「アウトプット」で自分をブランド化する方法

「インプット」はもう十分だ

話題のビジネス書はもれなく読む。通勤中や移動中はニュースアプリやSNSで情報収集。そんなふうに真面目にインプットを積み重ねてはいないでしょうか。確かにインプットは大切ですが、それだけでは不十分です。

元マイクロソフト社長であり、現在は書評サイトHONZ代表など様々なシーンで活躍する成毛眞さんは、今の日本人はインプット過多になっていて、逆にアウトプットが圧倒的に不足していると指摘しています。

インターネット時代、SNS時代においてはインプットよりもアウトプットこそが価値を持ちます。

ここでは成毛さんの著書『黄金のアウトプット術 インプットした情報を「お金」に変える』をもとに、アウトプットの重要性とアウトプットの方法、今の時代に求められるインプットのあり方について紹介します。

なぜ今「アウトプット」が重要か?

●インプットしない人は「存在しない」も同然

真面目な人ほど読書やインターネットを使った情報収集に余念がなく、インプットばかりに勤しんでいます。

しかしゆとり教育以降に学校教育を受けている人たちは、能動的に学ぶ「アクティブラーニング」を受けて大人になっています。

彼らはアウトプット能力に長けており、自分の考えや面白いと思ったことを言葉や写真、動画にしてアウトプットすることに慣れています。

YouTuberの存在はその結果のひとつと言えるでしょう。彼らはアウトプットを積み重ねて自分自身をブランド化し、職業にしてしまったのです。

こうした若者たちがどんどん社会に出るようになれば、インプットだけをしてアウトプットをしない大人は、あっという間に淘汰されてしまいます。

SNSに登録してもタイムラインを眺めるだけであれば、その人はSNSに存在していないのと変わりません。

同じようにアウトプットせずに黙っているだけであれば、その人は社会に存在しないのと変わらないという時代が遅かれ早かれやってくるのです。

●アウトプットで自分の価値をアピールしよう

逆にアウトプットを続けていれば、誰かがそれに気づいてくれる可能性が生まれます。成毛さんが代表を務めるHONZでは、レビュアーを「一本釣り」しているのだそうです。

ここでの「一本釣り」とは、HONZと相性の良いノンフィクション作品をブログなどでレビューしている人を見つけ、書評が上手い人をピンポイントでスカウトするやり方です。

自分が本からインプットした内容を、レビューという形でアウトプットしていれば、こうしたチャンスにも出会えるのです。

そう遠くない未来に日本にも「個人の時代」が到来します。

その中でその他大勢に埋もれないためには、自分の価値をアピールするためのアウトプット能力が必要不可欠になります。

そのときが来てから慌ててアウトプットを始めても、すでにアウトプットに慣れている人たちにはなかなか追いつけません。

なぜならアウトプットには慣れと技術が必要だからです。アウトプットの能力は、アウトプットを積み重ねることでしか上達しないのです。

誰でもできる「書くアウトプット」から始めよう

アウトプットに慣れていない人が、最もとっつきやすいアウトプットは「書くアウトプット」です。

学校教育を受けていれば、何度も文章を書いてきたはず。「最近じゃまともに文章なんて書いてない」という人も多いかもしれませんが、心配は無用です。

学校教育で基礎が身についているのですから、繰り返し書いているうちに徐々に昔の感覚が戻ってきて、文章を使ってアウトプットできるようになっていきます。

「もともとそんなに文章を上手く書けない」という人も大丈夫。なぜならアウトプットに作家のような「上手い文章」は必要ないからです。

上手い文章を書こうとしてはいけない。目指すのは、わかりやすく、誤読されない文章だ。
引用:前掲書 p78

それに、初めから色々な人に伝わって、共感されるような素晴らしいアウトプットをするのは不可能です。

マイケル・ジョーダンだって、イチローだって、初めは初心者でした。コツコツと練習(インプット)と実戦(アウトプット)を積み重ねたからこそ、彼らは超一流になったのです。

