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身軽じゃなきゃ始まらない!
少しずつ気温も上がり始め、いよいよ空気が春めいてきました。「春だし、新しいコトを始めよう!」と考えている人も多いはず。しかし今の自分の部屋の状況で、新しいコトが始められるでしょうか。新しいコトを始めるには心も体も身軽でなくてはなりません。そのためにもまず、自分の部屋を片付けるところから始めましょう。
ここでは「片付けコンサルタント」の「こんまり」こと近藤麻理恵さんの片付けメソッドを紹介しながら、今日からでも実践できる「捨てる」方法を提案します。
「捨てる」には2つの大きなメリットがある!
近藤さんには片付けをする際の「絶対に守るべき手順」があります。それは「まず捨てて、それから収納について考え始める」という順番です。
ベストセラー本『人生がときめく片づけの魔法』でも「捨てる」により多くのページ数を割いていることから、いかにこの作業が重要なのかがわかります。ではこの「捨てる」作業にはどんなメリットがあるのでしょうか。
●自分の過去にカタをつけられる
1つは「自分と向き合う時間ができる」ことです。私たちの部屋にある服や本、小物や雑貨などはそのまま私たち自身を表しています。もし生まれてから今まで手に入れたモノを時系列順に並べれば、その人がどんな人生を歩んできたかが一目でわかるでしょう。
それと同時に私たちは忘れる生き物です。そのため片付けをしていて飛び出してくるモノから、私たちは忘れていた自分自身を見つけるのです。
それはロックスターに憧れて買った革ジャンかもしれませんし、ストレス解消がてらに買った高級バッグかもしれません。そうした自分の過去と向き合い、カタをつけていくこと。それが「捨てる」という作業なのです。
●新しいコト・モノを呼び込む余裕が生まれる
「あ!この本読みたい!でも部屋にまだ読んでない本がいっぱいあるんだよなあ」そう思って今読みたい本を「いつか読む本」のせいで諦めてしまう。書店をぶらついていてこんな経験をした人も多いのではないでしょうか。
多くの場合、新しいコトを始めようとすると新しいモノが必要になります。しかしその時に部屋が片付いていないと、新しいモノどころかコトまで諦めざるを得ないのです。
また「なんとなくもったいないから」で部屋の中に放置しているモノを思い切って捨ててみると、新しいコトを始めたくなるという現象も起こります。このように片付けには心身ともに新しいコト・モノを呼び込む力があるのです。
こんまりに学ぶ「片付けの基本」

「捨てる」ことのメリットを確認したところで、まずは近藤さんの片付けに対する基本的な考え方を知っておきましょう。近藤さん曰く「何の考えもなしにいきなりモノを捨てはじめてしまうのは、それこそリバウンド地獄に自ら身を投じるようなものです」。
また近藤さんは「片付けはマインドが9割」とも言います。重要なのはノウハウではなく、片付けに対する姿勢や考え方なのです。
私たちは捨てることを始める前に、まず「自分はなぜ片付けを始めようとしているのだろうか」を考えるところから始めなくてはなりません。
片付けをすることでどんな場所で生活したいのか、それによって自分にどんな変化を与えたいのかなどの大きなイメージから、「こんな服を着て、こんな趣味を持って、こんな風に休日を過ごして……」という具体的なところまで落とし込んでいきます。
最終的に「自分が幸せになるために片付けをするのだ」ということが、筋道を立てて理解できるまで考えてみる。これによって「捨てる」作業の効果が大幅にアップするのだと、近藤さんは言います。
こんまりに学ぶ「捨てるための4つのエッセンス」
●「ときめき」で捨てる
近藤さんの「捨てる」メソッドはかなり詳細にルールがありますが、ここではこの記事を読んだ後に自分で試したくなるエッセンスだけを紹介します。1つ目はベストセラー本のタイトルにもなっている「ときめき」です。近藤さんの捨てるか残すかの判断基準は「ときめくかどうか」。クライアントにもときめかないモノは必ず捨ててもらっているようです。
●とにかく「全部床に並べる」
このときめきの判断をするために必要なステップが「全部床に並べる」。衣類でも本類でも、とにかく自分が片付けると決めたものを全て床に並べるのです。こうすると自分が持っているモノの総量が一覧できると同時に、タンスや本棚に入っているものを1つ1つ手にとることができます。
●手にとって、判断する
近藤さんはこの「手にとる」ことを重要視します。これによってより明確にときめくかどうかを感じることができるからです。これは実際にやってみるとすぐに理解できる感覚です。
ときめくものに触れると「これを着て出かけたい!」という思いや、その本を読んで感動している自分を思い描くことができますが、ときめかないものに触れてもそういったことは全く起きません。
●判断を「保留」するなかれ
3つ目のエッセンスは「判断を保留しないこと」です。この判断の保留は片付け中、色々な形になって表れます。「思い出が詰まっているから」「いつか使うかもしれないから」といった定番から、「家族にあげる」「友達にあげる」といった一見すると建設的な意見も、全て判断の保留なのです。
これをしてしまうと結局自分自身の中の「片付けられない性格」が治ることはありません。リバウンドへまっしぐらです。「捨てる」作業を始める前に行った「自分はなぜ片付けをするのか」をしっかり考えていれば、こうした時に思い切りよく決断することができます。
「捨てる」にも色々な方法がある

洋服や本の中にはそれなりに思い入れのあるものや、高かったものもあるはずです。確かに近藤さんはモノを捨てる時に、モノに対して「ありがとうございました」と言って捨てます。しかしこれでも納得できない人は多いのではないでしょうか。そのような場合はリユースショップやネットフリマなどを活用しましょう。
リユース業界は近年急速に市場が拡大しているため、非常に便利なサービスが次々と登場しています。中には本も服も全て家まで引き取りに来てくれ、買取金額は全て銀行振込で対応してくれるところもあります。
もとは「ゴミ」として捨てようと思っていたものに値段がつけば、「捨てる」ことへの満足感も大きくなるでしょう。値段がつかない品物はそのまま処分してくれるお店もあるので、ぜひ調べてみてください。
ネットフリマならリユースショップよりもはるかに高い金額で「捨てる」ことができます。ただし出品の手間や、売れるまでの間の保管場所などの問題もあるので、出品するのは「これは!」と思うモノだけに絞るのがオススメです。
この時のポイントは「リユースショップに売る!」「ネットフリマで売る!」と決めたら、きちんとスケジュールを決めて実行すること。判断の保留をごまかす隠れ蓑にしないことが重要です。
「捨てる」ことで前に進む!
放置していた服を捨てたことで、これまで着たことがなかった色の服を買ってみる気になった。積み重なった未読の本を捨てたら、読書量が逆に増えた。
これらは筆者が実際に体験したことです。「捨てる」ことは前に進むことです。この春もし新しいコトを始めたいのであれば、まずは「捨てる」から始めてみてはいかがでしょうか?
参考文献『人生がときめく 片づけの魔法』
