないのか?

自分でルールを決めて実行できれば、生活のクオリティは間違いなく上がります。しかし問題は、私たちが決めた「自分ルール」をきちんと守れないことです。

ここでは自分ルールがもたらすメリットと、自分ルールを守れなくなる理由について解説。さらに上手に自分ルールを設定するポイントを解説します。

「自分ルール」がもたらす2つの大きなメリット


自分ルールは生活の指針となり、生活をよりクリエイティブなものにしてくれます。以下ではまず自分ルールがもたらしてくれる3つのメリットについて知っておきましょう。

●生活がステップアップする

自分ルールの設定を適切に行えば、生活は着実にステップアップしていきます。

例えば「3日に1回は最低3kmはジョギングする」という自分ルールを定めたとします。これを真面目に守っていれば徐々に3kmを走るのが余裕になり、「もう少し走ってみようかな」という気持ちになってくるはずです。

これが習慣化すれば3日に1回が2日に1回になり、どんどん体力がついてきます。体力がつけば、平日にバリバリ働いたあとの休日も寝て終わるのではなく、どこかに出かけるようになるでしょう。

そうなれば出会うヒト・モノ・コトも増え、生活どころか人生そのものもステップアップしていきます。生活をステップアップしてくれる自分ルールには、他にも以下のようなものが考えられます。

・毎週必ず1つ以上は「自分がやりたいこと」を実行する。

・毎月必ず1つ以上は「初体験」を経験する。

・2日に1回以上、寝る前に「今日楽しかったこと」を3つ以上書き出す。

・毎週最低1人以上の「異業種のビジネスパーソン」とお酒を飲む。

・3ヶ月に1回、マラソン大会に参加する。

これは仕事でも同じです。「どんなメールでも30分以内に返信する」という自分ルールを定めれば、クライアントから「困った時にメールすればすぐにレスポンスのある人」というキャラが確立できます。

必然的に頼りにされる回数が増え、仕事の量も増えます。結果仕事の幅が広がり、ビジネスパーソンとしてステップアップすることができるのです。

●ムダな迷い・動きが激減する

自分ルールを設定すると、毎日の行動からムダな迷いや動きが激減します。例えばショッピングをしていて、ふと見つけた商品を買うかどうか迷った経験のある人も多いのでないでしょうか。

デザインや値段、スペックのほかに家の中に置いても邪魔にならないかなど、その都度色々な基準を持ち出して迷うことでしょう。しかしここで「自分の人生に新しい価値・経験を確実にもたらしてくれるものにお金を出す」という自分ルールを設けていれば、迷うことなく決断できます。

このルールに従えば、使いもしないエクササイズマシンは買わずに済みますし、そこで浮いたお金で週末に小旅行をするという選択も可能になります。

生活や仕事の中からムダな迷い・動きが激減すると、そこで浮いた時間やお金をよりクリエイティブな活動に使えるようになります。これは巡り巡って1つ目のメリットである生活や仕事のステップアップにつながっていきます。

生活や仕事がステップアップすれば、さらに生活や仕事の中からムダな迷い・動きをカットする自分ルールが設定できるようになるでしょう。自分ルールは相乗的に人生全体を充実させてくれるのです。

なぜ「自分ルール」は守れないのか?


2つのメリットを見て「わっかちゃいるけど……」と思う人も多いかもしれません。なぜ私たちは「自分ルール」を守れないのでしょうか。その原因は「自分」という人間、さらには「人間」という生き物への理解が不足していることにあります。以下では自分ルールが守れない3つの原因について解説します。

●動機が「自分ゴト化」されていない

ダイエットをするために「1日2食にして、2食のうち1食どちらかは糖質を摂らない」という自分ルールを決めるとしましょう。このとき重要なのは自分ルールの内容ではなく、「なぜダイエットをするのか?」という動機の方です。

動機が自分ゴトになっていない場合、多くの自分ルールはあっという間に破綻します。ここでいう自分ゴトになっている動機というのは以下の3点が揃ったものを指します。

1.未来のビジョン
2.責任感
3.結果へのコミット

例えば「彼氏に痩せろと言われたから」という動機は、痩せるということに関しての責任を他人に押し付けているので自分ゴトになっていません。あるいは「なんとなく太った気がするから、ちょっと痩せたい」という動機も、漠然としすぎて未来のビジョンが描けておらず、結果へコミットしようがありません。まずは自分ルールを設定する動機を自分ゴト化すること。これが成否の分かれ目なのです。

●ルール設定が現実を無視している

ルールの設定が現実離れしていても、自分ルールを守ることはできません。運動が嫌いで嫌いでたまらない人が「運動不足解消のために、毎日10km走る」という自分ルールを設定したところで、1日目から挫折する光景は目に見えています。