にもかかわらずこれからバスケットボールや野球を始める初心者が「自分じゃ彼らみたいにはなれない」と言ったら、「当たり前だ」と笑われるはずです。

アウトプットも同じです。初めから結果が出ることはほとんどありませんが、工夫をしながらアウトプットを積み重ねていけば、必ず上達します。

例えば成毛さんは著書の中で「書くアウトプット」を上達させるための工夫として、以下のような方法を紹介しています。

・「紹介文」を書く

読書感想文や決意表明文は「何を書けばいいかわからない」という状態になりやすいですが、紹介文は何かを紹介する文章なので、「何を書けばいいかわからない」とはなりません。

そのため出鼻をくじかれることなくアウトプットを始められます。

・テーマと文字数に制限を設ける

「自由に書け」「自由に話せ」と言われると、何をどこまで書いていいのかわからなくなり、筆が止まりがちです。

そこで自分で「ノンフィクション作品の本を紹介する」「趣味について紹介する」などテーマに制限を設けたり、800文字程度を目安に文字数に制限を設けたりします。

すると自ずと組み込める情報量が決まってくるので、書き出しやすくなります。

・原稿を100文字単位に分割する

文章を書くことに慣れていないと、800文字程度でも途方も無い長文に思えるかもしれません。
そこで800文字を100文字×8のブロックに分割し、それぞれのブロックで書きたい内容を考えるようにします。

「困難を分割せよ」とは哲学者デカルトの言葉ですが、文章も分割すると書きやすくなるのです。

インプットするのは「技法」に限る

●「技法」を「観察」してインプットする

とはいえ真面目にインプットを続けてきた人にとっては、インプットをしないと落ち着かないかもしれません。

その場合はインプットの大部分を占めやすい「知識(WHAT)のインプット」よりも、「技法(HOW)のインプット」を増やすようにしましょう。それは後者の方がアウトプットにつながりやすいからです。

また技法のインプットの中でもマニュアル本などを読む「言葉のインプット」より、実際の技法を目で見て学ぶ「観察のインプット」が重要です。

なぜなら観察のインプットは観察そのものに時間がかかる反面、インプットした内容を自分のものとしてアウトプットできるようになるまでの時間が短いからです。

例えば仕事の研修でも、座学よりOJTの方が圧倒的に早く理解できるというケースは珍しくありません。これは他の場面でも同様です。

絵を描くにしろ、スポーツをするにしろ、料理をするにしろ、観察のインプットが最も早くアウトプットできるレベルに到達できるのです。

●初めての分野は「メイキング」でインプットする

観察のインプットに向いているのは「メイキング」です。特に何も知らない分野では、技法そのものを見ても「どうやったらそうなるか」がわかりません。

立川談志は「盗む方にもキャリアが必要だ」と言いましたが、絵画を見て絵画が上手くなるのは「どうやったらそうなるか」がわかるレベルに達しているからです。

初心者が絵画を見ただけで上達するのは至難の技です。

だからメイキングで「どうやったらそうなるのか」を知り、それをできる限り真似するのです。そうして技法のインプットとアウトプットを繰り返せば、少しずつ上達していくことができます。

●心得のある分野は「成果物」からインプットする

逆にある程度アウトプットに慣れている分野に関しては、すでにアウトプットされた成果物から技法をインプットするのが効率的です。

成毛さんは「話すこと」の技法をインプットする方法として、落語をおすすめしています。

特に2001年に亡くなった古今亭志ん朝と、人間国宝にもなった柳家小三治の二人は、日本語のリズムを学ぶのにこれ以上ないお手本になるそうです。

関西弁の人が関東に行くと自然と関東弁を習得できるように、延々と落語を聴いていれば落語のリズムや間が身についていきます。

そうなれば自ずと「話すアウトプット」の技術も上達していくことでしょう。

落語の音源はCDやDVDなどで簡単に入手できます。ぜひとも今日から通勤時のBGMは落語に変えてしまいましょう。

「アウトプット」で自分をブランド化しよう

アウトプットをしようとしない人は、得てして不必要に他人の目を恐れています。

しかし一度アウトプットしてみれば、それが取り越し苦労であることがすぐにわかります。

なぜならアウトプット初心者のアウトプットなど、ほとんど誰も見ていないからです。

それが実感できれば「誰も見ていないのなら、好きなことを好きなように表現すればいい」と思えるはず。だからまずはアウトプットを始めることが大切なのです。

参考文献:『黄金のアウトプット術: インプットした情報を「お金」に変える』

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