Contents
効果的な筋トレに「時間」も「場所」も関係ない
「筋トレには興味があるけど、仕事で忙しいから時間が作れないし、ましてやジムに行く余裕なんてない」そんなふうに言い訳していては、いつまで経っても筋肉はつきません。
しかしできるだけ早い段階で筋肉をトレーニングで鍛える習慣をつけていなければ、年齢を重ねるにつれて精神的なハードルはどんどん上がっていきます。
そこでここでは運動不足の人でも最初からできて、少しずつ効果を実感できる自重トレーニングのメニューを5種目紹介します。1種目あたりの所要時間は約10分。これくらいの時間なら捻出できるはずです。
これら全てをコツコツ実践していれば、必ず筋肉はつき、同時に体力も強化されること間違いなし。最後には「こんなんじゃ物足りない!」という人のために、おすすめの自重トレーニング本も紹介しています。
腹筋を鍛えてブレない体を作れ!「フラット・ニー・レイズ」

まずは誰もが最初に始める筋トレである腹筋の種目から紹介します。いわゆる腹筋運動は「シットアップ」と呼ばれますが、実はこの種目で腹筋を鍛えるのは非効率的です。
どうしても「腸腰筋」という筋肉に頼ってしまい、腹筋への刺激が弱まってしまうからです。これに対して以下の方法で行う「フラット・ニー・レイズ」なら、より集中して腹筋を鍛えられます。
1.床に仰向けになる。
2.腕は体側に伸ばし、足も揃えて伸ばす。
3.膝を90度に曲げ、床から3〜5cm浮かせる。(スタートポジション)
4.膝をゆっくりと持ち上げ、ふくらはぎが床に対して平行になるまで持ち上げる。
5.動作中は息を吐き続け、同時に腹筋を絞り込むようなイメージを持つ。
6.膝が上がりきったら、息を吸いながらスタートポジションまでゆっくりと戻していく
7.3〜6を繰り返す。
ポイントは脚の重みに引っ張られて背中を反らさないこと。背中を反らすと腰を痛める危険があるだけでなく、腹筋から負荷が逃げてしまうので効果が半減します。以下のステップ3のラインに到達するまで、まずは頑張ってみましょう。ステップ2と3の壁は険しいですが、積み重ねていれば必ずクリアできます。セット間の休憩は自分で決めてかまいませんが、最大5分にとどめましょう。この点は他の種目でも同じです。
ステップ1:10回×1セット
ステップ2:20回×2セット
ステップ3:35回×3セット
低強度から始めるエクササイズの王様「サポーティッド・スクワット」

スクワットはキング・オブ・エクササイズと呼ばれる圧倒的な運動量を誇る種目です。しかし運動不足の人が初めからちゃんとしたスクワットを行うには、下半身の筋力が足りません。そこで机の支えを使った低い強度のスクワット「サポーティッド・スクワット」から始めてみましょう。
1.足を肩幅程度に開いてまっすぐ立つ。
2.背すじを伸ばし、尾てい骨が天井から紐で引っ張られるようなイメージでお尻を後ろに突き出す(骨盤を前傾させる)。
3.太ももよりも高い位置にある机などに手のひらを置き、支えにする。(スタートポジション)
4.できるだけ背中の角度を維持したまま、ゆっくりと膝と股関節を曲げていく。
5.裏ももがふくらはぎに当たって、それ以上膝を曲げられないというところまで体を沈める。
6.一時停止する。
7.脚の力だけを使うよう意識して、スタートポジションまで戻る。
8.このとき体の反動などを使わないように細心の注意を払う。
9.3〜7を繰り返す。
バランスを崩しそうになったり、脚の力だけでは上がらないというときは、手の力を使って体を持ち上げるようにします。それでも以下のステップ1に到達できない場合は、太ももよりも低い位置にあるものを支えにすると、下半身にかかる負担をより軽くすることができます。インターバルは最大5分、ステップ3に到達するまで頑張りましょう。
ステップ1:10回×1セット
ステップ2:15回×2セット
ステップ3:30回×3セット
広い背中が自信を作る!「ホリゾンタル・プル」