食べることが大好きな人が「1日の食事を3食から2食にする」という目標を立てれば、ストレスのせいで余計に食べてしまうでしょう。

運動不足解消、ダイエット、料理上手になる、仕事が早くなる、人脈を広げる……自分ルールを設定するときには多くの人が何かしらの目標設定をするはずです。

動機が自分ゴトされているのなら、目標はどんなものでも構いません。しかしそれを達成するための自分ルールは、自分の性格や好み、能力に見合ったものでなければならないのです。

●人間はズルをする生き物

「今日は普段頑張っているご褒美だから」「今日は自分ルールを守る気分じゃない」私たちは何かと理由をつけてズルをして、自分ルールを破ろうとします。

そもそも人間はズルをする生き物だということが行動経済学などの研究からもわかっていますが、この傾向が自分ルールにおいてはさらに顕著になることは想像にかたくありません。なぜなら自分ルールは「自分で決めて自分で守る」という自己完結のルールだからです。

ズルをして破っても、誰にも咎められることはありません。ただでさえズルをする私たちが誰にも咎められないと知ったら、ズルをしても当然とさえいえます。自分ルールを守るためには、この「ズルをする自分」とうまく付き合っていく必要があります。

「自分ルール」を設定するための3つのポイント


ではどうすればこの3つの原因を解消できるのでしょうか。以下ではそのためのポイントを大きく3つに分けて解説します。

●自分ゴト化のための3ヵ条

自分ルールを設定する動機を自分ゴト化するには、「未来のビジョン」「責任感」「結果へのコミット」が成立しやすいようにルールをデザインする必要があります。そのためのポイントが以下の3ヵ条です。

1.ルールを守り、目標を達成したあとの自分を明確にイメージする。

→未来のビジョンを成立するには、これをできるだけ明確にイメージできなければなりません。「ルールを守り、目標を達成したあと自分はどうなっているのか?」としつこく自問自答しましょう。

2.目標を設定した理由を「自分がこうなりたいから」と言えるまで明確化する。

→自分ルールを守ることで達成できる目標に自分が責任感を持てるようになりましょう。そのためには目標と自分が抱えている問題を、確かに自分のものとして捉えられるようになる必要があります。

「彼氏が痩せろと言ったから」ではなく、「自分がキレイなスタイルになりたいから」「自分が彼氏に愛される自分になりたいから」などというふうに「自分がこうなりたいから」と言えるまで明確化していく必要があります。なお、「なぜキレイなスタイルになりたいのか?」などとなぜの質問を繰り返していくと、より強力に自分ゴト化することができます。

3.達成度が実感できるような仕組みを作る。

→結果へのコミットは、自分が結果を出せるという実感が伴ってこそ実現可能です。そのためには「自分はやればできるんだ」と思えるよう、達成度が目に見えるような仕組みを作る必要があります。

目標を数値化し「自分ルールを○週間守ったら、これだけ結果が出た」と確認できるルール設定をしましょう。

●最初のルール設定は「ゆるゆる」がちょうど良い

自分の現実を認識するという意味でも、「達成度が実感できる」という意味でも、最初のルール設定は「こんなにゆるくていいのか?」と不安になるくらいのものにしておきましょう。

筆者は現在2日に1回は筋トレをしないとストレスになるくらい筋トレにハマっていますが、最初は「1週間に1回は何かしらの運動をする」というゆるいルールから始めました。それが徐々に運動自体に熱中するようになり、今では運動がしたくてしたくてたまらないようになったのです。

いきなりハードルの高いルールを設定して挫折し諦めるより、低いハードルのルールでもいいので1つずつ乗り越えていく方が、最終的な到達点は高くなります。「自分はどこまでできるのか」を少しずつ模索していくようなルール設定をしましょう。

●自分の「ズル」をルールの中に取り込む


どうしてもズルしてしまうなら、最初からズルをルールの中に取り込んでしまいましょう。例えば「毎日の摂取カロリーを1600kcalに抑える」という自分ルールの中に「10日間に1回は3200kcalまで摂取しても良い」というズルの日を設けます。

これはボディビルの世界で「チートデイ」と呼ばれる、体型への悪影響を最小限に抑えながら減量を続けるためのメソッドです。チート、すなわちズル。ボディビルダーたちは「理想の体型」という大きな目標のために、自分にズルを許しているのです。

とはいえズルはイレギュラーだからこそズルです。ズルをしている状態がしていない状態よりも長くなれば、それはズルではなく怠惰です。ズルを自分ルールに取り込むときは、怠惰にならないように注意しましょう。

「自分ルール」は下ごしらえが重要

自分ルールを守るのは、ここで解説した下ごしらえをしっかりしていれば難しくありません。「自分ルールの存在を忘れてしまう」という人もいるかもしれませんが、そんな問題はスマートフォンやPCにリマインダを設定すれば一瞬で解決します。

重要なのはそもそも守るべき自分ルールになっているかという点です。これまで自分ルールの設定と挫折を繰り返してきた人も、今度こそは守るべき自分ルールを設定し、よりレベルの高い人生にしていきましょう。

Career Supli
「ズル」をルールの中に取り込むのはいいアイデアですね。
[文]鈴木 直人 [編集]サムライト編集部