プロのライターがガチで選んだ徹夜必至の最高の小説25選

次の日が休みの夜に

世の中に「小説」と名のつくものは星の数ほどあります。しかし残念ながらそのどれもが「珠玉の名作」とは言えません。ここではそんな玉石混交の小説の中でも、ページを開き始めたらそのまま徹夜コースまっしぐらの、面白すぎる小説をまとめて25冊紹介します。きっと後悔はさせません。騙されたと思って1冊でも手に取ってください。ただし、次の日が休みの日に限ります。

1. 『大聖堂』

著者:ケン・フォレット 訳:矢野浩三郎

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画像出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4797332565

全世界で2000万部を超える販売部数を誇るスパイ・冒険小説の大家ケン・フォレットの力作です。10年以上構想を練りに練って発表されたこの作品は、約50年もの歳月をかけて「大聖堂」を修復する職人トムとその息子を中心とする物語。時代設定や描写、人物造形もさることながら、大聖堂建設に隠された数多の権謀術数が交錯するそのストーリーテリングには、眠気も吹き飛んでしまいます。

2. 『シャドー81』

著者:ルシアン・ネイハム 訳:中野圭二

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画像出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4150411808

初版は1977年、すでに世に出てから40年近くの歳月を経たハイジャック小説。ロサンゼルスからハワイへと向かう747ジャンボ旅客機を、最新鋭戦闘爆撃機のパイロットである犯人が乗っ取り、乗客を人質に巨額の金塊を要求する、という物語です。筋立ての面白さもさることながら、その綿密な筆致からは当時のベトナム戦争や米国社会など時代背景も色濃く読み取ることができます。

3. 『ウォッチメイカー』

著者:ジェフリー・ディーヴァー 訳:池田真紀子

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画像出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4167705885

ジェフリー・ディーヴァーの「リンカーン・ライム」シリーズ最新作。シリアルキラー「ウォッチメイカー」の事件とニューヨーク市警の汚職警官が絡んでいると思しき会計士の自殺……二つの事件を舞台に繰り広げられる熾烈な頭脳戦と、ディーヴァーの十八番であるどんでん返しのオンパレードが魅力の作品です。その息もつかせぬ展開に幕が下りた頃には、太陽が上り始めていること間違いなし。

4. 『犬の力』

著者:ドン・ウィンズロウ 訳:東江一紀

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画像出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4042823041

メキシコを舞台に麻薬カルテルとマフィア、米国政府が繰り広げる酸鼻な「麻薬戦争」に主人公である麻薬取締局所属の捜査官が巻き込まれ、苦悩し、戦う物語。実際にメキシコで起きた革命や暗殺、暴動、紛争を物語に織り込みながら、それぞれの登場人物の「怒り」をきっかけに展開される息もつかせぬ展開がこの作品を単なるノンフィクションにとどまらせません。そこに読者の善悪の価値観に揺さぶりをかける人物たちの立ち居振る舞いも加わり、ドキドキし通しの読書になること間違いなしです。

5. 『薔薇の名前』

著者:ウンベルト・エーコ 訳:河島英昭
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画像出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4488013511

1327年の北イタリアの僧院で起きた連続殺人事件を軸に展開される壮大なスケールを持った推理小説。そんじょそこらの「推理小説」と違うのは、何しろ著者が記号・暗号学の専門家であるウンベルト・エーコであるという点です。

「物語中物語」「書物中書物」という物語自体を構造的に複雑化していくその手法は、読み進めるうちに読者までもが広大な謎の迷宮に取り込まれていくようです。さあ、あなたはエーコの迷宮から抜け出せるでしょうか?

6. 『推定無罪』

著者:スコット・トゥロー 訳:上田公子
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画像出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4167812088

ハリソン・フォード主演で映画化され、大ヒットを飛ばした名作サスペンス。地方検事の選挙戦の最中に、美しい検事補が自宅で全裸の絞殺死体で発見され、主人公のサビッチ主席検事補もその捜査に乗り出します。しかし被害者と愛人関係にあったサビッチは、捜査を深めるに連れて自身に容疑がかけられていくのに気づいていきます。物語のあらゆる部分に張られた伏線が、クライマックスに向けて見事に回収されていく様には鳥肌すら覚えるはず。

7. 『極大射程』

著者:スティーヴン・ハンター 訳:佐藤和彦

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画像出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4594068510

ベトナム戦争で伝説的な功績を残したスナイパーが主人公ボブ・リー・スワガーが繰り広げる、ガンアクションサスペンス。アーカンソーの山中でハンターとしてひっそりと暮らしていたボブは、とある組織の陰謀と権力渦巻く世界へと引きずり出され、持ち前のスナイパーテクニックで死地を乗り越えていきます。特筆すべきは銃と銃撃戦の描写。活字でここまでど迫力の戦闘を描いた小説はそうは見つかりません。

8. 『華氏451度』

著者:レイ・ブラッドベリ 訳:伊藤典夫
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画像出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4150119554

紙の発火点「華氏451度」をタイトルに持つ、書物から情報を得ることがタブーとされる未来の物語。主人公モンターグはタブーとされる書物を昇火器で焼き尽くすのを生業とする昇火士(ファイアマン)の一人でした。しかし彼はあることがきっかけで書物の味を知ってしまい、そこから転がり落ちるように彼の人生は劇的な変化の渦に巻き込まれていきます。ブラッドベリが当時アメリカを席巻した「赤狩り」という思想統制に対抗して書いたと言われるSFの傑作です。

9. 『ダ・ヴィンチ・コード』

著者:ダン・ブラウン  訳:越前敏弥
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画像出典:http://www.amazon.co.jp/dp/B00FSAHHMG

キリストの時代以来とある秘密結社が守り続けてきた秘密が、閉館後のルーブル美術館で起きた殺人事件をきっかけに紐解かれていく、日本でも絶大な人気を集めたミステリー小説。謎を追う中で「モナリザ」や「聖杯」という西洋の文化と骨がらみのモチーフを次々と再解釈し、奇想の西洋史を再構築していくその手法は、荒俣宏氏や養老孟司氏も絶賛しています。

10. 『アラビアの夜の種族』

著者:古川日出男
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画像出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4043636032

聖遷歴1213年のカイロに攻め入ろうとするナポレオン艦隊に対抗する唯一の手段が「読み始めたら面白くて止められない本、災厄の書」。これをナポレオンに贈る、というところからこの本ははじまります。そのあとは「劇中劇」「書物中書物」という形式で、極上のファンタジーが展開されていきます。全3巻の大部な作品ですが、それこそナポレオンが「ちょっと家に帰ってゆっくり読みたい」と言いたくなるのも納得の面白さです。