背中を鍛える自重トレーニングといえば懸垂ですが、これをトレーニング歴のない人がいきなりやるのは無謀すぎます。しかし背中の筋肉は姿勢維持に効果があり、胸をしっかりと張った姿勢を保つのに必要不可欠です。
心理学的には、胸を張った姿勢をするとそれだけで自信を感じるようになり、周囲も「信頼感のある人だ」という印象を持つとされています。懸垂ができないからといって背中を鍛えないのは、あまりにもったいないといえます。そこで「ホリゾンタル・プル」いわゆる斜め懸垂で、少しずつ背中を広くしていきましょう。
1.股関節程度の高さの水平で頑丈な支えになるものを見つける。机などでも構わないが、公園の鉄棒などが理想。
2.支えの下にもぐりこみ、机の縁や鉄棒を両手に掴む。手は肩幅程度に開く。
3.体をまっすぐに伸ばし、手とかかとで体重を支える。
4.このとき肩の位置を手の位置より、少しだけ頭側に寄せておく。(スタートポジション)
5.背中の筋肉を意識しながら、胸をゆっくりと机の縁や鉄棒に引き寄せる。
6.胸が机の縁や鉄棒に軽く触れたら、そこで一時停止。
7.ゆっくりとスタートポジションに戻る。
8.4〜7を繰り返す。
この方法でも以下のステップ1に到達できない人は、支えにするものをより高いものにして、スタートポジションの体の角度をもっと起こすようにすると負荷を軽くすることができます。インターバルは最大5分、ステップ3に到達するまで前進あるのみです。
ステップ1:10回×1セット
ステップ2:20回×2セット
ステップ3:30回×3セット
「腕立て伏せ」にご用心!「ニーリング・プッシュアップ」
胸を鍛える自重トレーニングの代表格は腕立て伏せですが、これも懸垂と同様、運動不足の人がいきなり始める筋トレではありません。正しい腕立て伏せをするには胸だけでなく、腕、腹、背中の筋肉も必要だからです。この基礎の部分をゆっくり確実に鍛えるには、強度を下げて行う「ニーリング・プッシュアップ」が効果的です。
1.床に両膝をつき、前方の床に両手をつく。
2.両手は肩幅程度に開く。
3.一方の片足をもう一方の片足に重ねる。
4.膝・股関節・胸・頭を一直線にする。(スタートポジション)
5.肘を後ろに曲げるよう意識して、胸を地面に向かってゆっくりと下ろしていく。
6.こぶし一つ分まで下ろしたら、一時停止する。
7.ゆっくりとスタートポジションに戻る。
8.4〜7を繰り返す。
注意したいのは肘の開く方向です。肘を外側に開くやり方でも胸は鍛えられますが、このやり方は回数が増えたり、強度が高くなると手首を痛める危険があります。筋トレで怪我をしてしまっては元も子もないので、あくまで肘は後ろに曲げるよう意識しましょう。インターバルは最大5分、ステップ3到達を目指します。
ステップ1:10回×1セット
ステップ2:15回×2セット
ステップ3:30回×3セット
スーツの似合う肩を手に入れろ!「パイク・プッシュアップ」
「スーツのジャケットは肩で着る」という言葉があるくらい、スーツ姿の良し悪しは肩に左右されます。また、肩のラインが大きくなると相対的にウエストが細く見えるので、全体的にも好印象なスタイルを作ることができます。
肩を鍛えられる自重トレーニングは多くありませんが、「パイク・プッシュアップ」は強度の調整もしやすく運動不足の人にもおすすめです。
1.足を肩幅より広く開き、前方の床に両手をつき、地面に対して「く」の字になる。
2.このとき手は肩幅程度に開く。(スタートポジション)
3.頭頂部が地面ギリギリになるまで、ゆっくりと肘を曲げていく。
4.地面ギリギリまで頭を下ろしたら、一時停止。
5.ゆっくりとスタートポジションに戻る。
6.2〜5を繰り返す。
パイク・プッシュアップは腰の位置が地面に対して垂直に近づくほど、肩の筋肉への負荷が強まります。逆に膝を曲げるなどして腰の位置を下げると、それだけ片方の負荷が軽くなります。
同じ腰の位置で以下のステップ3をクリアしたら、少しずつ腰の位置を上げていって強度を高めましょう。インターバルは最大5分、できるだけ高い腰の位置でのステップ3到達が目標です。
ステップ1:10回×1セット
ステップ2:20回×2セット
ステップ3:30回×3セット
「もっと強くなりたい人」におすすめの筋トレ本
自重トレーニングは基本的に時間と場所を選ばないトレーニング方法です。その意味では器具やマシンが必要なウェイトトレーニングよりも、生活に取り入れやすいといえます。
しかし一方で、様々な教本が出版されているウェイトトレーニングに比べ、使える自重トレーニング本は少ないのが現状です。以下に紹介する2冊は「直感型の人」「理論型の人」それぞれにおすすめの自重トレーニング本です。ここで紹介した方法をクリアして、もっと強くなりたいと思う人はぜひ手に取ってみてください。
●『プリズナー・トレーニング 圧倒的な強さを手に入れる究極の自重筋トレ』

漫画『グラップラー刃牙』に登場する最強の囚人ビスケット・オリバを表紙に掲げた、本物の囚人直伝の自重トレーニング本。著者が「BIG6」と呼ぶ6種目に絞って紹介しており、それぞれに10の難易度と3つのステップが設定されています。
片手だけでやる「ワンアーム・プッシュアップ」や逆立ちして片腕で腕立て伏せをする「ハンド・スタンド・プッシュアップ」など、直感的に「カッコいい!できるようになってみたい!」と思わせてくれる構成が魅力です。しかも夢物語を語っているのではなく、じっくりと時間をかけて鍛えるよう、繰り返し言い含めてくれる堅実さも持ち合わせています。
●『自重筋力トレーニングアナトミィ』

美麗な解剖学的な手描きイラストとともに、全身156種目の自重トレーニングを紹介している本。『プリズナー・トレーニング』のような派手さはありませんが、頭できっちり筋肉の仕組みを理解しながら自重トレーニングをしたいという人にはぴったりの一冊です。
またターゲットにしている筋肉も『プリズナー・トレーニング』より細かく分けられているため、自分で工夫してメニューを考えたり、調整したりする楽しみもあります。
「平日10分」で強くなれ!
効果的な筋トレには「時間」も「場所」も関係ありません。また筋力の増強を目的とするのであれば、ウェイトトレーニングなどで言われるハードな「追い込み」も不要です。
ただひたすら「平日10分」の時間を捻出し、自重トレーニングに打ち込めば十分です。さあ、今日から、今から、自分の体を鍛え始めましょう!
